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  • 2010/03/03

日本データ復旧協会 理事長 濱田 兼幸氏インタビュー:仮想化されたデータは復旧できるのか?重要性増すデータ復旧の最新動向を聞く

ディスクの容量当たり単価の下落、J-SOXやe-文書法などが後押しして、電子データは増加の一途をたどっている。ただデータは物理的な破損や天災、人為的なミスなどによって、常に損失してしまう危険性がある。バックアップやレプリケーション、RAIDなど、データ保護の方法は数多くあるが、最終的に破損してしまった場合にどうするのか。その駆け込み寺が「データ復旧」である。2月1日に発足した「日本データ復旧協会」の理事長、濱田兼幸氏に、データ復旧の現状と課題について伺った。

データ復旧市場は景気に大きく左右される

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日本データ復旧協会
理事長
濱田兼幸氏
──データ復旧市場の動向についてお教えください。

 ここ数年、データ量はますます増大しています。たとえば、内部統制や監査証跡(J-SOX)、e-文書法など、紙ではなく、電子データで企業のデータを保存しなければならないという数多くのトリガーがありました。また、メモリやディスクの単価はどんどん安くなっており、大量のデータを取り扱うのは必然の流れなわけです。

 では、データ復旧市場はデータが増大するのと同じような成長を遂げているのかというと、決してそうではありません。現在のデータ復旧市場をみるうえで、大切なポイントが2つあります。

 ここ3、4年、ハードディスクの容量が増大するのに伴って、その信頼性も劇的に改善されています。我々の仕事柄、どのメーカーがどのくらいの駆動率なのか、どの程度の割合で故障するのか、復旧を依頼されるディスクを見て把握しています。たとえ不良率の高いハードディスクを作られたメーカーさんであっても、次の世代では大きく改善されているのですが、特に最近は故障率低下の傾向が見られます。

 また、データの重要性が増すにつれて、各種の情報設備の堅牢性が飛躍的に高まっています。これまで、各ユーザー企業がそれほど良くない環境、たとえば空調が悪い、機器が良くない、停電対策がない、といった環境に機器を設置し、それが原因でトラブルが起こっていましたが、重要なデータは充実したバックアップ体制のもとに置かれています。昨今注目を集めるクラウドサービスなども、設備の整ったデータセンター上で運用されているわけです。

 こうした状況から、データ復旧市場の見通しは非常に読みにくい状況が続いています。正確な統計を持っているわけではありませんが、現在のデータ復旧市場は、最終小売ベースでおよそ30億円~40億円程度と考えています。ネガティブな見方もありますが、そこはものの見方で、どんなに堅牢な設備を用意していても当然破損はあるわけです。人為的なミスや天災などはいつの時代もついてまわるので、急激に伸びていく時代は終わったが、長い目で見れば、じりじりと伸びていくのではないかと思います。

 また、案外知られていないことですが、データ復旧市場というのは、景気によって大きく影響します。感覚値的な話しですが、データ復旧に関する依頼の仕事量は日経平均株価とほぼ一致しています。これは、景気の良いときであれば、100万、200万のお金をかけてデータを復旧しようとしますが、景気が悪くて財務的に苦しいとなれば、人海戦術ですべてのデータを改めて入力し直すなど、経費を削減しようとすることなのだと思っています。

データ復旧会社の選定は慎重に

──2月1日には「日本データ復旧協会」を立ち上げられました。不景気に業界で立ち向かうということなのでしょうか?

 不景気が直接的に影響したわけではありません。前々から同業他社間で日本データ復旧協会のようなものを立ち上げる必要性を共有しており、準備が整ったため、2月1日に協会を立ち上げました。

 日本では、1995年くらいからデータ復旧という事業が始まりましたが、その後、多くの企業がこの業界に参入し、現在ではPCの修理屋さんから専業でデータ復旧をやっているところまで、100社を超える企業がひしめきあっています。

 一方で、データ復旧に求められる要件は数多くあります。たとえば、データを復旧する技術はもちろんのこと、データ復旧に最適な環境で取り組むことができるのか、また復旧したデータを適切に取り扱うことができるのか、といったことです。また、費用を払ってでも復旧したいデータというのは非常に機密性が高いケースもあり、プライバシーマークやISMSなども必要な条件と言えるかもしれません。しかし、特に技術水準などは、社外からみてなかなか適切な判断が行えません。

 また、データ復旧はすべてのデータが復旧できるわけではありません。ディスク上の一部であったり、重要なデータに関する部分のみを復旧依頼されることもままあるわけです。にもかかわらず、100%必ずデータを復旧します、といった過大な謳い文句を使って顧客を誘導するような会社もあるようです。

 さらに、データの復旧は最初に依頼した会社でダメなら別の会社に出せば良いというわけにはいかない点も注意が必要です。ハードディスクであれば、中のプラッター面に傷が付いてしまうとデータの復旧は難しくなります。他の業者に出されたものを持ち込まれたとき、そのプラッター面に指紋が付いていて本当にプロが処理したのか疑わしいケースさえあります。

 このように、復旧会社の選定は慎重に行われなければなりませんが、実際はなかなかその選定を適切に行う方法がありません。そこで、データ復旧に関して長年取り組んでいた企業で、少なくともデータ復旧に対するマナーや取り組みの要件、そして技術レベルを満たしているかどうかを担保できる仕組みを用意し、お客様が安心してデータ復旧を依頼できる会社を広く知っていただく目的で、データ復旧協会を立ち上げました。今回立ち上げに参画した企業は、アドバンスデザイン、アラジン、くまなんピーシーネット、データサルベージコーポレーション、ワイ・イー・データの5社ですが、売上規模で大体40%~50%程度はカバーしているはずです。

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メディアのイメージを取得する設備。1度に複数の台数を処理するには各種設備が必要になり、常に更新を行う必要がある。(写真提供:ワイ・イー・データ)

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