- 2007/03/12 掲載
関西流ベタベタIT商法の挑戦14~大きいことは良いことだ!「バカでか商法」の宣伝効果
合同会社 関西商魂 代表 中森勇人
中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。
公式サイト http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/
![]() |
合同会社 関西商魂 代表 中森勇人 |
今までの大阪土産といえば塩昆布や岩おこしだったが、これらはもらってもあまりうれしくない。というわけで、日本中どこでも受ける大阪名物を作ろうと立ち上がったのが「伴ピーアール」の伴一郎社長。今や大阪のビジネスマンの定番土産となった「くいだおれ人形の携帯ストラップ」を世に送り出した人である。
これはおなじみの大阪の巨大カンバン「くいだおれ」「づぼらや(ふぐ)」「かに道楽」「グリコネオン看板」をリアルに再現し、キーホルダーと携帯ストラップにしたもの。累計売り上げ個数はなんと550万個を越え、売り上げは27億円にも上る。
実はこの土産には、おもしろい仕掛けがある。商品が売れると看板のオーナーにロイヤリティーが入る、商品には店の電話番号が入っていて、これで予約をする客を獲得。商品を作っている伴社長には売り上げが入るという仕組み。さすがはタダでは起きない大阪の商売。一つのインフォメーションを何度も使い、その全てが商売に結びつく仕組みだ。
しかし、最初店側は胡散臭いと門前払いだったという。店の電話番号を入れるアイデアを出してようやくOKがとれたが、交渉開始から一年が経過していた。
せっかく苦労をして開発した商品だったが、販路が無い。まずは大阪城の天守閣に置いてもらうことにした。ところが大阪城から苦情が来た。これは読売テレビが朝の天気予報でくいだおれ人形を手に紹介したのが発端だった。番組を見た若い女性が「土産ものを買いに行くだけやから」と入場料を払わずに次々と入口を突破したのだという。
この人気はバイヤーの目にも止まった。問い合わせが殺到し、瞬く間に大阪中のみやげ物屋が扱うようになったのだという。最近はインターネットで「グリコネオン看板のストラップ」が噂になっている。噂と言うのは看板を裏向けるとゴールテープを切るランナーの後ろ姿が見られ、この姿が合格をイメージさせるというもの。今や受験生のお守りとして携帯に付ける必須アイテムなのだという。 合格のお守りとして売ったり、客からカネを取って宣伝までさせてしまう商売は一粒で何度もおいしい儲けをもたらすのであった。
関連コンテンツ
PR
PR
PR