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- 2023/02/01 掲載
はるな愛氏に聞く「ダイバーシティ&インクルージョン」、その理想と現実とは?
「みんな違って、みんないい」より上を目指す
2008年に口パクものまね「エアあやや」で人気となり、テレビ番組で活躍するようになったはるな愛氏。2009年には、タイで開催された世界最大規模のトランスジェンダーのビューティコンテスト「ミスインターナショナルクイーン」で世界一となり、現在は飲食店を経営する実業家としても忙しい日々を送っている。最近では、2021年9月に開催された東京パラリンピックの開会式のオープニングに登場し、パフォーマンスを披露したことが記憶に新しい。当初は聖火ランナーに応募したそうだが、それに落ちて、開会式キャストのオーディションに自ら応募したのだという。
「私自身がトランスジェンダーであり、弟も車椅子生活をしています。そうしたこともあって、ぜひ参加したいと思って応募しました。開会式には車椅子はもちろん、目が見えなかったり耳が聞こえなかったりするなどさまざまなメンバーがいるのですが、その環境がとても心地よかったのを覚えています」(はるな氏)
開会式本番直前、演出を担当したウォーリー木下氏が、全員に「『みんな違って、みんないい』ということを世界に広めてください」とメッセージを送ったという。
しかし、それを聞いたはるな氏は「そんな大役は自分にはムリだ」と感じ、涙が出てきたという。そのとき仲間の1人が発した「『みんな違って、みんないい』けれど(互いの個性を尊重した上で)『みんないっしょが、もっといい』」という言葉に勇気づけられて、オープニングを務めることができたと振り返る。
LGBTQという言葉で傷つく人達もいる
ダイバーシティやインクルージョン、あるいはSDGsやESGなどのキーワード、考え方が注目されるようになり、企業の活動にも影響を与えている現在、はるな氏は企業が開催するLGBTQなどの講演会に呼ばれて講演する機会も多いという。そこで必ず聞かれるのが「LGBTQの人達はどんな言葉に傷つくのか」「どんな言葉はNGなのか」といった質問だという。これに対してはるな氏は、一人ひとりに寄り添うことの大切さを訴える。
「LGBTQという言葉が注目されていますが、その言葉によって苦しんでいる人達もいます。今は過渡期なのです。私もテレビに出ていたときは、男らしい本名をわざと名乗って笑いをとっていました。だからといって、LGBTQの人達に本名を聞いていいわけではありません。はるな愛がそうだから、他の人も同じだとは限らないのです。みんなそれぞれ違うのです」(はるな氏)
LGBTQという言葉が注目され、社会的な認知・関心が高まったのはよいことだが、LGBTQという言葉で一括りにしてしまうことの危険性、暴力性について、はるな氏は指摘しているのだろう。LGBTQという言葉で安易に理解したつもりにならず、1人ひとりに寄り添って理解することが重要なのだ。
【次ページ】スキルを広げ、人との出会いを大切にしてきたことが今の自分につながっている
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