- 会員限定
- 2012/02/14 掲載
震災後2週間で操業再開、富士通のグローバル戦略を支えるサーバ生産工場を訪ねる
通産100万台を超えるPCサーバ生産を達成
まず簡単に富士通アイソテックの沿革を紹介しよう。同社は1957年に、富士通(当時は富士通信機製造)と中堅SIerのクロサワ(当時は黒沢商店)との共同出資により「黒沢通信工業」として創業、富士通のグループ企業として電算機端末事業からスタートした。1975年から開始したプリンタ事業は、今でもシリアルドットプリンタおよびサーマルプリンタの開発、製造、販売、保守まで行っている。1985年には現在の「富士通アイソテック」に社名を変更した。
そして2001年からはPCサーバおよびワークステーションの製造をユーザック電子工業(現PFU)から移管し、「Made in Japan」として製造を開始している。また、2002年からは富士通東日本テクノセンターとして個人向けPC(デスクトップ、ノートブック)の修理業務、2003年からは富士通東日本リサイクルセンターとして不要となったIT機器のマテリアルリサイクル事業を展開している。
同リサイクルセンターは品質、コスト、デリバリー、グリーンの4つのテーマで、使用済みのIT機器のリサイクル事業を営み、資源の再資源率90%以上という業界最高水準を達成している。そこで分別された部品はプラスチックの原料、燃料、金属原料、貴金属回収、ガラス原料としてリサイクルされている。
富士通グループ全体のPC修理を担う
同工場の主な製造機器であるプリンタとデスクトップパソコン、PCサーバのうち、プリンタについてはもともと創業当初から生産していたこともあり、現在でもドットインパクトプリンタとサーマルプリンタは製品企画から販売まで行っている。富士通ブランドはもちろん富士通アイソテックブランドやOEM販売も手がけている。
しかしながら今回は、主にパソコンとPCサーバの製造ラインを中心に取材した。デスクトップパソコンとPCサーバは正面建屋のすぐ隣の最も大きなE棟と呼ばれる場所で製造されており、1FがPCサーバ、2Fがデスクトップパソコンの製造ラインとなっていた。
1FのPCサーバ製造フロアは、ブレードサーバが1ライン、タワー/ラックサーバが4ラインの全5ラインで製造を行っている。専任の担当者がキッティング情報をもとに、ハンディターミナルを使用して部品を集め、ラインに供給し、ラインを流しながら数名で組み立てる体制である。
組立後に凹凸のある床を台車で通過させる振動試験を経て、基礎試験、高負荷ランニング試験、OS、ソフトウェアのインストールの工程で、約5時間程度で完成となる。それを終えた後に外観検査を行う。PCサーバの品質保証検査としては、組み立てた後に試験を行った後、梱包終了後の3箇所から抜き取り検査を行う。毎日数台実施しているという。
また同工場は、富士通グループ全体のパソコンリペア(修理)サービスの担い手であることも特徴のひとつだ。富士通グループでパソコンリペアセンターは日本に2拠点あり、同敷地内にある東日本テクノセンターがそのうちのひとつだ。西は富士通明石工場、東は富士通アイソテックで、関東甲信越以北はすべて富士通アイソテックに集めて修理される。パソコン修理は、引き取り、修理、配送で5日以内を目標にしているという。
【次ページ】3.11で被災した同社が2週間で工場を再開した原動力
関連コンテンツ
PR
PR
PR