- 2009/07/02 掲載
ついに勝利のステージに上ったOSS、急加速するエンタープライズ需要の理由とは?
≫【NTTの導入事例も講演】Truth Happens, The Story of JBoss 2009
偏見や先入観との闘いに勝利し、エンタープライズ市場で急速に拡がるOSS採用
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「中でも、ミドルウェアプラットフォームであるJBossの伸びはめざましいものがあります。特に注目していただきたいのは、JBossを構成するTomcatやApacheまでを含めたオープンソースミドルウェアという領域のビジネスが急速に成長しつつあるという事実です」
こうした市場の変化と成功を体現するのが、「初めは無視され、次に笑われる。次に闘いを仕掛けられ、そして最後には勝つ(First they ignore you, then they laugh at you, then they fight you, then you win. )」という、マハトマ・ガンジーの言葉だ。インド独立を率いた偉大な政治指導者の言葉をあえて引用してきたところに、OSSがこれまで歩んできた困難な道のりを、いままさに克服しつつある喜びと自信が伺われる。
「これまでOSSといえば『無料』という点のみがクローズアップされがちでした。しかしそれはオープンソースの本質をとらえていません。OSSの本当の良さは、技術者のコミュニティによって開発が進められ、時代の中でつねに進化し続ける点にあります。つまり時代の風をもっともよくとらえ、迅速に機能に反映していける点こそが、OSSの強みであり長所なのです」
ユーザー自身が「エンタープライズで使える」と気づいて加速度的に評価が高まった
では、なぜOSSはエンタープライズシステムを担保できると認められるようになったのだろうか。田澤氏は次のように述べる。「ソフトウェアそのものの品質が向上したことや、スキルセットを持つエンジニアや企業が増えてきたことはもちろんですが、もっとも大きいのは“ユーザーが実力に気付き始めた”ということでしょう。古い偏見や先入観が、新しい事実に押し流されたといってもよいかもしれません。多くの企業が内部検証を重ねて、なんら問題がないことを確信したことで採用が拡がり、その評判が評判を呼ぶというかたちで加速度的に拡がっています」
レッドハットが開発・販売を手がけるLinuxディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」が市場に与えた影響も大きい。
「レッドハットがRHELを皮切りに『商用OSS』をうたってリリースした時点で、大きく変わってきたと感じています。OSSそのものは確かに無料で誰でも手に入れることができます。しかしそれは『高い木の上にある果実』です。それを『商用OSS』として、長期間にわたって当社が公式にサポートすることに大きな意味があります。サポート体制の確立と品質の担保を含めて訴求していった結果、ユーザー企業の側にエンタープライズ向けのソリューションであるという認識が定着してきたのです」
ちなみにレッドハットではユーザーサポートを、チーム単位で行っているという。
「我々のビジネスの中心は『人』にあります。そのため、プリセールスやコンサルタント、サポートエンジニアなどの各職種が互いに連携を取りながら、緊密かつ包括的な顧客サポートを提供できる体制を整備しています。こうしたサポートがお客様の安心感を強化し、よりスムーズな導入を促してきたという効果もあると考えています」
こうした製品採用の流れの中でも特にミドルウェア領域は顕著な伸びを示しており、中でも最近の引き合いとしては、既存のミドルウェアからの移行が非常に多いと田澤氏は語る。
「他社製品からのマイグレーションがほぼ半数を占めています。一方、これまでOSSをそのまま使われていたのが、エンタープライズにふさわしいサポートを欲しいということで移行されるお客様もいらっしゃいます。数年前はコンペティションの舞台にさえ立てないこともありましたが、現在では圧倒的なコストパフォーマンスを背景に、エンタープライズソリューションとしての信頼性を確立し、互角以上の闘いを見せています」
OSSならではの省コスト性が再評価
時代の追い風を受けて順風満帆の感があるOSSだが、ここでさらに強みになるのがコストの安さだ。かつてOSSのライセンスフィー不要という点は、ときに「安いだけ」と競合製品のマイナス評価に利用されがちだったが、十分な機能と信頼性を得た今、「充分な機能でしかも安い」というアドバンテージに180度転換した。まさに、冒頭のガンジーの言葉通り、勝利へのシナリオが動き出した感がある。「ある通信大手のお客様は、データベースのコストを下げたいということでJBossを導入されました。またある商用ベンダ製品を使っている企業のプロジェクトマネージャーからは、年間何千万も保守費用を支払うのは採算が合わないので、JBossへのマイグレーションを検討したいというご相談をいただいています。現在の景況や企業のシステム投資の見直しという流れの中で、コストパフォーマンスという面からもJBossをはじめとするOSSに関心を寄せる企業は確実に増えてきています」
さらに田澤氏は、現在もっともホットなキーワードの一つであるSOAの実現にも、OSSは大きな効果が期待できると強調する。
「SOAを構築するとなると、アプリケーションサーバーとしての機能に加えてエンタープライズサービスバス(ESB)やビジネスプロセス管理(BPM)といった機能が必要になることもありますが、これを一般の商用製品でそろえると数千万円規模の費用がかかります。しかしOSSならばライセンスフィーは無料ですし、サブスクリプションはメンテナンス費用のみ。さらに他のツールやソフトウェアを組み合わせても、十分の一くらいのコストで済むケースもあります。 つまりOSSには、企業にとってSOAのしきいを大幅に下げてくれる効果があるのです」
ますます加速するOSSの流れを誰も止めることはできないと、自信を持って語る田澤氏。エンタープライズの信頼性をローコストで手に入れたい企業にとって、OSSはいまや必須にして最適の選択肢になりつつあるのは間違いないだろう。
レッドハットではこうした機運の高まりを受けて、2009年7月16日(木)に、東京・秋葉原コンベンセーションホールで「Truth Happens, The Story of JBoss 2009」と題した無料セミナーを開催予定だ。ぜひ、この機会にOSSとJBossの熱い現在を、肌で感じ取って見てはどうだろうか。
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