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  • 2024/12/19 掲載

「AIの父」すら警鐘…「AIリスク」問題はなぜそんなに重要?軽視しては絶対ダメなワケ

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AIの急速な発展に伴い、AIのガバナンス強化が世界で議論されています。2024年のノーベル物理学賞を受賞した「AIの父」ジェフリー・ヒントン氏は、「AIの脅威」を指摘する1人です。現在カナダのトロント大学の名誉教授であるヒントン氏は、「AIの危険性について自由に発言するため」当時在籍していたグーグルを退職しています。「AIの父」も警鐘するAIのリスクとは何か、それに対して企業は何をすべきか、AIガバナンスに詳しい、PwCコンサルティングの橋本哲哉氏が解説します。
執筆:PwCコンサルティング トラストコンサルティング事業部 ディレクター 橋本 哲哉

PwCコンサルティング トラストコンサルティング事業部 ディレクター 橋本 哲哉

2015年より現職。PwC JapanグループにおけるAIガバナンス領域の実行リードを担う。
AIガバナンス領域におけるルールやガイドライン策定、態勢整備など、官公庁や民間企業など幅広い業界に対して多くの実績を有している。
グループ横断大規模プライバシーマネジメント、セキュリティ強化プロジェクトや金融事業新規参入に伴うリスク体制の整備など、リスクマネジメント領域を中心に多数の実績を持つ。ガバナンス領域全般における管理規程の構造変革や規程文章の更新対応などの経験も有する。構想策定における具現化から具体的な施策実行まで、IT・非ITを問わず、プロジェクトステークホルダーを巻き込み、多くのメンバをリードし、一貫した支援を提供することを得意とする。

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図1:「自社の生成AI活用の推進度合い」の調査結果。活用中・推進中・検討中を含めると91%にも上った

【調査】9割超の企業が生成AI活用を推進

 現在、多くの企業がAI/生成AIをビジネスにどう活用するかについて、多大な時間とコストをかけていることでしょう。

 PwC Japanグループが定期的に実施している生成AI調査の最新情報「生成AIに関する実態調査2024 春」によると、生成AI活用の推進度合い(活用中・推進中・検討中までを含む)は、2023年 春時点で「22%」だったものが2023年 秋時点で「88%」と急伸し、そして2024年 春には「91%」まで増加しています(図1)。

 もはやAIを活用しないことは、企業にとって重大なリスクであると言えます。一方で、AIの影響は甚大であり、今後の社会や経済に対して、連続的なパラダイムシフトを招くことが予想されています。ただし、そのパラダイムシフトは私たち人類にとって、必ずしもプラスの結果を招くとは限りません。

「AIの父」も警鐘を鳴らす「AIのリスク」とは

 実際、「AIの父」と呼ばれるジェフリー・ヒントン氏も「AIの脅威」に警鐘を鳴らしています。ヒントン氏は、2024年のノーベル物理学賞を受賞したAI研究者2人のうちの1人です。ヒントン氏が長年にわたって研究に取り組んでいる深層学習は、現在のAIや生成AIの基礎を築いたと評価されています。

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「AIの父」として知られるジェフリー・ヒントン氏。2024年、ノーベル物理学賞を受賞
(写真:The New York Times/Redux/アフロ)

 ヒントン氏は、目標を与えられたAIが人類にとって不都合な解決策を導き出すことや、今後、AI同士が競い合うことで自律的進化を遂げ、人類が取り残されてしまうこと、そして、AI兵器が登場し、人類に危害を及ぼすことなどに危機感を募らせています。

 AIは人類の知能を超えるのか、はたまたAIは知能を持つのか。これはAIのシンギュラリティとして以前から論じられているテーマです。しかし、シンギュラリティが訪れるか・訪れないかを論じるよりも、訪れた場合に、どのように人類とAIが安心・安全に共存していくかを論じるほうが重要です。

 AIの発展は著しく、今後、ますます加速していくでしょう。ヒントン氏の危機感が現実のものにならないよう、私たちはAIがもたらす脅威にどのように向き合っていくのか、今、それを真剣に考えるべき局面を迎えているのかもしれません。 【次ページ】世界で重要な選挙が相次いだ2024年に起きたこと
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