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  • 2009/01/21

【連載:世界恐慌を突破するためのツール、経営の「見える化」】(1)経営の「見える化」できていますか

世界的不況が叫ばれる昨今、経営を「見える化」し、いかに乗り越えていくかが喫緊の問題となっている。そのため、従来、過去の成績表として役割を果たしてきた決算書や財務諸表などには、未来予想図の役割も求められる。不況を突破するためにいかに経営データを「見える化」していけばよいのか、「科学的経営」を志向する経営コンサルタントの山本一博氏が全6回で解説する。

倒産とは「経営者が自分を見失うことによる結果」

 リーマン・ブラザーズの破綻、AIGグループの苦境、トヨタショックに端を発し、原材料高、円高、株安、取引先倒産等、世界恐慌を予感させる記事が新聞紙上を賑わせています。


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図1:2008年9月 自動車3社 総合評価(出典:EDINET)


 それを裏付けるかのように、自動車3社ともに、2008年9月の四半期報告の段階でさえも、放置しておくと数年後、危険ゾーンに突入するトレンドにあることが読み取れます(SPLENDID21総合評価図表)。そして現在、自動車業界を筆頭に大リストラ、派遣切りが開始されています。

 また、民間調査会社の東京商工リサーチが2009年1月13日に発表した2008年の全国企業倒産状況によると、負債総額1,000万円以上の倒産は前年比11%増の15,646件と、5年ぶりの高水準となったそうです。(日本経済新聞 2009年1月14日朝刊)

 しかしながら、詰まるところ、倒産とは「経営者が自分を見失うことによる結果」なのです。

 過去の成功体験に惑わされ、あるいは、部下の報告や取引業者の言葉、世間の評判、そうしたまわりの言動に振り回され、自分が見えなくなり、ついに足元を固めることを怠り、誤った判断を積み重ねてしまった、この累積結果が倒産です。

 「この商品はトレンド的に間違いなく顧客の支持を得るから大丈夫」と営業部長から報告を受けていたとか、「資金の手当ては間違いない」と経理部長から報告を受けていたと言っても後の祭り、トップとしての責任は免れません。

 そうしたリスクを避けるため、しばしばトップは管理スタッフや情報システムの増強に走ります。実は、これが赤字化、倒産化への常道なのです。判断がバラバラになされ、収拾がつかなくなり、ただむなしく管理コストを膨大化させながら、いったい改善しているのか、悪化しているのか、どの方向に企業が向かっているのかさえ誰もわからなくなり倒産へひた走っていく…。


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図2:危険ゾーンに突入しているSPLENDID21データの例


 このような状態は「ヘッドレス・チキン症候群」と呼んでいいものです。「ヘッドレス・チキン症候群」とは、「頭がなくてどちらに行ったらよいか迷走する鶏」を揶揄したものであり、コンプライアンス経営の重要性を説く場合に用いられる表現ですが、経営数値の判断においてもまったく同様のことがいえるのです。

 そのような事態、倒産を避ける方法は、「私情の入る隙のない純粋化された数値指標」をもとに自社の実力、リスク、可能性を常に評価し、その実態から出発することに尽きるのです。統計的手法を用いることで作為や私情を排し、純粋で客観的な自社評価、自社格付けを行わなければなりません。

 多変量解析による企業力総合評価分析を用いて財務指標を総合評価し、議論や言い訳を生み出す余地をなくし、的確な意思決定を生み出すことが不可欠といえるでしょう。

「SPLENDID21」は
企業の存続・成長を定義します

 データマイニング・マネジメントの考え方に基づいて開発された企業力総合評価システム「SPLENDID21」は、統計技術を駆使して客観的な自社格付けを行うことによって、消極的には倒産リスクの回避を行い、積極的には企業を成長に誘導するためのシステムです。

 特徴としては、

【1】 財務諸表と従業員数を入力し、総合評価を行い、企業の成長曲線を導出します。

【2】 5期分の決算書を時系列化し、折れ線グラフとして、企業力を観察します。

【3】 総合評価の評価領域をリスクに応じてゾ-ニング(領域区分)し、青信号領域、黄信号領域、赤信号領域、破綻懸念領域の4領域に区分します。

【4】 ゾ-ニングされた状況の判断を瞬時に可能とするために、カラ-リングを行います。

【5】 総合評価が60以下になるか、【WARNIG】が3個つくと倒産予知の警告です。

【6】 悪化成り行き倍率により、瞬間風速による企業余命が計算されます。

【7】 下位総合評価を営業効率、資本効率、生産効率、資産効率、流動性、成長性、安全性7分類に分けました。

【8】 下位分析に3本の経営指標がついています。総計29指標により、経営を一目瞭然にします。

【9】 営業効率、資本効率、生産効率、資産効率、流動性、成長性、安全性はゼロで良否の判別を行います。青領域は良、赤領域は否です。

【10】 ゼロ判別ジャッジの、赤領域の項目のソリューション(解決)に即時、取りかかることができます。

【11】 経営計画と結合し、正常債権性、正常投資先性の立証に利用できます。

 ピーター・ドラッカーは企業の最終目標は企業の存続・成長である、としています。しかし、存続とは「倒産の裏返し」であり、倒産とは何かを解明しなければ、存続の解明はできません。

 日本企業低迷のミクロ側の要因は、存続・成長の定義がぐらついているからです。

 企業の成長とは、SPLENDID21によれば総合評価が200に限りなく近づくことであり、存続とは60に近づかないことであると定義できます。

 企業の栄枯盛衰のデ-タから、「勝ち組」「負け組」を決める戦略的要因を抜き出し、企業分析するデータマイニング・マネジメントを行うことこそ、日本企業蘇生の近道なのです。

