- 2025/12/07 掲載
ファナックとエヌビディアが提携、フィジカルAIによるロボット制御でオープン化を加速
産業用ロボットのフィジカルAI制御実現に向けた取り組みを本格化
ビジネス+IT
日本の産業用ロボット大手ファナックは、米半導体大手 エヌビディアと提携し、ロボットの「フィジカルAI」実装を推進すると2025年12月に発表した。両社は、FANUCの幅広いロボットラインアップ(小型協働ロボットから大型産業用ロボットまで)を対象に、オープンソースロボット開発基盤 ROS 2 上で動作する専用ドライバを公開し、開発者コミュニティを含めたオープンプラットフォームによる制御環境を整備する。
ROS 2 ドライバは GitHub にてソースコードが公開され、Python を標準搭載するFANUCロボットとの連携が可能となる。リアルタイム制御として、1 ms の制御周期に対応する “ros2_control” フレームワークを備え、小型協働ロボット(可搬質量3 kg級)から最大2.3トン級の大型ロボットまで幅広い機種に対応する。
さらに、エヌビディアが提供するロボットシミュレーション環境 NVIDIA Isaac Sim をベースに、ファナックロボットの仮想モデル「デジタルツイン」を構築可能とすることで、フォトリアルな仮想工場内でのAI学習、動作検証、最適化が可能となる。このシミュレーション基盤により、実機導入前に軌道やサイクルタイム、衝突回避やAI動作の確認が可能となる。
この提携により、従来の「あらかじめプログラムした繰り返し作業」に限定されがちだった産業用ロボットに、AIがリアルタイムセンシングと判断を加える能力が与えられ、環境変化や不確定な状況に対応できる「知能をともなうロボット」への進化が期待されている。特に、音声指示や映像認識、人の近くでの安全動作、自律的な判断・操作など、従来の産業ロボでは難しかったタスクへの応用が想定されている。
また、ファナックがオープンプラットフォームとすることで、従来は専用環境でしか開発できなかったロボット・システムの開発が、大学、スタートアップ、中小企業、研究機関などにも広く開かれる可能性がある。これにより、ロボティクス分野での参入障壁が下がり、産業用ロボットの社会実装や普及が加速するとみられている。市場もこの動きを好感し、提携発表直後は ファナックの株価に買い気配が強まり、注目が集まっている。
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