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  • 2018/12/21 掲載

日立を支えるBPOプラットフォーム、ソリューション提案型で必要な3タイプの人財とは

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2009年3月期に計上した巨額の最終赤字をきっかけとして「選択と集中」を徹底的に推し進め、事業ポートフォリオを継続的に見直してきた日立。業務全体を顧客との協創を進めるフロント業務と、それを支えるバックオフィス業務に切り分け、バックオフィス業務をさまざまな工夫で効率化する体制を整備してきた。それが日立の社会イノベーション事業をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)で支える”BPOプラットフォーム”の考え方の基礎となっている。この主体となった日立ICTビジネスサービス 代表取締役社長の和田宏行氏は、「バックオフィス業務の効率化を継続的に推し進めるためにはどうすればいいのか。この課題への解こそがBPOプラットフォームだと考えている」と強調する。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

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日立ICTビジネスサービス
代表取締役社長
和田 宏行 氏

フロントへの経営リソース集中をBPOで支える

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 日立では2016年から3か年の「2018中期経営計画」に向けて、それまで採用していた社内カンパニー制をビジネスユニット(BU)制に改めた。

 電力・エネルギー、産業・流通・水、アーバン(ビルシステムや鉄道など)、金融・社会・ヘルスケアという4つの事業領域に経営リソースを集中し、それぞれの顧客企業のサービスに合わせたソリューションをフロントのビジネスユニットが提供。その下にフロントを支えるプラットフォーム、さらにその下にプロダクトを提供するビジネスユニットを配置する3階層の構造を整えた。

 こうした構造の中で情報・通信システム事業セグメントを構成するのが、金融BU、社会BU、産業・流通BU、サービス&プラットフォームBUなどで、「第13回 BPMフォーラム 2018」で登壇した和田氏は「まずはこうした情報システム系BUのBPOに着手しようというところが我々のスタートポイント」だと説明する。

 情報システム系BUにおけるSI事業の流れとしては、初めに顧客からの要望に従って要件定義を行い、次にシステム構成案を作って提案し、受注後には必要な機器やソフトウェアを手配してシステムを構築し、出荷して、稼働・運用・保守に入る。

 この一連のプロセスの中では、営業部門、SE部門、製品部門が関わることになるが、SI業務をスムーズに進めていくためには各々の適切な協調と連携が必要不可欠となる。

「各部門の業務の中で、特に事務作業的なノンコア部分を我々がBPOでバックアップする。フロントビジネスの業務負荷を軽減し、コア業務により集中できるようにしていくことが我々の役目だ。この取り組みを2016年から始めている」

画像
情報システムSIにおける分業

コア/ノンコアを随時見直してBPOをバリューチェーン化

 日立ICTビジネスサービスが展開するBPOは、大きく3つの特徴を備えている。1つ目が、SI事業の業務プロセスに対応したBPO、2つ目が、バリューチェーンを最適化するBPO、そして3つ目が、ソリューション提案型のBPOだ。

 まずSI事業の業務プロセスに対応したBPOについてだが、先に述べた要件定義から稼働・運用までの流れの中には、営業事務支援、SE業務支援、製品付帯業務支援に加えて、内部統制やISO認証などの共通管理業務支援、取引先管理や契約書管理などの調達業務支援などのバックオフィス業務を含む。

「こうした一連のバックオフィス業務をBPOとしてまとめて受託するのが業務プロセスに対応したBPOだ」

 さらに和田氏は、コア業務とノンコア業務の分岐点がどこかを随時見直していくことが非常に重要だと強調する。

 「時代と共に経営環境も変わり、今までコアだと思っていた業務が実はノンコアでいいのではないかということが起こり得る。両者の境目を随時見直して、バックオフィス業務として取り込めるところはどんどん取り込むことを継続的にやっていく。一旦決めて終わりでは、継続的な効率化は決して望めない」

 次にバリューチェーンを最適化するBPOについて、和田氏は「受託しているそれぞれのBPO業務をつなげて最適化できるのではないかと考えている。それをBPOバリューチェーンと呼んでいる」と説明する。

 顧客である各BUとSI事業を進める時には、まず顧客側の営業担当者とSEが各々案件の内容に応じて要件を定義する。これに対して、必要となるサーバやストレージの台数、ソフトウェアライセンス数などを整理した構成定義ファイルを同社が作成してBU側に提出している。さらにその構成定義ファイルをバックオフィスでチェックするのも、実は同社だった。

「つまり構成定義ファイルが顧客と当社の間で行き来するだけで、業務委託されている当社の中で横断的なやり取りがされてなかった。そこでこれら一連の業務プロセスを我々がBPO業務として一括管理することで、構成定義ファイルが顧客との間で行き来することがなくなり、我々の内部で必要に応じて手直ししていけばいいというやり方に変更することができた。この効果は大きく、リードタイムの大幅短縮とともに、ファイルを直接操作する回数が減ることで品質も上がっていく。こうしたBPOのバリューチェーン化は、あらゆるシーンで有効なやり方だ」

【次ページ】売上・利益を自社の評価軸から廃止した理由

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