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- 2023/09/07 掲載
1人の上司が管理できる人数は? 組織コンディション把握も「楽勝」のデータ活用術
管理職向けデータ分析実践術
健康状態把握に必要なのは「7項目」
組織やメンバーの健康状態は、多面的に把握すればするほど、精度が高まります。変調の早期発見や組織問題を解決できる確率も高まりますので、今回は組織の健康状態を把握するのに代表的な「数値化の視点」を7つご紹介します。当たり前の視点もありますが、当たり前過ぎて「確認が疎かになっている」「数字の重要性を軽視している」ことはよくありますので、点検も兼ねてご覧ください。
- 労働時間
- エンゲージメント
- ストレス度
- 離職率
- ヘッドカウント
- 戦力値
- Span of control
では、これらのポイントについて、順番に見ていきましょう。
まず把握すべきは、何といっても労働時間です。担当チームの全体値や個人数字だけでなく、業務内容(役職・職種・部門など)・ライフステージ(子どもの有無など)・通勤時間の長さなど、労働時間に影響がありそうな比較軸ごとに把握します。そして、全体の労働時間が適正か、特定の人々に業務負荷が集中していないかなどを確認します。
また、平均だけでなく波を確認することも重要です。たとえば、1年間の月平均残業時間が50時間という数字でも、毎月ずっと50時間の人と、70時間と30時間が入り混じっている人では、業務状況が異なります。どちらが大変かは個人の好みによるところも大きいですが、経験的には、ずっと50時間よりも70時間と30時間が入り混じっている、つまり繁忙期と閑散期が明確になっている方が、負荷が低いと感じる人が多いように思います。
2.の「エンゲージメント」の把握も、健康状態を確認するのに欠かせません。そもそもエンゲージメントとは、従業員と会社との間に構築される関係性を指します。年に1回実施されるアンケート型の調査で把握することが多く、労働時間同様に、性別・年代・業務内容(役職・職種・部門など)・ライフステージ(子どもの有無など)など、エンゲージメントに差が生まれそうな比較軸ごとに把握します。
なお、数字解釈の際には「エンゲージメントサーベイがどこまで本音で回答されているか?」に気を配る必要があります。
よっぽど関係性が悪い上司と部下でない限り、「不満はあるけど助けてもらう事もあるから、あまり悪くつけられない」という、上司への配慮が含まれます。つまり、基本的には実態よりも数字は良くなります。5段階評価であれば、0.5~1ポイントは高く出ているとみなして解釈した方が、実態に即しています。数字を鵜呑みにしないよう、気をつけましょう。
離職率が「低すぎ」てもダメなワケ
メンバーがストレスを感じているのかを確認することも欠かせません。2015年12月の労働安全衛生法改正に伴い、従業員50人以上の事業場を対象に、年に1回のストレスチェックが義務化されました。厚生労働省が公表している「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」や「新職業性ストレス簡易調査票(80項目版)」のいずれかを活用する企業が多いですが、「仕事のストレス原因」「心身のストレス反応」「周囲のサポート」の3領域を把握することができれば、項目設計は自由です。義務化対象でない組織は簡易版である23項目版を活用し、トライアル実施するとよいでしょう。
ストレスチェックに加えて、離職率についても把握しておきましょう。ある時点で働いていた人数のうち、一定期間後に退職した人の割合を離職率と言いますが、多くの企業では、期初~期末までの1年間で退職した人の割合が使われます。
全体離職率に加えて、特定の人々(世代・職種・職能など)の離職率が高まっていないかなどを確認しましょう。特に、会社の将来を担うキーパーソンや若手の離職率が高まっている場合、会社の中長期的な成長期待が大きく低下しているサインなので要注意です。
なお、離職率は低すぎても問題につながることも多く、適度な新陳代謝(人の入れ替え)は必要で、5~10%程度が適正だと言われています。 【次ページ】「無駄な仕事」が生まれる「温床」とは?
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