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- 2026/04/09 掲載
【Anthropic vs 米国防総省】AI倫理を巡る訴訟で司法判断が真っ二つ
国防総省との契約は排除、米政府全体への波及には歯止め
Anthropicが米国防総省のサプライチェーンリスク指定で勝訴と敗訴
米AIスタートアップのAnthropic(アンスロピック)が、米国防総省による「サプライチェーンリスク」認定の差し止めを求めた複数の訴訟において、米連邦裁判所の判断が分かれている。カリフォルニア州の連邦地裁が3月下旬、国防総省の措置を一時的に差し止める命令を出した一方で、ワシントンD.C.の連邦控訴裁は4月8日、同認定の効力停止を求める同社の申し立てを棄却した。これにより、国防総省との契約に関しては排除が続くものの、政府全体への波及については一時的に歯止めがかかるという、複雑な法的状況となっている。一連の紛争は、国防総省がAnthropicを国家安全保障上のリスクがあると指定し、同社のAIモデル「Claude」の利用を制限したことに端を発する。Anthropicは、自社の技術が大規模な監視や自律型兵器システムに転用されることを防ぐため、契約に利用制限の条項を設けるよう求めていた。これに対し、国防総省側は「あらゆる合法的用途」での活用権限を主張し、交渉が決裂。その後、政府側は同社をサプライチェーンリスクに認定したが、AnthropicはこれをAI安全性に関する同社の見解に対する「違法な報復」であるとして、二つの異なる法的根拠に基づき別々に提訴していた。
カリフォルニア州の連邦地裁は、政府の措置が表現の自由を保障する憲法修正第1条に違反する可能性があると指摘し、認定の一部を差し止める判断を下した。判事は、政府がAnthropicのAI安全性への姿勢を不服として、正当な手続きを経ずに処罰的な措置をとった疑いがあると述べている。この決定を受けて、トランプ政権は一旦、政府全体でのAnthropic製品の利用制限を緩和する措置をとった。
しかし、ワシントンD.C.の控訴裁は、国防総省内での個別の認定については異なる見解を示した。3人の判事からなるパネルは、Anthropicが受ける経済的損害よりも、紛争下における軍の即応性と国家安全保障上の判断を優先すべきだと結論付けた。この裁定により、国防総省の契約においては同社の排除が継続される。Anthropicは今回の控訴裁の決定に遺憾の意を示しつつも、最終的には認定の違法性が認められると確信しているとの声明を出した。司法判断が割れたことで、AIの軍事利用における倫理的制約と国家主権の境界を巡る議論は、今後さらに本格化する見通しだ。
Anthropic VS ペンタゴン AI倫理を巡る争いの経緯
この紛争の核心は、Anthropicが開発するAIモデル「Claude」の軍事利用に関する条件にある。同社は自社の安全指針に基づき、米国民への大規模な国内監視と人間の介在しない完全自律型兵器への利用という2点を禁止する条項を契約に含めるよう求めた。これに対し、ピート・ヘグゼス国防長官を中心とする米国防総省(DoW)は、軍による「あらゆる合法的用途」での活用権限を主張し、交渉は決裂。2026年2月27日、DoWはAnthropicを国家安全保障上のリスクがあるとして、連邦政府全体の供給網から排除する「サプライチェーンリスク」に指定した。同社はこれを自社の安全思想に対する「違法な報復措置」であるとして、異なる法的根拠に基づき二つの裁判所で訴訟を提起した。
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