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  • 2009/11/06

倒産企業買収による競争力強化のすすめ、今こそが買い時--野村総合研究所 後藤知己氏

企業のM&Aは対象企業とのシナジー効果の発揮や自社が保有していない新規事業分野にスピィーディーに進出するために、有効な手段として近年盛んになっている。しかし、現下の経済環境にあっては、一部を除き停滞気味だ。こうしたなかで「倒産企業を買収の対象として考えるべきだ」と主張するのが企業再生支援を専門に手がけている野村総合研究所の産業革新コンサルティング部の主任コンサルタント 後藤知己氏だ。同氏に、今なぜ倒産企業の買収なのかを伺った。

丸山隆平

丸山隆平

経済ジャーナリスト。1972年日刊工業新聞社入社、以降88年まで第一線の経済・産業記者として活躍。経団連、NTT、通産省、郵政省、労働省、東京商工会議所、各記者クラブ所属、米国特派員を経験。情報通信、コンピューター・ソフトウエア産業草創期から取材。コンピューター・OA、情報通信、経営問題関連の執筆・著作多数。1989年から投資家向け広報(IR)コンサルタントとして内外の企業IR・PRをサポートしている。

倒産企業の買収は経済的なメリットが多い

──倒産する企業数が増えていると聞きます。

 金融危機以降、景気悪化により国内の倒産件数は急増しています。東京商工リサーチによると2008年の倒産企業数は前年比15%増で、5年ぶりに1万5,000件を突破し、民事再生法や会社更生法の適用申請が相次いでいます。その一方でM&A件数は2009年度上期で前年同期比件数23.9%減、金額も半分以下に減少しています。

──M&Aが減少しているのはどのような理由からでしょうか?

 本来、有力な買い手である同業他社も事業が苦しく、M&Aに消極的です。そのため、再生企業に買い手がつかない状況です。他方、優良企業にとって経営破綻によって競合企業が淘汰されることは、競争環境の緩和や残存者メリットの享受につながるため、「わざわざ買収・支援する必要がない」と判断していると思われます。しかし、日本社会は今後の人口減少に伴い、多くの分野で国内市場が縮小することは必至です。このため、このため、国内で生き残れるだけの事業規模・企業体力を獲得することや海外展開も視野に入れ、業界再編・M&Aを継続的に“しかけて行くこと”が重要な経営戦略だと考えています。

──倒産する企業を買収するということはどういうことなのでしょうか?

 昨今の倒産は、金融機関から融資を受けられずに資金ショートするケースが増えているとみられ、倒産企業が有力なチャネル、製品・技術などの事業資産を持っていることが少なくありません。倒産というマイナス・イメージでこうした企業の持つ魅力・価値が隠されてしまうわけですが、実は倒産企業の買収は一般企業の企業買収に比べ、メリットのある場合が多いとみられます。

──倒産企業買収のメリットについて、もう少し詳しく教えてください。

 買収価格の決定は通常のM&Aでは、対象企業の将来のキャッシュフローから決定されることが多いので、高値での買収になりやすい傾向にあります。というのも、対象企業の将来の事業計画を起点にして、買い手とのシナジーや経営権の変更に伴うプレミアムも含んだ金額で交渉を行うことになるからです。

 一方、倒産企業の場合には金額の多寡に関わらず、買い手企業に新しい事業スポンサーが付くことで信用力の回復に期待する面が少なくありません。そのため、買い手は将来キャッシュフローに基づく交渉ではなく、最低限の資本金や債権者への弁済金額で買収することが可能となります。

 つまり、法的な倒産手続きに入ると、それ以前に比べ取引先に対する信用力の低下や優秀な社員がいなくなるなどの企業価値の劣化は進みますが、その分、より安価で買収することができます。買収後、買い手がこうした劣化をどのように補完できるかがポイントとなります。

──最近では、その地域の中核となるような地元企業の倒産も少なくありません。

 地方の倒産企業の支援であれば、地方経済における雇用維持という観点から、買い手企業のブランド力や評判が向上するメリットも期待されます。また、倒産企業の救済的な買収であれば、地元経済界や売り手企業の経営陣、従業員ともにいわゆる「乗っ取り屋」というイメージを持たれることもなく、地元経済界との新たな連携も期待されます。

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