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- 2025/08/08 掲載
AI導入で人件費カット→高収益化→同業買収の「えげつない」新戦略
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
http://livit.media/

AIの早期投資家らが注目するロールアップとは?
AI投資の最前線で活躍する投資家たちが、新たなテーマとして「ロールアップ」に熱い視線を送っている。ロールアップとは、同一業界内の複数の小規模企業を買収・統合し、大規模な企業体を形成する戦略を指す。複数の企業を1つにまとめることで、リソースの共有、運営コストの削減、売上の拡大を実現する手法だ。統合後の企業は、個々の小規模企業が提供していた地域市場を包括的にカバーし、より幅広い製品・サービスを提供できるようになる。
ChatGPTが世界を驚かせる前から、パープレキシティやキャラクターAIといった有望企業に投資してきたエラド・ギル氏も「ロールアップ」を駆使する1人だ。同氏は3年前から密かにこの戦略を推進してきた。
ギル氏が提唱する「AI駆動ロールアップ」は、伝統的な手法に革新的な要素を加えたものだ。法律事務所などの人的リソースに依存する成熟企業を買収し、AIを活用して業務を大幅に効率化。その結果、生まれる高い利益率を武器に、同業他社を次々と買収していく戦略となる。
従来のロールアップでは、規模の経済によるコスト削減が主な狙いだった。しかしAI時代のロールアップは、根本的に異なる価値提案を持つ。ギル氏は「企業の粗利益率を10%から40%に引き上げることができれば、それは劇的な変化だ。突然、ほかの誰よりも高い価格で企業を買収できるようになる」と説明する。
この手法の魅力は、AIソフトウェアを外部に販売するだけでなく、企業そのものを買収・所有することで、内部から徹底的に変革できる点にある。10年前にも「テクノロジーを活用したロールアップ」は存在した。しかし当時は、既存システムに新技術を付け足す程度の表面的な改善にとどまっていた。しかし今回のAIによる変革は、企業のコスト構造を根本から変える可能性を秘めている。
実際、この戦略を採用する企業も登場し始めている。投資家たちがこぞって注目する理由は明確だ。AIによる自動化で人件費を大幅に削減し、これまでにない高収益体質を実現できる可能性があるからである。 【次ページ】AI駆動のロールアップ事例、Enam
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