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  • 2011/08/17 掲載

非常時の事業継続、その正否の分かれ目は?データ戦略の基本を聞く――あずさ監査法人 津田圭司氏

あずさ監査法人 シニアマネジャー 津田圭司氏 インタビュー

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有力調査機関によれば、2011年7月上旬時点で東日本震災による経営破綻は200件を超え、すでに阪神・淡路大震災の際の件数を上回っているという。地震は建物や人員だけでなく、業務データなど現代の企業のコア リソースを一瞬で失わせてしまう。このためわが国の企業の間では、事業継続の観点からデータバックアップの取り組みが急速に進行中だ。そこで今回は、事業継続マネジメントに多くの経験を持つあずさ監査法人の津田圭司氏に、万が一の際に備えたデータバックアップとディザスタリカバリの取り組みについて伺った。

「まずバックアップありき」ではなくシステムを復旧させて何をしなければならないかを明確にするのが第一歩

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あずさ監査法人
ビジネス・アドバイザリー事業部
シニアマネジャー/公認情報システム監査人
公認内部監査人/システム監査技術者
津田圭司氏
 津田氏はまず企業のデータバックアップへの取り組みについて、「正否の分かれ目となるのは、バックアップ計画の根本に全社的な戦略があるかどうか」だと言う。

「多くの企業では、取り組みを部署ごとで考えている場合がほとんどです。しかしこれでは、部門で設定した目標は目指すものの、全社レベルで見るとばらつきがあったり、お互いの目標に齟齬が生じたりするケースが少なくありません。データバックアップ戦略には、全社で共通の目標と、その最終目標に向けた各部門の連携といった視点が必要です。ここがきちんと設定できれば、人やモノ、組織、データといった要素のうちどれが必要かといった優先順位もおのずと見えてくるはずです。」

 さらに問題となるもう1つのケースは、バックアップデータの復元までのプロセスが明確でない企業が多いことだと津田氏は指摘する。

「バックアップデータを実際に復元する際には、さまざまな現場の課題があります。まず復元したデータを入れるPCやサーバを、大地震や津波の後でどう調達するのか? それを操作する人員はどこから集めてくるのか? 単にバックアップデータが復元できただけでは会社は復活できないという事実に気づいていない企業が意外に多いのです。」

 また、どうにかシステムを復旧できても、必要なデータが完全に復元できているかは、営業や経理など各業務の担当者でないと判断できない。システム担当者は復元作業は行えるが、業務に必須のデータが抜けていても発見できないからだ。事業継続を可能にするデータバックアップには、全社横断的なチームワークと実行プランが不可欠なのである。 では、そうした実効性のあるデータバックアップ計画を実現する上で、押さえておくべき要件は何だろうか。津田氏は「ポイントはただ1つ」だと言う。

「どの業務を復旧させるためにバックアップするのかを明確に決めておくことが必要です。ほとんどの企業は『まずバックアップありき』で、プラン策定から実施まですべてシステム部門に投げてしまいがちですが、これではゴールを示さずに走らせるようなものです。まず営業や財務などのビジネスサイドが『非常時には、このデータをこの期間内に、ここまで復旧させる必要がある』ことを、はっきり要件として示しておかなければなりません。つまり『どのデータを復旧するか』ではなく、『どのビジネスを復旧するのか』をビジネスとシステムが共有することがもっとも重要なのです。」

【次ページ】コストとのバランス、ツール選択のポイントは?

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