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  • 2009/03/25

【矢林朗氏インタビュー】新しい働き方が模索される時代を生き抜くために

雇用不安がささやかれ、「内定取り消し」や「ワーキングプア」などの諸問題がニュースを賑わす現在、どのような働き方が求められているのだろうか。注目を集めつつある職業をガイドしながら、新しい生き方・働き方について自信の体験を踏まえ綴った『成功と自由のためのハローワーク』(ソフトバンク クリエイティブ)を上梓したばかりの矢林朗氏にお話をうかがった。

職人を目指すいまどきの就活生たち

――この『成功と自由のハローワーク』を書こうと思った動機についてお教えいただけますか?

矢林氏■
僕は就職コンサルタントとして、世に出ている就職マニュアル本の大半に目を通しています。だけど、NPOへの就職などに項目を割いているものはあまりないのが現状ですね。今どきの就活生の現状とマッチしていないんです。それなら自分で書くべきなんじゃないかと思ったんです。

【コラム】【矢林朗氏インタビュー】新しい働き方が模索される時代を生き抜くために
『成功と自由のためのハローワーク』
――本書にはあまり聞き慣れない職業も随分と紹介されていますね。

矢林氏■
労働市場は、ここ10年で大きく変わりました。非正規雇用者数が大きく増えて、正社員が減った。そうした変化に対して、学生の方も変化しています。例えば、ある建設会社が大卒でも、大工や鳶の職人として正社員採用するということを行ったら、募集に人が殺到するというできごとがありました。大卒でも手に職ということを考える学生が増えています。

 企業に必要とされないのなら、自分たちは違う価値観で生きればいい。そうした思いが、職人になりたいという学生や、NPO就職を希望する学生やの増加につながっています。

――昨今はNPOへの就職を希望する学生が増えていると聞きます。

矢林氏■
たとえばNPOではありませんが、先日発表された就職人気企業ランキングで、文系総合ベスト100に国際協力機構(JICA)が3年連続でランクインしました(48位。毎日コミュニケーションズ調べ)。しかも毎年順位を上げています。アメリカでの動きは顕著で、08年の調査ではNPOのティーチ・フォー・アメリカがグーグルやマイクロソフトを抑えて2位に入っています。

 NPO就職が注目されるのは、従来の企業のありかたに限界があることを学生たちが気づきはじめた証拠だと思います。NPOがボランティア的な組織だという意識はかなり古い。企業が入り込めない領域でビジネスができるという側面の方が重要です。会社は株主のものだから、短期で配当を出せという株主の意向を無視できない。しかも、短期で手放すファンドのような株主が増えているので、5年、10年かけて築き上げるような事業は株式会社ではできなくなっている。

 加えて今、環境問題がクローズアップされていますが、学生をはじめとする若者たちの社会への参加意識が高まっていることもひとつの要因でしょう。それを単なる一過性の流行ではなく、サスティナブル(持続可能)な運動を続けていくためにNPO就職という手段が注目されているのです。

 こうした変化に気がつかなければダメなんです。だけど、大学の就職ガイダンスなどは、毎年同じことを繰り返しているだけで、NPOへの就職の仕方なんかは教えてくれません。これは就職ガイダンスを行っているような情報を与える側が、社会や若者たちの変化に気づいていないからです。

――『成功と自由のハローワーク』は、NPO就職も視野に入れていると。

矢林氏■
だけど、NPO就職にノウハウはないんです。個々のNPOで違いますから。でも、実際にNPOで活躍する人たち、特にNPOでありながら、収益も上げてビジネスとして成功している人の実体験を本の中で取り上げています。村おこしに関わるNPOを成功させた友だちの具体例です。彼らは今、社会起業家と呼ばれて注目を集めています。でも、就職ガイド本を読んでも社会起業家になる方法なんて載っていないんです。

自分探しの旅へ
~世界を回しているのはサラリーマンじゃなかった~

――『成功と自由のハローワーク』は、就職活動マニュアルという形式は取っていないですよね。

矢林氏■
僕が仕事を辞めてあちこちを旅しながら、出会った人たちのことをまとめたという形をとっていますね。

――矢林さんご自身の旅行記とも言えますよね。

矢林氏■
僕は最初に務めていた会社を3年で辞めて、自分探しの旅に出ました。ベタですけど、最初はタイのカオサンに行きました。自分探しをする人が必ず訪れる場所です。そこで多くの仕事に疲れた日本人に出会い、「仕事って何だろう」と本気で考え始めたんです。だけど、実際に自分が会社というレールを外れると、今までは見えてこなかった世界が見えてきたんです。それ以前は自分を含め、社会の大半がサラリーマンなんだと思っていたんですが、会社を辞めてみると実はサラリーマンって社会の片隅に存在しているだけなんだなあと実感しました。サラリーマンの時代って、サラリーマン以外の人との接触の機会ってほとんどないんですけど、いざサラリーマンを辞めると、まったくサラリーマンには会わなくなるんですよ(笑)。

――サラリーマンがいかに狭い世界かという話ですよね。

矢林氏■
僕の場合、タイから日本に帰ってきて、NPOの手伝いをしたり、沖縄でボラバイトをしたり、自分のお店を持ったり、これまでに経験できなかったことをいろいろしたんです。そうした経験をしていく中で、さまざまな人に出会えたのが、大きかったですね。

 大企業のOLの仕事を捨てて、介護ヘルパーの仕事をしている人が、なぜ安定した仕事を捨ててまで転職したのかを聞いたりしました。沖縄では、自然に関わる仕事をする人たちに会って話を聞きました。どの仕事も収入という面では、まだ恵まれていません。だけど、だからといってその人たちが貧乏で惨めな職業人生を送っているかと言えば、全然そんなことはありません。大企業では感じられなかったやりがいを感じて働いている。それに、いまは恵まれていなかったとしても、介護や自然環境の仕事は、まだこれから重要性が高まっていく分野です。皆、死に体をさらしている大企業よりも、新しい分野に可能性を感じているんです。

――介護や環境に関わるビジネスはこれから注目されていきますか。

矢林氏■
すでに十分注目されているでしょう。介護に関わる仕事にお金が回っていないというのは有名ですけど、和民の渡邉美樹さんを始めビジネスのやり手たちは、もう何年も前からこの業界に参入しています。将来的に大きなビジネスになるという目算があるからですよね。こういった未来を見据える能力は、時代の転換期の就活生には必要です。環境の分野だと「グリーンニューディール」や「排出権取引」などが今の重要キーワードで、就活生たちも一所懸命そういった流れを勉強しています。でも、実際にはそういった問題を、現実としては捉えている企業は多くない。せいぜい、エアコンを消して節約しましょうっていうのが日本の企業の意識です。環境問題がお金になるという意識に至るまではいってないでしょうね。

――この本を読むと「ビオトープ管理士」「野生生物調査員」「環境コンサルタント」といった、あまり耳にもしない職業がたくさん出てきますよね。

矢林氏■
実際、環境に関わる仕事をしたいと考えている人たちにとっての具体的なガイドになるような本にしたかったんです。しかも、そういった職業をただ紹介しているわけではなく、その職業の人に、どうやってその仕事に就いたのかを聞いているというのがこの本の特徴ですね。そうした新しい職業に就いている人たちは、学校の就職課や就職ガイドを通じて職を見つけたわけではないというのが、大きな気づきでした。だからこそ、新しい職業に就くためのガイド本が必要だと思ったんです。

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