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  • 2025/10/24 掲載

【超詳細】アクセンチュアが示す“エージェント型AI”、激変する「経営・システム・商取引」

連載:アクセンチュア流 生成AI産業変革論

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生成AIの進化を背景に「エージェント型AI(Agentic AI)」が台頭しつつある。自律的かつ協働的なAIが、企業活動の至るところで従来の常識を覆す変革を促進している。今回は、「経営」「エンタープライズシステム」「商取引」を例に、エージェント型AIがビジネスにどのような変革をもたらすのかを論じ、来るべきエージェント型AI時代における企業のあり方を展望する。
執筆:アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 北村 昌英

アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 北村 昌英

北村 昌英(きたむら・まさひで)
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター。関西学院大学卒業後、ソフトバンクを経て、アクセンチュア参画。通信・自動車関連企業を中心に、事業戦略、デジタル活用戦略(AI、IoT等)、M&A、グローバル戦略等に多数従事。戦略策定だけではなく、事業の早期立ち上げに向けたPoC(実証実験)、パートナリング構築支援も実施。2014年より2年間、早稲田大学大学院非常勤講師(コンサルティング実務)。

  藤井 篤之

藤井 篤之

藤井 篤之(ふじい・しげゆき)
アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部 ストラテジーグループ マネジング・ディレクター。ストラテジーグループにおけるData AIビジネスリードを務める。名古屋大学大学院多元数理科学研究科博士後期課程単位満了退学後、2007年アクセンチュア入社。スマートシティ、農林水産業、ヘルスケアの領域を専門とし、官庁・自治体など公共セクターから民間企業の戦略策定実績多数。共著に『デジタル×地方が牽引する 2030年日本の針路』(日経BP、2020年)がある。

  山田達也

山田達也

山田 達也(やまだ・たつや)
アクセンチュア ビジネスコンサルティング本部ストラテジーグループ プリンシパル・ディレクター。東京大学工学部卒業、同大学院工学系研究科修士課程終了後、2011年アクセンチュア入社。通信業界を中心に新規事業・業務変革など幅広いテーマでの戦略立案を支援。ストラテジーグループにおけるData AIビジネスチーム立上げの中心メンバーとして、AIなどを活用したアナリティクスによる経営改革やオペレーション改革などにも注力。共著には「5G産業変革」などがある。

  齊木亮平

齊木亮平

齊木 亮平(さいき・りょうへい)
アクセンチュア ビジネスコンサルティング本部 ストラテジーグループ コンサルタント。東京大学経済学部経営学科を卒業後、2019年にアクセンチュア オペレーションズコンサルティング本部に入社。2023年にストラテジーグループに異動。通信・ハイテク業界を中心とした民間企業の戦略策定に加え、官公庁の将来像策定や業務・サービス変革に従事。ストラテジーグループにおけるData AIビジネスチームの立上げの中心メンバーとして、Data AIビジネスの創出や論考作成、社内の啓蒙等に注力。

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エージェント型 AIの浸透がもたらすビジネス変革
(Photo/Shutterstock.com)

AIがAIを動かす時代へ──「エージェント型AI」始動

 “AIエージェント”という言葉が世の中で使われるようになって久しいが、AIエージェントの進化形として、「エージェント型AI」という概念が提唱されているのをご存じだろうか。

 ガートナー社など複数の企業・機関がその違いを述べているが、アクセンチュアグローバルのAI Marketing Leadであるラマヌジャム・サンジェイ(Ramanujam, Sanjay)は、AIエージェントとエージェント型AIの違いを次のように述べている。
 自律性の観点で、AIエージェントは複雑な目標を達成するために、独立して意思決定や行動を行う。一方、エージェント型AIは複数のエージェントを統括し、自律的に複雑な目標を解決する。インタラクションの観点では、AIエージェントは人間からの特定の指示を必要とし、事前に設定されたプロセスに従うが、エージェント型AIは意図を理解したうえで自律的に目標を特定し、人間は最終的な出力を最適化するためのフィードバックを提供する。


 つまり、エージェント型AIとは、複数のAIエージェントを統括し、複雑な問題を解決するエージェンティックアーキテクチャのことを指すのである。

 たとえば、各生成AIサービスが提供しているDeepResearch機能は、エージェント型AIが持つ機能の萌芽と考えられるのではないか。

 ユーザーからの調査指示に対して、自律的に調査作業を設計し、Web上のソースを自動で検索する。ユーザーが提供した資料も合わせて読み込み、それらを要約して論理的なレポートとしてファイル出力まで行うことができる。

 さらに、エージェント型AIはその定義と目的から、複数のAIエージェントが協働することで実現しており、エージェント型AI同士の連携も求められる。

 人間の多くの活動が分業で成り立っているように、すべてを担当するスーパー多能工のエージェント型AIではなく、役割別に自律的に稼働するエージェント型AIが、人間だけでなく他のエージェント型AIとも連携して業務を遂行する。

 たとえば、請求書を確認して適切性を審査し、必要な承認プロセスを得るエージェントが、自らの判断で“疑義照会”し人間の承認を取得したうえで支払い処理担当のエージェントに連携して自動で請求処理を行うといった具合だ。

 そのため、各社のアプリケーションとLLM(大規模言語モデル)、そしてエージェント同士をつなぐ製品やサービスが重要である。

 前者は、エージェントと外部システムを接続する共通仕様であるMCP(Model Context Protocol)。後者は、エージェント同士の連携の共通仕様であるA2A(Agent2Agent Protocol)という形で標準化が進んでいる。

 アクセンチュアでは、このような営業、生産、購買などのマネジメント属性を持つエージェント同士の対話を通じて、経営者や従業員・顧客を支援するマルチエージェント型の世界が今後数年で一般化すると見ている。

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エージェント型 AIの浸透がもたらすビジネス変革とは?
【次ページ】エージェント型AIが代替し進化させる構造
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