• 2006/09/04 掲載

【年中無休24時間の官僚 鈴木英敬氏 第1回】我々の使命とは~現場官僚から見た国の役割

【IT戦略】ITで日本の将来を切り開く!

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テレビや講演会などさまざまなところで活躍している年中無休24時間の官僚 鈴木英敬氏。霞ヶ関の堅いイメージを微塵も感じさせない鈴木氏が「本音」で日本の将来について語ります。第1回目は、「我々の使命とは~現場官僚から見た国の役割」について。
(※記事中の肩書きおよび内容は掲載当時のものです。)

【ビジネス】ITで日本の将来を切り開く
鈴木 英敬(すずき ひでたか)
経済産業省 商務情報政策局
情報政策課 課長補佐
はじめに

 皆様はじめまして。鈴木英敬と申します。経済産業省商務情報政策局情報政策課の課長補佐としてIT戦略等を担当しております。今回、ソフトバンク クリエイティブ社から御縁をいただき、連載をさせていただくことになりました。微力ではございますが、皆様の日々の活動にとって、少しでも有益な連載にできればと思っております。

連載記事に対する御意見・御感想や今後取り上げて欲しいテーマ等ございましたら、下記メールアドレスまでお気軽に御連絡いただければ幸いです。この分野で御活躍の皆様は、スピードが勝負だと思っておりますので、必ず当日若しくは翌日には返信させていただきます。

 特にこの分野は、霞ヶ関の椅子に座っているだけでは見えないものがたくさんあると思っています。基本的には、私の信条でもございますが、徹底して現場にお伺いし、胸襟を開いた本音のコミュニケーションをさせていただきたいと思っておりますが、更にこのような連載の機会を通じた幅広い関係者の皆様とのコミュニケーションの中から、我が国の未来のために真に意味のある政策を作っていきたいと考えておりますので、何卒宜しく御願い致します。


国の役割

 と、若干堅めな導入でしたが、ここからは個人的な思いも込めて、本音丸出しで書かせていただきたいと思います。

  小泉政権5年の成果として、「小さな政府」という考え方が定着。今後この方向性が劇的に変わることは考えにくく、そのような基本思想の中で、政府はどのような役割を果たしていくべきか。使命は何か。原点は何か。私なりに考えてみた。

①「筋書きのないドラマ」ではなく、「筋書きのあるドラマ」である社会へ

 今年の夏、早実 斉藤投手の大活躍などにより話題沸騰の高校野球。甲子園球場は私の実家の目の前。それはさておき、よく高校野球やスポーツは「筋書きのないドラマ」とたとえられる。しかし、実はそうでなくて「筋書きのあるドラマ」なのではないか。つまり、試合の中で起こる数々のハプニングは、実はハプニングではなく、その試合までに積み重ねてきた心と体のトレーニング、努力の結果なのだと。努力をギリギリまでした人が栄冠を勝ち取っているのだと思う。斉藤選手は運が良かったのでもなく、やはり彼がさまざまな効率的な手法も含めて、最高に努力した結果が「優勝」という形に結実したのではないか。

 日本社会もこうあるべきだ。つまり、「自ら努力した人が、自らの思いを実現し、幸せを感じることができる社会」。既得権益や人脈がないと自らの思いを実現できない社会ではなく、自ら努力をすれば、自らの思いを実現することができる社会。これが最も「公平」な社会ではないだろうか。政府は、そのような観点から、ルールやインフラ整備を行うことが最も重要な使命である。

②「より早く、より高く、より広く、より長く」

 我が国の民間企業のチカラ、日本人のチカラはすごい。しかしながら、さまざまな事情により、そのチカラを十分に発揮できず、目標に到達できていないことがある。そこで政府は、その目標を、「より早く」実現できるように、「より高い」ところに到達できるように、「より広い」範囲で活躍できるように、「より長く」チカラを発揮できるように、我が国企業や個人の活動をサポートすること。これも政府の一つの役割ではないだろうか。

③21世紀型「薩長同盟」

 今から140年前、1866年、土佐出身の坂本龍馬が、仲違いしていた薩摩藩と長州藩を結びつける「薩長同盟」を実現した。結果、大政奉還につながり、我が国の新たな船出を実現した。龍馬は、自分だけで何かを成し遂げようとしたのではなく、志と志をつないで自らの我が国に対する思いを実現した。ちなみに、坂本龍馬は当時32才、私も現在32才。龍馬の爪の垢を煎じて飲まなきゃいけないですね(笑)。

 それはさておき、私は何事も一人だけでできるものはないと思っている。物事が大きくなればなるほど。そうであれば、志ある人をつないでつないで、その人達が大きなことを成し遂げることができるようにサポートすること、それも政府の仕事の一つではないかと思う。

 最後に。安倍晋三官房長官の「美しい国へ」の最後に、「政治は未来のためにある」という言葉がある。行政も同じことではないか。我々の日々の仕事は、「未来」のためにあるからこそ、我々は今絶対手を抜いてはいけない。目の前のことも当然失敗はしてはいけないが、仮に何か起こっても、目の前の、今のことなのだから、まさにその時点で修復可能である。しかし、未来のことはまさに「あとの祭」。だからこそ、手を抜かず、日々政策に携わっていかなければならない。そんな強い気持をもって日々頑張りたい。また、「役所」とは「役に立つ所」、「役人」とは「役に立つ人」ということも絶対忘れずに頑張っていきたい。


今後の予定

 今後この連載では、国の政策ネタから企業のベストプラクティスに関するネタなど、さまざまな視点からテーマを設定して御紹介していきたいと思っております。次回連載では、総裁選や内閣改造の状況にもよりますが、可能であれば、「新政権下におけるIT政策の動向及び見通し」(個人的見解含む)、または現在私が担当しております次世代型検索技術の開発を目指す「情報大航海プロジェクト」について書かせていただきます。

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