- 2022/07/19 掲載
LIXIL、「太陽光発電ロールスクリーンシステム」を開発し実証実験を開始
LIXILは、環境ビジョン「Zero Carbon and Circular Living(CO2ゼロと循環型の暮らし)」を掲げ、2050年までに事業プロセスと製品・サービスによるCO2排出量を実質ゼロにすることを目指した取り組みを強化しています。
オフィスビルや住宅などの建築物が密集している東京では、CO2排出量全体の70%以上が建造物から排出(※1)されています。したがって、脱炭素社会を実現するためには、新築だけでなく既築ビルでもグリーン化を推進することが急務であるといえます。
LIXILは、かねてより脱炭素に貢献できる技術の一つとして、新築ビルの壁面に設置する太陽光発電設備(以下 BIPV)(※2)を提供してきました。一方で、脱炭素化を進める上で特に重要とされている既築ビルに関しては、施工性や電気的エラー発生に伴うメンテナンスの問題など(※3)BIPV特有の課題があり、BIPVの導入は容易ではありませんでした。そこで、LIXILでは既築ビルの窓まわりへ屋内から後付けで容易に設置できる太陽光発電ブラインド(以下 PVブラインド:図3、4)を開発し(※4)、当社オフィスビルにて実証評価を行いました。この結果をもとに技術を進化させ、多様な価値を付与した「PVロールスクリーンシステム」を新たに考案しました。
「PVロールスクリーンシステム」は、発電や蓄電機能及び電力取出機能(USB-A,C)などを兼ね備えているほか、施工性やメンテナンス性、視界の自由度(図3、4)とプライバシーへの配慮の両立、デザイン性にもこだわっています。また、夏場は独自構造採用により、日差しを完全に遮ることで眩しさや暑さを軽減し、冬場は断熱性などの熱的性能の向上を付与することで窓まわり全体の価値向上を実現しました。
LIXILは、「PVロールスクリーンシステム」の開発を加速させることを目指して、2020年度にはNEDO(※5)事業において「デザイン性を考慮した後付け可能な新築・既築向けBIPVシステム」(※6)として採択されました。そして、NEDO事業の枠組みにおける実証品開発フェーズは完了し、現在は実証実験フェーズへと移行して検討を進めています(図1、2)。実証面積は約178m2、総数99枚のPVロールスクリーンは、紫、青、緑、黄(金)、茶、銀、薄銀および白の計8色(図5)を用意し、既存の窓部に後付設置しています。
※1 公益財団法人 東京都環境公社「環境先進都市・東京に向けて」(2021年11月)
※2太陽光発電には、主に「BIPV(Building Integrated Photovoltaics):建材一体型太陽光発電設備」と「BAPV(Building Attached or Applied Photovoltaics):添付型太陽光発電設備」の2種類がありますが、本リリースでは総称としてBIPVと表現しています。
※3石井久史、“BIPVモジュールおよびシステムの国際標準化に向けた建築的技術的課題”、GBRC、日本建築総合試験所技術報告176(Vol.44,No.2)https://www.gbrc.or.jp/assets/documents/gbrc/GBRC176_850.pdf、2019年4月
※4石井久史、“BLIND TYPE BIPVの研究開発”、2017年度 日本建築学会大会(北陸)学術講演梗概集、日本建築学会、2017年9月
※5 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
※6助成事業の名称:太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の新市場創造技術開発/壁面設置太陽光発電システム技術開発/デザイン性を考慮した後付け可能な新築・既築向けBIPVシステムの実証
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