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  • 2009/08/12

【原田曜平氏インタビュー】中国のマーケットを牽引する次世代の消費者を追え!

日本でも注目を集めながらも実情がはっきり見えない中国経済。その広大なマーケットを読み解く鍵となるのが、中国で新しく台頭しつつある消費者の八〇后(バーリンホゥ。1980年代生まれの若者を指す)である。余蓮氏との共著『中国新人類・八〇后(バーリンホゥ)が日本経済の救世主になる!』(洋泉社)を刊行された博報堂研究開発局の原田曜平氏に、 大きく変化しつつある中国市場とそれを担う次世代の消費者の実態についてうかがった。


八〇后(バーリンホゥ)の特徴は?

――まずは、今回の本を書くきっかけを教えていただきたいのですが。

原田氏■
私はたまたま会社でマーケットとしての八〇后について研究していたんです。八〇后は今、中国で本腰入れてビジネスをやっている企業ならどこも前提として知っているというぐらいに徐々に注目を浴びるようになってきています。だから、中国経済と本気で向き合ってきている方々からすれば、今回の本についても、「何? 今さらこんな本?」というぐらいの受け止め方のようです(笑)。

 でも、まだ知らないグローバル企業の方も依然としていますし、日本国内でこの話をしても、多くの人はまったく興味がないか、そもそも知らない。だから、少しでもこういう層が存在するということを伝えたかったのです。

【コラム】『現代美術場外乱闘』
『中国新人類・八〇后(バーリンホゥ)が
日本経済の救世主になる!』
――八〇后の特徴を簡単に教えてください。

原田氏■
はい。まず、八〇后は改革開放経済以降に生まれた初めての世代だということ。これはやっぱり相当大きな特徴で、彼らより上の世代はお金もなかったし、消費という概念もなかったし、倹約は美徳と考えられていた世の中でした。お金持ちも今より一部にしかいない状況だったんです。

――毛沢東の強い影響下にあった世代ですね。

原田氏■
そうですね。文革(文化大革命)が終わった後に生まれた世代です。改革解放経済から受けた影響はすごく大きくて、この本の中にも書いてある有名な笑い話があるのですが、70年代生まれの人が80年代生まれの人に「おれの小さいときは肉なんて食べられなかったんだよ」と言ったら、「なんでスーパーに行かなかったんですか?」と80年代生まれの人に突っ込まれてしまったという(笑)。それぐらい大きな違いがあるんです。中国には、そもそも「消費」をほとんどしてこなかった上の世代の人たちがいまだにいる一方で、いきなりどんどん新しいものが入ってきた人たちもいますから、その間に決定的に大きな差がある。それが八〇后の大きな特徴のひとつです。

 2つ目の特徴は、八〇后は一人っ子政策の第一世代だということ。ただし、よく日本人に誤解されているのですが、一人っ子政策だからといってみんなが一人っ子というわけではありません。政策適用外の地域や民族があるので、兄弟がいる人も多いんですよ。日本と一緒で、若者の数が少ないんじゃないかと思われていますが、実は違って数がとにかく多いんです。八〇后は、ほぼ二億人と言われています。他の世代と比べても、少なくはありません。日本で団塊世代や団塊ジュニアがマーケットだと言うなら、なぜここを狙わないのかが不思議なんです。

 さらに中国の場合は、地縁・血縁が日本以上に根強く残っているので、八〇后の人たちは両親のみならず、祖父母や顔見知りの隣近所の人たちからも何か買ってもらったりとか、お金の援助を受けて育ってきています。下手すると、10人分20人分のお金に支えられて生きてきた子たちなので、消費カルチャーが体に染み付いているんです。だから、自分一人のお小遣いや給料より、すごく高いものでも買えてしまう。身の丈以上の消費をできるのです。だから海外製品、日本製品なども、彼らにとっては照準をあてるべき商品になるんですよ。

――本書の中でも実例が挙がっていましたが、都市部の若者がそれほど高額の給料をもらっているわけでもないのに、マンションや200万円ぐらいの車を買っています。

原田氏■
はい。それは親世代からの援助もありますし、給与自体が毎年どんどん上がっていくのでローンも組みやすい。この先、給料が上がり続けるからペイできるだろう、という感覚があるんです。昔の日本もそんな感じだったと思います。

――八〇后はやはり都市部に多いものなのでしょうか?

原田氏■
いえ、80年代以降生まれを指す言葉なので、地域に関係なく中国全域にいます。ただ、3つ目の特徴として大卒でホワイトカラー率が高いということが挙げられます。文革の時代は大学教育が禁止されていたので、八〇后は大学教育が再開されてからの子たちということになります。大学卒業者やホワイトカラーは、やはり都市部に集まってくる傾向がありますね。

 とは言え、中国はあまりに広大ですから、皆が東京・大阪、名古屋に集まる日本とは違い、大都市も分散されている点には注目しなくてはいけません。一生上海に行かない中国人も、北京に興味すらない中国人もたくさんいるんです。

――それにしても今、日本の表参道とかに行ってみますと、ショッピングに来ている中国系の人を本当によく目にしますよね。

原田氏■
銀座にも多いですよね。つい最近、初めて中国で個人旅行が解禁されたんです。それまでは団体旅行じゃないとダメだったんですよ。今でも、個人旅行は年収の高さなどの条件はありますが、一応解禁されました。これからもっと条件が緩くなってくると思うので、たぶんまだまだ増えると思いますね。

――知人から聞いたのですが、中国で日本のラーメン屋マップが売れていて、それを持ってみんなで日本のラーメン屋を回って歩くとか。

原田氏■
日本の「味千ラーメン」というラーメン屋さんが中華圏で今、すごく売れています。とんこつスープの熊本ラーメンなのですが、アジアではもう、ラーメンといえば味千だろう、というぐらいの知名度なんです。日本のラーメンは中国のラーメンとはかなり違うので、すごく旬なトレンドになっているということもあるんですが、その一方で中国は日本で言うところの60年代ぐらいの感覚なのですよ。

 要は、海外旅行に行くのは芸能人やお金持ちだけで、ほとんどの人の新婚旅行は熱海や宮崎だった、という時代。だから、海外なんてまだ夢のまた夢、日本に来ているのはごく一部の中間層以上の人たちです。けど、中間層だと、あまり贅沢はできない。だから、日本のラーメン屋さんや郊外のショッピングモールなどで安く楽しんでいるわけです。

 で、本当の富裕層は、たぶん銀座に行ってブランドで買い占めて、とかしたりしているんですけど(笑)。ある高級ブランドの六本木店と二子玉川店にインタビューをしたら、一番の購買層は、台湾と中国の富裕層だそうです。日本にいながら中国の消費者のマーケティングをしなきゃならない、という悩みを相談されたりしたことがあったんですけどね(笑)。

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