- 2025/06/13 掲載
新NISA、開始から1年で利用率27.2% ネット証券が主流に
新NISA、全体で利用率27%に上昇
NTTデータ・エービックが公表した「NISA意向調査(2025年3月)」では、NISA制度の利用経験者が27.2%と、前年から3.7ポイント増加していることが明らかとなった。また、「制度を知らない」と答えた層は6.0%に減少し、認知が広がっていることがうかがえる。新NISA制度が開始された2024年1月以降に口座を開設した人の割合は、全体で24.0%となった。特に18~29歳の若年層での開設率が高く、女性では35.8%、男性では31.2%と、他の年代を大きく上回る結果となっている。調査では、年齢層や性別によって制度の利用状況に明確な差が見られた。
ネット証券が過半数を占める「取引手数料」や「使いやすさ」で支持
NISAの利用金融機関を尋ねたところ、52.4%が「ネット証券・ネット銀行」と回答し、過半数を占めた。次いで「地元の銀行」(14.6%)、「メガバンク」(10.6%)、「対面型の証券会社」(10.1%)と続く。選定理由に目を向けると、ネット証券の利用者は「取引手数料が安い」「申込手続きが簡単」「スマホで管理しやすい」など、利便性やコストパフォーマンスを重視していた。一方で、地銀やメガバンクを選んだ人は「日常的に使っているから」「給与口座があるから」といった信頼性・親しみやすさを重視する傾向が強かった。
NISA口座をすでに「変更した」とする回答は10.4%、「変更したいと思ったことがある」は15.4%にのぼった。乗り換え先として選ばれた金融機関では「ネット証券・ネット銀行」が51%と最多であり、その理由としては「手数料の安さ」(31.1%)や「ネット取引の操作性・利便性」(18.8%)が多く挙げられた。こうした結果からは、利用者がより低コストかつ使いやすい金融機関を選好する傾向が見て取れ、ネット系への移行が一定程度進んでいる実態がうかがえる。
行動と学習に表れたNISA活用の差
2024年夏には株式市場が大きく下落したが、このタイミングでの投資行動にも差が見られた。NISA利用者の約75%は「何もしなかった」と回答した一方で、ネット証券の利用者に限ると「追加で投資した」との回答が相対的に多かった。株式相場の下落局面において、「追加で投資した」と回答した割合はネット証券・ネット銀行の利用者で高く、金融機関の種類によって投資行動に差が見られた。
金融経済についての学習経験とNISA利用の間にも、一定の関係が見られた。NISA利用者の62.5%が「学んだ経験がある」と答えたのに対し、未利用者では75.2%が「学んだことがない」と回答。
さらに、未利用者の中でも「学んだことがある」と答えた人は、「NISAに興味があり、始めてみたい」とする回答の割合が高かった。一方で、「今後も学ぶつもりがない」とした層では、NISAの利用意向も低い傾向が見られた。学習手段としては「ネット記事や書籍、SNS」が最多となっており、調査では、特別なセミナーや講義よりも個人による情報収集が多く用いられていることが明らかになっている。
「制度が難しい」「余裕がない」が利用をためらわせる理由に
一方、制度を利用していない人の主な理由は、「NISAの仕組みが分からない」(14.6%)、「投資できる資金の余裕がない」(15.8%)など。こうした心理的・経済的ハードルが制度利用を妨げている。「どんなときにNISAを始めたいと思うか」という質問(複数回答)に対しては、「NISA制度が自分にとって役に立つと思えたら」が29.6%で最も多く、前年の30.0%からわずかに減少した。次いで、「元本保証の商品があれば」(26.4%)、「投資リスクが低い商品があれば」(26.0%)、「運用に関するサポートがあれば」(20.3%)、「購入手数料が0円の商品があれば」(20.0%)といった回答が続いた。
そのほか、「信頼できる金融機関が見つかったら」(14.2%)、「忙しくなくなれば」(11.5%)、「好きな著名人が投資を勧めていたら」(0.7%)などの回答も見られた。NTTデータ・エービックは、制度の有用性を伝える情報提供が今後の利用促進において重要だと指摘している。
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