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  • 2024/04/18 掲載

タイパ向上に“実はNG”のメール効率化、なぜ「あのひと手間」が超重要になるのか

連載:何がなんでも定時で帰るためのタイパ仕事術

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毎日のオフィス業務で必ず行うであろうメール作業。タイム・パフォーマンス(タイパ)を向上させる上では、いかに効率的にメール作業をこなすかが重要になりますが、あまりにタイパを追及すると、ここである「落とし穴」にはまってしまいます。一体それは何でしょうか。メール作業におけるタイパ向上の注意点について解説します。

執筆:アイ・コミュニケーション代表取締役 平野 友朗

執筆:アイ・コミュニケーション代表取締役 平野 友朗

一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事
株式会社アイ・コミュニケーション 代表取締役

1974年、北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て独立。2004年、アイ・コミュニケーションを設立。2013年、一般社団法人日本ビジネスメール協会を設立。ビジネスメール教育の専門家。メールのスキル向上指導、組織のメールのルール策定、メールを活用した営業力強化、メールコミュニケーションの効率化や時間短縮による業務改善など、支援実績は多岐に渡る。これまでに研修やコンサルティングを行った組織は、官公庁から民間企業、団体や学校に至るまで5000を超える。年間150回以上の研修やセミナーでの講演、1500回以上のメディア掲載、2003年から続くメルマガ「毎日0.1%の成長」を通じて、ビジネスメール教育の普及に力を注いでいる。著書は「仕事ができる人は実践している!ビジネスメール最速時短術」(日経BP)、「そのまま使える! ビジネスメール文例大全」(ナツメ社)など34冊。

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メール作業におけるタイパ向上の「落とし穴」を解説する
(Photo/Shutterstock.com)

メール「一往復」はタイパがいいのか

 最近は、タイパを考えてメールを一往復にする、という考え方があるようです。

 この考えは、一見タイパを重視した効率的な手法に思えますが、実は、仕事上メールを一往復で済ませることは大きなリスクが付きまといます。目先のタイパを優先すればトータルのパフォーマンスを下げることにつながってしまうのです。

 ではまず、メールにおける「一往復」と「一往復半」が何を指しているのかを上司が部下に資料の作成を依頼するメールを例に考えてみましょう。

● 一往復
【上司】パワーポイントでの資料作成を依頼
 ↓
【部下】依頼された資料を作成し、上司に提出

 上司が部下に資料の作成を依頼すると、部下が依頼を受けて資料を作成し、上司に提出する。これが一往復です。資料を受け取った上司は受領の返事をしません。

 一方、一往復半の場合、資料を受け取った上司が返事をして終わります。

● 一往復半
【上司】パワーポイントでの資料作成を依頼
 ↓
【部下】依頼された資料を作成し、上司に提出
 ↓
【上司】資料を受け取り、内容を確認して、完了を告げる

1ページ目を1分でまとめた動画

 このような依頼の場面だと、一往復のメールには欠陥があります。部下の立場からすると、上司から「受け取りました」、「問題はありません」といった反応がないので、対応が完了したのか分かりません。

 資料を提出したメールが届いていなければ「まだ提出してこない」と上司に思われています。一方、メールが届いていても、上司が見ていなければ対応は完了しておらず、「修正してください」と指示がくる可能性を考慮して待っていなければなりません。あるいは、上司がメールを開封して返信を忘れているかもしれません。資料に修正すべき箇所があって上司が「ここを直してください」と返信したものの、そのメールを部下が見逃しているかもしれない可能性も考えられます。

 このように、返事がないのには複数の理由が考えられるため、部下は判断に迷います。たまたま今回は提出物の内容に問題がなく、ただ上司が受領の返信をしていないケースだとしても、次回も同じとは限りません。提出物を出しても上司から返事がないことが普通になってしまえば「メールは送ったら必ず届いていて、返信がなかったとしても気にする必要はない」と部下は捉えるようになってしまうほか、メールは送りっぱなしでいいと考えてしまう可能性もあります。

考えておくべき「損失」とは

 こうした懸念点を考慮すると、タイパの観点でメールを一往復しかしないことは、実は得策ではないことが分かります。

 こちらから何か連絡をして、相手が対応してくれたら「確認しました。ご対応いただきありがとうございます」と返信するのにかかる時間は1~2分程度。100通あれば100~200分かかる計算です。

画像
メールを一往復しかしないのは、実はタイパ的に得策ではない
(photo/Shutterstock.com)

 仮に100通に1通くらい、返事をしないことによって誤解が生じたり、問題が生まれたりしたら、それをカバーするために予想を超える時間を費やすことになるでしょう。各方面に謝罪したり、予定外の仕事が増えたりすることもあります。作業が全部やり直しになったり、失注したりするかもしれません。当然、相手からの信頼は損なわれてしまいます。

 こうしたリスクを回避するために100~200分を投資するのは「タイパが悪い」と言えるでしょうか。100~200分の投資で防げる損失のほうがはるかに大きいのです。 【次ページ】営業におけるメールの重要性

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