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  • 2009/10/19

金融機関のITコスト構造を改革する「ITコストのデザイン」と「新技術の活用」--アクセンチュア 宮良浩二氏

昨年秋以降の急速な景気後退は、日本の金融機関の経営にも強い影を落としている。その結果、各社は、短期的な利益の改善・確保のためのコストカットに躍起となっており、IT投資は停滞している。しかし、多くの金融機関のコンサルティングを手がけるアクセンチュア 金融サービス本部 パートナー 宮良浩二氏は、「従来型の『見えやすく切りやすいコスト費目のカット』にとどまってはならない。この難局をITコスト構造の抜本的改革の好機とすべき」と指摘する。そのためのキーワードが『ITコストのデザイン』と『新たな技術の活用』だ。

固定的IT支出と機動的IT支出の割合を考えるべし


アクセンチュア
金融サービス本部
パートナー
宮良浩二氏

──景況が厳しい中、比較的IT投資額が多いとされる金融機関も投資額を控える傾向が指摘されています。こうした中、日本の金融機関はIT投資にどのような姿勢で臨むべきでしょうか?

 現在、アクセンチュアには金融機関からITコスト削減のコンサルティングの要望が多く寄せられています。メガバンクや大手証券、生損保では、2007~2008年までの大型プロジェクトが一服したことと、昨年来の金融危機に端を発した急激な業績悪化があいまって、2009年、つまり、今年度のIT投資予算は、軒並み減少しているのが実態です。IT投資予算の大幅カットという意味では、地銀や中堅証券会社が大企業よりもさらにシビアな状況という印象を受けています。IT部門の方とお話をしていても、「予算カットばかりで何もできない」と、嘆きともとれる声を聞くことが増えています。

 しかし、私はこれを好機でもあると申し上げています。つまり、お金の使い方にシビアになっているタイミングだからこそ、ITのあり方を再考し、ITの投資効率を上げることを真剣に議論すべき絶好のチャンスなのです。というのも、金融機関におけるITの重要性は言うまでもなく、また経費効率を上げる点でITの活用やIT投資のあり方は、経営そのものの優劣を決めるからです。

 「予算カットばかりで何もできない」というIT部門のままでいるか、「ITコスト構造改革の好機」ととらえ、IT部門自らが経営やユーザー部門と真正面に向き合えるか、その取り組み姿勢によって中期的なITの生産性に大きく差がつく局面だと考えます。

──日本の金融機関のIT投資の特徴について教えてください。

 日本の金融機関は、固定的IT支出の割合が多く、業績下降局面では機動的IT支出を抑制するサイクルを繰り返していると言えます。アクセンチュアでは、固定的IT支出と機動的IT支出について次のように定義しています。固定的IT支出とは、今日現在のビジネスや業務を維持していく上で必要不可欠な支出のことです。たとえば、現行システムの保守・運用費はその最たるものでしょう。加えて、ガバナンスやリスク管理などの制度対応の開発案件や、ハードウェアの更改投資も固定的IT支出と見なします。これは既存ビジネスを維持する上で避けては通れない支出だからです。

 一方、機動的IT支出とは、新規ビジネス、既存ビジネスの成長や業務効率化、コスト削減などを目的としたシステム構築のための支出のことを指しています。これらは支出を中止しても既存ビジネスに対するITサービス提供に影響がないという意味で「機動的」な支出だと言えます。

 そして、固定的IT支出と機動的IT支出の比率ですが、アクセンチュアでは、継続的にITの経営への貢献を高めるためには、トータルのIT支出の少なくとも45%程度を機動的IT支出に振り向けることが理想的だと考えています。

 しかし、日本の金融機関の典型例で言うと機動的IT支出には、20~30%程度しか振り分けられていないのが現状です。投資効率が悪い金融機関では20%に満たないという例も少なくありません。また、機動的IT支出の中身も、機能改善レベルの案件に多くの予算を振り分けている例は稀(まれ)ではありません。その結果、『便利機能』が充実してITコストは積み上がるものの経営上の効果は見えない、という結果に陥るケースもあります。

 業績下降局面では、この機動的IT支出の部分の予算カットで当座をしのぐというのがよく目にする対応です。これは最も簡単なアクションだからです。

 冒頭に2009年度の各金融機関のIT予算は軒並み減少していると言及しましたが、正確には大型プロジェクトを軒並み2010年以降に延期しているのが実態で、機動的IT支出がコストコントロール上の調整弁になっています。これは、短期的なコストコントロールとしては意味のあるアクションですが、IT投資の構造が変化していないことが問題で、プロジェクトを再開すれば、IT支出の水準は元に戻ることになります。

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