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2010年08月26日

テックバイザージェイピー 栗原 潔氏、東京システムハウス 清水 真氏 対談

【対談】いよいよ「待ったなし」のレガシーマイグレーション。中堅中小企業にとっては「クラウド」が新しい選択肢に

原口総務大臣は7月30日の閣議後記者会見において、官庁のレガシーシステムの現状を把握するためレガシーマップを作成していると言及した。その中では、各省庁が持っているコンピュータシステムを「遺物」と表現し、レガシーから脱却する姿勢を強調した。官公庁がこうした姿勢を見せたいま、いよいよ民間でもレガシーマイグレーションが"待ったなし"の状況を迎えたといえよう。東京システムハウス主催で10月20日に開催されるマイグレーションセミナー「MMSフォーラム2010」に先だって、基調講演を担当するテックバイザージェイピー 栗原 潔氏と、東京システムハウス 清水 真氏に、マイグレーション市場の現状と展望を語ってもらった。

「待ったなし」の状況を迎えたレガシーマイグレーション

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東京システムハウス
パッケージソリューション事業部
マイグレーションコンサルティング部 部長
清水 真氏

清水 真氏(以下、清水氏)●最近のメインフレームの動向について、どう見ておられますか。

栗原 潔氏(以下、栗原氏)●エポックメイキングだと思ったのが、総務省の原口大臣が、官庁のレガシーシステムを何とかしなければならないという話をされたことです。官公庁のレガシーの話は以前から言われてきたことですが、さすがにもう放っておけないところにきているのだと思います。

清水氏●日本はメインフレーム大国と言われていますが、各メーカーの動向についてはいかがでしょうか。

栗原氏●メーカーも「もうそろそろメインフレームは止めたい」というのが正直なところではないでしょうか。独自のメインフレームをハイエンドサーバとして売っていこうとしているIBMさんのような例もありますが、あくまで例外だと思います。システムそのもののレガシー化ではなく、システムをわかっている人が少なくなる「人のレガシー化」によって、マイグレーションせざるをえないという話もよくききます。

清水氏●わかっている人が減って大型のシステム開発もないため、新しい開発者も育たないという話はよくききますね。

栗原氏●実際にマイグレーションをされている立場で、業種によるちがいは何か感じておられますか。

清水氏●最近は金融・保険業界から、マイグレーションのお話をいただくことが増えています。製造・流通のレガシーシステムが事務処理や販売・生産管理用のシステムなのに対し、金融・保険の場合は、それ自体がお金を生み出すシステムです。したがって、システムに対する投資、重要度の位置付けがより高いという面はあると思います。そういったお客様が割高なレガシープラットフォームを使い続けることに疑問を持たれて、マイグレーションを検討されることが増えているように思います。

栗原氏●じつは、ちょっと前に中国に行ったのですが、中国にはレガシーシステムがないため、新しいアーキテクチャに思い切った投資ができるという話を聞きました。

清水氏●中国にレガシーがないことは、我々も感じています。最近、台湾に行ってメインフレーム事情を聞いてきたのですが、メインフレームが入っているのはメガバンクと官公庁だけで、一般企業にはほとんど入っていません。そもそも台湾では、「マイグレーション」というキーワードそのものがないのです。

栗原氏●レガシーシステムは、日本の国際競争力という観点から見てもマイナス要因と言わざるをえないでしょう。

中堅中小企業にとって魅力的なクラウドを活用したマイグレーション

清水氏●現在、我々は中堅中小企業のレガシーシステムを、クラウドに持っていくソリューションを考えています。オープン系のサーバにいくつかのミドルウェアを組み合わせてCOBOLが動く環境を構築し、そこにアプリケーションをのせて動かします。その基盤部分を我々の方でクラウドにし、それを仮想環境としてお客様に提供する形です。これによってお客様は、ハードウェアやミドルウェアの導入コストを抑えることができ、保守・運用のわずらわしさから解放されます。

 また、マイグレーションではアプリケーションのコンバージョンを行う工程があるのですが、我々が持っているコンバージョンのための変換ツールをクラウドで提供することも検討しています。これは、特にレガシーユーザーを多く抱えているベンダーにメリットがあると思います。我々としては、この2つのマイグレーション用のクラウドサービスで、中堅中小企業向けにクラウドを展開していきたいと考えています。

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テックバイザージェイピー
代表取締役
栗原 潔氏

栗原氏●いずれも中堅中小企業にとっては、魅力的なサービスだと思います。

清水氏●リーマンショック以降、お客様のコスト意識が非常に高まったと思いますが、これは導入の初期コストを抑え、維持コストの見通しが立てやすいクラウドには追い風だと感じています。マイグレーションサービスをクラウドで提供することで、検討できるお客様の層が広がると思っています。また、我々はデータセンタを持っているわけではありませんので、データセンタを運営する企業のサービスとしても、利用していただけるのではないかと期待しています。

栗原氏●クラウド化が進展しても、通常はオンプレミスのシステムも残りますので、今後はクラウドとオンプレミス間のデータ連携が課題として出てくるのではないかと思います。特にバッチなどで大量のデータの転送をすると、かなり時間がかかるはずです。

 また、ユーザーの立場から見ると、「クラウド」はプラットフォームの選択肢が1つ増えたに過ぎないという言い方もできると思います。レガシーがあって、Windowsがあって、UNIXがあって、クラウドがあって、ということですね。そして、そのクラウドというプラットフォームは、運用管理が不要でいくらでも拡大できる特徴があるということです。

清水氏●クラウドのコストについてはいかがでしょうか。つねにコストが発生することに抵抗を感じるユーザーは多いのでしょうか。

栗原氏●これは、企業の財務に対する考え方しだいだと思います。IT部門の方だけではなく、財務部門の人にとってもクラウドの価値を訴求していくべきと思います。

クラウドの登場で相対的に高まるレガシーを持つリスク

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「クラウドの登場で、レガシーシステムのマイグレーションがますます『待ったなし』の状況になったのは間違いないと思います」

清水氏●クラウドが登場したことで、ユーザーが考え方を変えなければならない点は何かありますか。

栗原氏●ポートフォリオ管理がより重要になってくると思います。自社のアプリケーション資産を分類して、適材適所で投資戦略を考えるということですね。昔からある考え方ですが、クラウドの登場によってさらに重要になってくると思います。

 また、クラウドの登場によって、塩漬けのレガシーを持つリスクが、さらに高まったともいえます。今後は、ユーザーからみた競合他社は、自社のシステムをクラウドに移行することで、システムを柔軟に拡張できるようになります。そのような環境では、ユーザー数や商品分類を増やすのにも苦労するような塩漬けのレガシーを持ち続けることのリスクはさらに高まるでしょう。

清水氏●レガシーシステムは、もともと将来性や拡張性、他システムとの連携において課題が多いわけですが、クラウドによってますますリスクが高まるということですね。

栗原氏●そうですね。ハードウェアベンダーもこれまでは何とかサポートできていたのが、ハードウェアベンダー自身に余裕がなくなってきているのが現状ではないでしょうか。いずれにしても、クラウドの登場で、レガシーシステムのマイグレーションがますます「待ったなし」の状況になったのは間違いないと思います。

清水氏●本日は、ありがとうございました。

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