- 2026/05/21 掲載
OpenAI・アンソロピックら巡る危うい“資金ゲーム”…専門家が警告、IPO最大のリスク(2/2)
IPO前に広がる不安…OpenAIは巨額債務を本当に返済できる?
OpenAIやアンソロピックによるIPOが見込まれるなか、投資家が精査する主要指標の1つが「収益の質」になる可能性が高いことを、米調査会社ピッチブックのシニアアナリストであるハリソン・ロルフェス氏は指摘する。「OpenAIが社内の成長目標を達成できていない」とThe Wall Street Journal(WSJ)が報じたことで、AI研究企業は将来の債務を賄える水準の大規模な収益成長を実現できるという前提に対して、投資家の間で疑問が広がっている。
OpenAIのCFOであるサラ・フライヤー氏は、収益成長が加速しなければ、将来のコンピューティング契約の支払いが困難になる可能性があると警告している(OpenAIはWSJの報道内容に異議を唱えている)。仮にそうした事態になれば、AI大手の成長を前提に事業を進めてきた企業に大きな影響を及ぼす可能性がある。
専門家が警告、“出資者が取り立て役”になる異常な構図
「売上未達の問題は市場が織り込んでいる以上に重大だ。OpenAIは今年初め、コーディング分野やエンタープライズ分野でアンソロピックやグーグルに後れを取った上、現在ではオラクル、マイクロソフト、アマゾンに対するインフラ関連の債務が合計1兆1,500億ドルを超えている」とロルフェス氏は説明する。「今問われているのは、成長率がコスト増加ペースを上回り続けられるかどうかである。より深刻な構造的問題は、この債務構造が単なる負債ではなく、循環的である点だ。出資を行っている同じハイパースケーラー企業が、同時にコンピューティング料金を回収するベンダーにもなっているわけだ」(ロルフェス氏)
ロルフェス氏は「こうした取引構造のせいでリスク負担は対等ではない」と言う。同氏は、マイクロソフトがOpenAIに出資し同社売上の20%を受け取る一方で、OpenAI側には複数年にわたるAzure利用契約義務がある点を挙げる。
「これは利害が一致したパートナーシップではなく、利益率がどう推移しようと、成長によるリターンに対して固定的な請求権を持つ構造だ。売上が未達となった場合でも、ハイパースケーラー側が痛みを分かち合うわけではない。彼らは真っ先に支払いを受けるのだ」(ロルフェス氏)
ロルフェス氏によれば、アルファベットによるアンソロピックへの400億ドル投資も同様の構図だ。これには、グーグル向けの専用チップTPUに関する大規模契約も含まれている。
「こうした取引は、あらゆるコストを度外視してでも規模拡大を優先する局面では合理的だった。しかし、利益率の推移が企業価値評価の主要な決定要因となる段階では、この循環構造はもはや利点ではなくなる」(ロルフェス氏)
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