• 2022/07/30 掲載

白川総裁、市場偏重「自殺行為」=ずれ埋まらず、対話苦心―日銀の12年上期議事録

時事通信社

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日銀が29日公表した2012年上半期(1~6月)の金融政策決定会合議事録では、緩和姿勢の明確化を狙う日銀が金融市場との対話に苦心する様子が浮き彫りになった。次々と追加的な対応を求める市場に対し、白川方明総裁(肩書は当時)が3月の会合で「マーケットがどう見ているかに判断軸を置くことは中央銀行としては自殺行為だ」といら立ちを見せる場面も。結局、政策効果を見極めたい日銀と市場とのずれが完全に埋まることはなかった。

日銀は2月14日の会合で「中長期的な物価安定のめど」を導入。当面は消費者物価の対前年度上昇率が1%を安定的に実現できるまで、「強力に金融緩和を続ける」との方針を決定した。

しかし、白川氏は続く3月13日の会合で「従前からデフレ脱却に向けて全力を尽くしていくと繰り返していた」と強調。「大胆にして細心」(白川氏)の注意を持って打ち出した「物価安定のめど」についても、「前と後で本気度が変わったわけではない」と説明した。

白川氏は2月会合後の記者会見でも「言葉の違いだけで政策が変わるということではない」と述べており、中央銀行として金融政策の考え方を重ねて説明した格好。だが、以前から「本気」だったと繰り返せば繰り返すほど、市場から日銀の緩和姿勢に疑念を持たれる悪循環に陥った。

当時副総裁だった政策研究大学院大学の西村清彦特別教授は「あたかも何も変わらなかったような印象を与えた」と、日銀の緩和姿勢の明確化が十分伝わらなかったと振り返る。

当時の民主党政権は4月、デフレ脱却に向けた新たな関係閣僚会議を設置。また、与野党を問わず物価目標実現のために日銀法の改正を求める声も上がっていた。

白川氏は2月に続いて追加緩和を決めた4月27日の会合で、日銀の一連の緩和強化について「オセロの黒が全部白に振り替わってくるような緩和的な環境」と例えてみせた。ただ、その後もデフレ脱却が見通せない中で日銀への圧力は続き、12年末の第2次安倍政権発足を受け、13年に就任した黒田東彦総裁による「異次元」の大規模金融緩和につながっていく。

【時事通信社】 〔写真説明〕金融政策決定会合後、記者会見する日銀の白川方明総裁(肩書は当時)=2012年3月13日、東京・日本橋本石町

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