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- 2023/05/24 掲載
【村上臣×菅原健一】副業では「意味なし」? 会社員が「食いっぱぐれない」思考法
元リンクトイン 村上臣氏×Moonshot 菅原健一氏対談
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なぜ日本は労働力生産性や年収が「低すぎる」?
残念ながら日本は、他の先進国やアジア諸国と比較しても低成長の国、会社員の年収が低い国として認知されつつある。なぜこんな事態に陥ったのか。村上氏はいくつかの理由を挙げる。1つは国際競争力の低下だ。IMD(国際経営解発研究所)が毎年発表している世界の国際競争力ランキングにおいて、2022年にシンガポールやタイの後塵を拝して日本が過去最低の34位となっているように、この30年で東南アジアなどは国際競争力が上昇したのに対して、日本はほぼ横ばいだった。
さらに労働生産性も低い。日本の時間当たりの労働生産性は、OECD加盟38ヶ国中27位だ。また、終身雇用という日本独自の商習慣の影響も大きい。加えて、教育面が変わらなかったことも大きいと村上氏は指摘する。
「失われた30年と呼ばれる期間に教育が変わっていれば、国際的な競争力は今より高かったかもしれません。しかし、教育環境も変わることはありませんでした。その証拠に、2023年度版の世界大学ランキング(注1)でトップ100に入った日本の大学は、東大(39位)と京大(68位)のたった2校だけです」(村上氏)
一方、菅原氏も「これまで日本が何十年もかけてコツコツ積み上げてきたものが通用しなくなった」と指摘する。その結果、1つの会社で勤め上げるという従来の働き方が崩れつつある。
では、こうした状況に対して、会社で働く1人ひとりの個人はどう向き合えばよいのだろうか。
「クリエイターエコノミー」とは何なのか
村上氏が「稼ぎ方2.0」で強調しているのは「個で稼ぐ」ことと「マインドセットの転換」である。これまでは、有名な大手企業に入って一生勤め上げるという終身雇用のモデルがあった。
しかしこのモデルは、日本経済が成長し続けており、それに伴い企業の業績も伸びて、伸びた分が社員の給与に還元される環境だったからこそ有効だった。多くの企業が伸び悩みに直面している現在の日本企業の実態・実力では、もはやこのモデルで「稼ぐ」ことが難しいのは明らかだ。だからこそ、マインドセットの転換が必要になると村上氏は指摘する。
「個人を起点にキャリアを考え直す必要があります。自分が世の中で出せるバリューは何かを考え、"個で稼ぐ"というマインドセットに転換せざるを得ないのです」(村上氏)
そこで注目したいのが「クリエイターエコノミー」だ。ここでいう「クリエイター」とは、自分のスキルや表現を通じて何らかの収入を得る個人を意味する。
「クリエイターエコノミーの源流をたどると、『ウェブ2.0』と呼ばれていたブログの時代に立ち返ります。ブログが生まれたことでアフィリエイトなどの個人メディア向けの広告商品が開発され、自分の表現で集客してマネタイズすることが可能になりました。こうしたプラットフォームが増えて、経済として回り始めたのが現在のクリエイターエコノミーにつながるものです」(村上氏)
20代の会社員時代にガラケーのコンテンツを制作し、その後は武者修行的にプロジェクト単位で会社を渡り歩いたという菅原氏も、クリエイターエコノミーはもう"来ている"と述べる。
「1人のユーザーとして楽しいと思えるものに取り組んで周囲に100人くらい集まったら、インターネットの力でそれを世界に広げて数万、数十万に拡大することは可能です。すでに、そうやって個人が食べていける世界になっているのです」(菅原氏) 【次ページ】会社員は何から始めるべき?
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