• 2008/10/15 掲載

「世界は間違いなくITエンジニアの時代だ」ビジネス・ブレークスルー 代表取締役社長 大前 研一 氏

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「世界は間違いなくITエンジニアの時代だ」10月15日から17日にかけて行われるITpro EXPO 2008 Autumnの基調講演に、ビジネス・ブレークスルー 代表取締役社長 大前 研一 氏が登壇。日本のITエンジニアが取り組むべき分野と、今後期待される能力などについて語った。



ビジネス・ブレークスルー
代表取締役社長
大前 研一 氏
 冒頭、大前氏が指摘したのが、『We Are Smarter Than Me』という書籍。8000人が著者として参加した「集合知の先進的な事例」であり、サブタイトルに『How to Unleash the Power of Crowds in Your Business 』と掲げられているとおり、集団の持つ力をどのようにビジネスに結びつけるのかについて言及されている。

 大前氏は集合知を使ったITについて「最大の成果はオバマの圧勝」と語るように、政治問題においても対局を左右する局面でITが大きな存在感を持っていたことを指摘する。

 ITの存在が社会を大きく変えている点は、米国サブプライムローン問題に端を発する金融危機においても見られた。今回の金融危機の特徴は「ナノセカンドで国境をまたいだ」点だ。金融危機が伝播するスピード感が大きく変わった。過去を遡れば、1997年にタイを中心に発生したアジア通貨危機は、韓国にたどり着くまで約6か月かかった。しかし、今回のドル崩壊はわずか1週間で各国へと伝播していった。また、危ないと噂される企業のATMからは「8兆円がわずか1週間で引き出された」のである。

 このようにITは、政治や経済といった社会基盤を支える「あらゆる人がまず最初に学んで欲しい技術」にまで発展した。ITを支えるエンジニアについては、アウトソーシング化が加速しており、有名なインドや中国という市場に加えて、大前氏は「ロシア」に注目しているのだという。インドが「米国に慣らされてきたため、スペックを決めないと動かない」のに対して、ロシアは「何をやりたいか言ってくれればいい」というスタンスで、民族性などにも違いがあるのだという。また、もともとロシア領だったベラルーシやウクライナも同様にBPO先として魅力的な市場を構築しつつある点も指摘した。

 このようにグローバルでITへの教育が浸透するに伴って、「(言われた通りの)プログラミングだけやっているITエンジニアは、アウトソーシング先のロシアや中国と同程度の賃金水準になる」と言及。今後の日本のIT業界に携わる人々が求められる能力についていくつか詳解した。

 1つが人を使う能力。残念ながら日本のエンジニアはここが特に弱いという。次がコンセプト。新しい考え方に軸足を持つ必要性を説いた。最後もっとも強調したのが「センス」だ。iPodは「ドリームチームとも言うべき日本のメーカー」が製造した部品や加工技術で作られているのに、デザイン能力に優れるアップルのiPodにうまみを牛耳られてしまっている。機能だけでいくのではなく、さらなる付加価値を加えて提供すること、さらにそれを高価格で販売できること、これが先進国の条件だと語った。

 最後にグーグルの重要性を改めて言及。特に注目はグーグルチェックアウトだという。楽天をはじめとする「所場代をもらって運営しているECサイトには出店されている商品の優劣を付けられない」と指摘。グーグルが(何かしらの方法で)レピュテーションをもとに正確なランキングを行うことができるようになったうえで「チェックアウト」を使って、買い手と売り手を直接結びつけることができれば、Eコマースが大きく変わっていく可能性を示唆。「自分がグーグルだったらどうするかを考えるなど、自分だったらどうするかというクセを付けて欲しい」という言葉で講演を締めた。  

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