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- 2009/06/19 掲載
景気回復が2010年末にズレ込む3つの調整圧力、日本総研が発表
3月以降の日本は、製造業を中心に持ち直しの動きを見せているものの、在庫調整の一巡とエコカー減税など、景気刺激策による一時的な押し上げ効果が大きいと指摘。
日本と関連の強い海外経済をみると、中国経済は底堅い成長が見込まれるものの、景気牽引役は固定資本投資のため、日本の主力輸出財である製造業向け部品などへのプラスの影響力は限定的。中国向け輸出が回復するには、欧米向け輸出の拡大が必要だとしている。
米国については、低成長が続く見通しで、住宅市場、家計のバランスシート調整、金融機関の不良債権問題などがネックになると指摘。国債増発に伴う金利上昇圧力も増大しており、景気下振れリスクが払拭できない状況だという。米中という、日本の主要輸出国の拡大が見込めない中、日本総研では、日本の輸出は回復感に乏しい状態が続くとしている。
また、国内経済を展望すると、3つの調整圧力がマイナスの影響をおよぼしていると指摘。
1つめは、デフレ圧力。大幅な需要不足により低価格競争が拡大。日本総研では「GDPギャップが解消するのは2015年」と試算しており、消費者物価の下落傾向、デフレ傾向の長期する公算があるという。
2つめは、設備ストック調整圧力。製造業の設備過剰感は過去最高水準に達しており、今後の新規設備投資や廃棄などを進めても、「設備過剰感の解消には2年を要する」という。
3つめは、人件費調整圧力。労働分配率は過去最高水準に達しており、人件費を削減する動きが今後本格化するという。労働力不足の懸念から、深刻な雇用削減は回避されるものの、賞与を中心に給与引き下げ圧力が強まるとしている。
こうした国内外の状況を鑑みて、日本総研では日本が景気回復に向かうのは2010年末と判断。2009年度の実質GDP成長率はマイナス3.5%、2010年度は+0.3%になるとみている。さらに景気下振れ要因、1.米国経済の失速、2.原油価格の高騰、3.円高、4.新型インフルエンザなどにより、景気が二番底に向かう可能性を指摘している。
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