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  • 2011/09/14 掲載

コストの必要性を判断する「最適化」と「変動化」 【連載】コストマネジメント思考法:真に利益を最大化するコストの見方(5)

A.T. カーニー 栗谷 仁 氏/小崎 友嗣 氏

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「コストマネジメント思考法 ―どんな状況でも利益を生み出す」(東洋経済新報社)の著者であるA.T. カーニー 栗谷 仁 氏と、同社プリンシパル 小崎 友嗣氏に、真に利益をもたらす“コストマネジメント”について語っていただく本連載。第5回目となる今回は、前回までのコストを適正化する上で有効な思考法からさらに踏み込み、コストそのものの必要性を考えるポイントと、コストマネジメント成功のヒントについて伺った。

かけた費用に対して、メリットが最大化するポイントはどこかを探る「最適化」

──前回まで、コストを適正化するための思考法として集約・分解・統合の重要性をお聞きしました。今回はさらに進んで、コストそのものの必要性をどう判断するのか、といったところをお聞きしたいのですが。

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A.T. カーニー
パートナー
栗谷 仁 氏
 栗谷■コストの必要性を判断するために不可欠な思考法は、大きく分けて2つ──「最適化」と「変動化」があります。

 まず「最適化」ですが、前回までは、経費として定められた金額を適正化し、コスト削減するための話でした。しかしコストをさらに一段上のレイヤーから「経営資源」として考えた場合、ただ減らすだけでは十分ではありません。そのコストが、果たして「費用対効果として見合っているか」という視点が必要で、この判断が「最適化」です。たとえば調達で値下げできたとしても、結果として品質が下がって売れないのでは、せっかくのコスト削減が利益につながらないからです。効果が出るのであれば、コストを増加することもあり得ます。逆に効果が薄いのであれば効果に見合ったコストまで下げることが必要となるわけです。

 特に難しいのが、「過剰品質」の問題です。費用をかけるほど品質は向上しますが、ある程度までいくと品質も売上もそれ以上伸びない。かけた費用に対してメリットが最大化するポイントはどこかを常に探る、こうした「最適化」の意識が、現場にも経営者にも必要です。

──費用と効果は、どこまでも正比例していくわけではないのですね。利益に結びつかない過剰コストを見つけ出すことが、「最適化」では重要になるということでしょうか。

 栗谷■その通りです。またもう1つ、「機会損失」という視点で判断することも重要です。これは一言で言うと、「より効果の高いものへシフトする」という考え方です。分かりやすく単純化すると、たとえば1人の営業担当者の人件費が20万円/月で、顧客のA社に対応すると30万円/月、B社ならば40万円/月の粗利が期待できるとします。この条件で、もしA社の対応に追われてB社まで手が回らなくなったらどうするかというと、営業担当者はA社への対応をやめてB社に集中すべきです。たしかにA社でも10万円の利益は出ていますが、B社に集中すればそれが20万円になるからです。

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図1■より効果の高いものにシフトする

 どちらも利益が出ているため見落としがちですが、実は他の方策をとればさらに利益が伸ばせたのに、というケースは珍しくありません。これが「機会損失」です。このように、同じ経営資源を使ってもより大きな効果を期待できる方策があるかどうかを探ることも、コストの必要性を判断する上では重要です。

 実際にコストの「最適化」を実践する過程では、先に述べた「費用対効果」と「機会損失」の視点を組み合わせて、より効果の高いものに資源を集中することが求められるのです。

 小崎■「最適化」を実践する際に、「費用対効果」をどう判断してよいか分からないという話をよく聞きます。また、「費用対効果」だけでは図りきれないような、性格の異なる支出が何種類もある場合、どれを重視するかで各部門間がもめるケースもしばしば見られます。

 たとえばR&D部門と営業部門では、投資しようと考える対象が当然違い、各々その費用対効果を主張してきます。そこで会社としては、経営判断として何をどういう組み合わせで実施するかを決める必要があります。そうした意味での優先順位を戦略に沿ってつけていく「最適化」も重要なミッションです。私たちがコンサルティングを行う際も、まず「戦略として何を大事にするか?」「何を軸にするか?」から始めて、そのスコープに合った費用の使い方を、社内各所のコンセンサスを取りながらしぼり込んでいきます。

この記事の続き>>  コストの必要性を判断する
             もう1つの思考法「変動化」とは?

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