- 2007/02/16 掲載
【清水克彦氏インタビュー】40歳が人生の再スタート地点 (2/2)
人が変わらなければ何もかわらない
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清水克彦氏
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清水克彦氏●私は40歳になったときに、「何が一番得意なのか」と自分を見つめ直しました。すると、執筆、そして人を教えることに対して良い評価をもらっていたことを思い出したのです。そこから、「執筆や、人を教えるということに戻ってみるか」という思いが生まれました。ですから、50代になった段階で、たとえば新書ランキングでトップを取るとか、ミリオンセラーを出すとか……つまりは、より多くの人へ情報を発信したい、というビジョンを描いています。情報を発信するにはTVやラジオという方法もあります。それらのメディアは、情報をリアルタイムに伝えていくことという大きな長所を持っていますが、あとに残しにくいという短所もあります。カセットテープやビデオには残るのですが、見て終わり、聞いて終わりとなってしまうことも多く、一番大事な「情報」が頭に残らず流れがちです。それが出版というメディアだと、あとで読み返してもらえます。40代のときに本を読んでわからなかったことでも、60代になったときに読み返してみたら、また新しい目線で読むことができるかもしれない。そういった意味で、自分がこれからハッピーになるためのツールとして、出版というメディアは大切にしていきたい、と思っています。
――清水さんはテレビやラジオ、出版など情報を発信するメディアで多岐に渡るジャンルを手がけられていますが、さまざまなものを御覧になっていて、今一番関心を持っていることはどういったものでしょうか?
清水●私が政治記者をしていたときの経験から、「制度が変わっても、人が変わらなければ何も変わっていないことと一緒なんだ」ということを学びました。現在、教育に関してさまざまな新しい制度が提案されていますが、意識が変わらない限り、5年10年経っても全然変わらないと思います。それは、子供だけが変わっても無意味なのです。まず親が変わっていかないと。たとえば一流と呼ばれている大学を出ていたとしても、その学歴をひけらかしてふんぞり返っているだけでは、きっと子供はそんな親を見ても理想の自分を思い描けないでしょう。ですから、子供、そして子育て世代へ訴えかけていくようなものを作っていきたい、と考えています。
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『人生、勝負は40歳から! 』
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清水●当事者を集めて、話し合いが終わるまでずっと聞いています。子供の場合だけでなく、今問題になっている大人同士でのいじめに対しても、まずは双方の言い分をしっかり聞くでしょうね。子供社会にしても大人社会にしても、いじめを行う立場というのは、文句を言う術がわからないということが根底にあると思っています。気に入らない人がいても、そのことを直接言えないからあの手この手で締め上げていく。子供の場合もそれに近いものがあるだけに、先生からは見えづらいのではないでしょうか。なので、コミュニケーションをしっかりと取らせる、話し合わせることで、解決できるのではないか、と思います。
――では、最後に、いわゆるニートやフリーターになっていて、そこから這い上がりたいと考えている人へは、どのようなアドバイスをされますか?
清水●失敗には必ず何かの原因があります。そして、その原因の大半は自分の中の鉱脈に気がついていないところから始まっているのではないか、と思います。たとえば私が営業職に就いた場合、成功できるとは思えないですし。私がある人のある部分を長所だと感じても、本人は短所だと思っているかもしれない。そういった他人からの評価と自分自身の評価を冷静に見つめ直すことができるのは、やはり40代になるころではないかな、と思います。たまたま何か失敗をして仕事を干された、もしくは皆から不評を買っている。それは今の部署ではそうかもしれない。ならば、自分を見つめ直し、持っているスキルをアピールして他の部署へ異動させてもらうとか、そういう努力をしましたか? と尋ねるでしょうね。そしてその結果、異動させてもらうことができたら、それだけで会社の中での人生は変わるでしょう。そういった意味で40歳は再スタートの時期と言えるでしょう。
(執筆・構成:大田唯)
●清水克彦(しみず・かつひこ):
文化放送プロデューサー、江戸川大学メディアコミュニケーション学部非常勤講師。政治・外信担当記者を経て、ディベート研究のため米国留学。帰国後、ラジオニュース番組のキャスターやニュースデスクを歴任。現在は番組プロデューサーや南海放送コメンテーターを務めるかたわら、大学で学生の思考力や表現力の育成にも力を注ぐ。著書に『わが子を名門小学校に入れる法』、『わが子を有名中学に入れる法』(以上、PHP新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)などがある。
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