後藤 洋氏 トライベック・ストラテジー コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

　この連載ではこれまで、“Web2.0型戦略志向”を実践するために、「ユーザー視点で捉えることの重要性」を提言してきた。今までのWeb1.0時代におけるワンウェイ（一方向）コミュニケーションから、Web2.0時代に入りツーウェイ（双方向）コミュニケーションの流れにある現在、ユーザーを知り、いかにニーズを捉えるかがKFS（Key Factor For Success）なのである。

　では、＜ユーザーを知る＞ためにいったいどんな方法があるのか。インターネットの飛躍的な発展によって＜ユーザーを知る＞ための方法も多様化してきている。今まではオフラインでの街頭アンケートや、フォーカスグループによるグループインタビューなどの方法によってユーザーニーズを得てきた。しかしながら、昨今ではインターネット上のアンケートなどで＜ユーザーを知る＞ことは一般的になりつつある。

　＜ユーザーを知る＞ことを怠り、戦略を構築しようとすると、そこに必ず落とし穴があり、結果机上の空論になってしまうケースが多い。

　以下、＜ユーザーを知る＞ために、実際にトライベック・ストラテジーで実施している調査の一例を紹介する。



　ユーザー視点での課題を早期発見し、それに対する手立てや方向性を見出すことは、避けて通れない作業である。トライベック・ストラテジーでは約100に及ぶ診断項目によって、ユーザビリティ/アクセシビリティにおけるサイトの問題点をスコア化することで、短期間で具体的な課題発見をすることができるプログラムを開発した。評価は複数人の専門家によって公平に実施される。詳しくはこちら。



　サイト来訪者調査は、実際にサイトを利用するユーザーの直接の意見を量的に検証できるという点において、有効な手法であるといえる。対象となるWebサイトに来訪してくるユーザーに直接アンケートへの調査を依頼し、満足度や使い勝手などを検証する。量的に検証した結果、さらに詳細に課題の抽出や改善の方向性を検証したい場合、ユーザーテストを実施する。詳しくはこちら。



　ユーザーテストは前述のサイト来訪者調査とセットで実施するとより効果を発揮する調査である。たとえば、サイト来訪者調査で量的に抽出された課題をもとに、課題解決の仮説を構築し、その仮説をユーザーテストで質的に検証することでより課題の精度を高めることができる。詳しくはこちら。



　また、上記のような調査以外でも、＜ユーザーを知る＞という点でできることがある。会社の同僚や家族、友人など、身近な人でターゲットになりうるユーザーを探し、直接インタビューすることも有効である。その際、なるべく有益でフラットな意見を得るためには、具体的なイメージができるように配慮しなければならない。



　セルフインサイトの考え方は、自分自身がユーザーの1人となることで有効な手立てを検討するという手法である。基本的な考え方であり、かつもっとも重要な考え方であるといえる。机上の空論ばかりを並べていては有効な手立てを見出すことは困難である。


　そのほか、ログ解析やアイトラッキングなどの手法があるが、いずれも＜ユーザーを知る＞ことに対する一手段にしか過ぎないため、それに頼るのではなく、全体の方向性を見出すうえで必要に応じて使い分けることをおすすめする。

　次回は＜ユーザーを知る＞ことで得たニーズをもとに、効果的な戦略方向性を見出し、さらに「絵に描いた餅」にならぬように実行企画へと落としていくステップをご紹介する。



【筆者プロフィール紹介】
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

慶應義塾大学法学部卒業。同大学卒業後、ソフトバンクに入社。同社出版部門の広告 局にて、幅広いクライアントの広告営業に従事。また新規事業立ち上げにおいてマー ケティングを担当。2002年4月より、トライベック・ストラテジーに参画。同社のユー ザー視点でのワンストップソリューションを核に、IT、飲料、金融、エンタテインメ ント、など業種業態にかたよらない幅広いプロジェクトに従事。Webマーケティング 戦略、プロモーション戦略の策定から企業ブランドサイト構築、ECサイト構築、コミュ ニティサイト構築などを手がける。専門は、Webマーケティング戦略全般／コミュニ ケーション戦略／ブランドサイトならびにコミュニティサイトプランニングおよび構 築など。


【会社プロフィール紹介】
トライベック・ストラテジー
「徹底的なユーザー視点」を核にマーケティング戦略のIT化を支援するプロフェッショナル集団。
Web戦略の策定からWebシステム開発、サイト運営まで、eビジネスのトータルソリューションをクライアントの方々とともにゴールを共有して、ワンストップで提供することを目指す。
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