 SPLENDID21の最大のねらいは、イメージで全体像を形成させることにより、エネルギーや言霊、権威、危機感、安堵感、臨場感などを企業内に発生させ、経営トップの決断を促して企業に自然治癒力を発揮させることです。いわば、数字によって「右脳」を刺激するツールです。チェスター・バーナードが述べているように「経営とは心の状態を変えること」であるならば、経営分析は心の状態を変える分析でなければなりません。では、SPLENDID21による日産自動車の分析サンプルを見てみましょう。

日産自動車の成長の局面を「見える化」する

 企業の成長は一直線に成長していくわけではありません。波形を描きながら成長をします。そのため、停滞局面、飛躍局面、調整局面を経る過程を辿ります。

【マネジメント】連載:世界恐慌を突破するためのツール、経営の「見える化」

図3:停滞局面と飛躍局面




 日産自動車を停滞局面(上グラフ○)、飛躍局面(上グラフ○)、調整局面(後述)に分類して解説してみましょう。いかにカルロス・ゴーン氏が優秀でも、企業成長に波動があるかぎり、どこかで調整局面に入ります。

 詳しく解説をいたしましょう。


停滞局面

 日産自動車は、1970年代~1980年代、戦後からシェアを積み上げ、一時はトヨタ自動車につぐ日本国内第2位のシェアを占めましたが、バブル崩壊後財務が悪化したうえ、デザインや商品戦略などの面でも失敗し、販売不振に陥り、国内の販売台数ではホンダにつぐ第3位に転落してしまいました。さらには、塩路一郎委員長率いる強固な労働組合との激しい抗争が深刻化し、1990年代の後半には経営危機がささやかれるまでになってしまいました。

 総合評価は80ポイントと100ポイントの間の黄信号領域で低迷しました。


飛躍局面

 日産自動車株式会社は、1999年3月に、フランスのルノーと提携し、事実上のルノー傘下に入り、1999年4月にカルロス・ゴーン氏が来日します。6月にゴーン氏(現CEO)が最高執行責任者 (COO) に就任し、10月に日産リバイバル・プランを発表します。そのコミットメントの内容は、

・2000年度の黒字達成(必達目標)
・2002年度までに連結売上高営業利益率4.5%(必達目標)
・実質有利子負債残高1兆4000億円から7000億円以下に削減
・2002年度までに連結ベースで1兆円のコスト削減


 具体的には、購買コストの20%削減や部品や鋼材などの資材供給メーカーの半減を表明、日産関連会社の保有株の売却、村山工場閉鎖、日産車体京都工場閉鎖、愛知機械工場閉鎖などが実行されていきました。

 その結果、2000年3月期連結決算で過去最大の6844億円もの巨額赤字を計上した日産自動車株式会社は、わずか1年後の2001年3月期に過去最高の3311億円の連結最終利益を確保し、世間をあっと言わせることとなります。

 総合評価は黄信号領域から、青信号領域へ脱出、109ポイントをつけました。


調整局面

【マネジメント】連載:世界恐慌を突破するためのツール、経営の「見える化」

図4:調整局面


 2005年4月に、ゴーン氏が親会社のルノーの会長兼CEOに就任、日産の会長兼CEOも兼務することになります。2005年9月、ゴーン氏が進めてきた日産180(リバイバル・プラン)が終了します。そして、その後日米市場で販売台数が急落することになります。

〈2006年6月28日付日本経済新聞記事より〉
日産自動車の販売不振が続いている。2005年10月以降、日米欧の3市場でほぼ毎月前年実績を割り込み、日米の主要工場で生産調整を迫られた。予想を上回る事態に販売会社や部品メーカーは当惑を隠せない。V字回復を主導してきたゴーン改革が限界に突き当たったのか、次の成長に向けた踊り場に差し掛かっただけなのか。日産の変調を分析する。


 経済記事は以上のように、2006年6月に日産自動車の変調を論じていますが、SPLENDID21はもっと以前2003年3月期の決算で日産自動車が調整期間に入る予兆を捉えています。(2003年3月期の決算で営業効率が天井に達しており(下グラフ 緑○)、これが翌期調整過程に入る予兆)総合評価は2003年3月期以降伸びてはいません。

 むしろ、ここでは、日産自動車の安全性が、とうとう青信号領域に入ったこと(下グラフ 橙○)を強調したいと思います。あれだけ苦境に喘いでいた日産自動車を健全領域に戻したカルロス・ゴーン氏は、とりもなおさず、辣腕の経営者だということが言えるでしょう。


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図5:日産自動車のSPLENDID21データ


≪次回へつづく≫

【マネジメント】<著者プロフィール>
山本一博(やまもとかずひろ)

 多変量解析総合評価分析を利用した「SPLENDID21」の開発者として多くの会計事務所、中小企業、中堅企業、上場企業を指導中。「科学的経営」を志向する経営コンサルタント。

 単身、上場企業に赴き、経営の隠れた問題点をズバリ指摘。表向きにはまず分からず、経営陣も見逃していた問題点に対する的確な指摘に、上場トップが驚きを隠さない辣腕コンサルタント。

 氏いわく、「売上も利益も出ていて、一見どこにも問題ないように見える企業ほど、確実に見えない悪い部分が広がっていることが多い」と指摘。また、「現状が非常に悪い企業でも、どこにテコ入れすれば、2年後に復活できるかを的確にアドバイス。

 1955年生まれ、和歌山県出身。現在、株式会社戦略経営研究所 代表取締役社長。


■株式会社戦略経営研究所
大阪市中央区南本町2-3-12エイディビル12F
06-4964-4164
http://www.riskm.com/

■SPLENDID21
株式会社SPLENDID21
大阪市中央区南本町2-3-12エイディビル12F
06-6265-8621
http://www.sp-21.com/
info@sp-21.com


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