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  • 2012/05/07 掲載

ノートPC、タブレット、TV、デジタル一眼など、主要エレクトロニクス製品48品目の世界市場動向調査

EMS生産に活路を求める日系企業

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リーマンショックから回復に向かっていた世界のエレクトロニクス製品市場は、11年の第2四半期から再び減速している。東日本大震災、タイの洪水災害、新興地域の需要鈍化、そして欧州の金融不安による欧米の景気後退が影響している。従来の主力製品であったLCD-TVやノートPCは失速し、スマートフォンやタブレットPCが他のモバイル機器から代替需要を取り込んで急増している。富士キメラ総研が主要エレクトロニクス製品48品目の世界市場動向調査を発表した。
 富士キメラ総研は、2012年1月から3月にかけて、主要48品目のエレクトロニクス機器・部品の世界市場における日系メーカー、外資系/ローカルメーカーの国別生産実績、市場動向、将来性などを調査し、その結果を「2012 ワールドワイドエレクトロニクス市場総調査」にまとめた。今回、新たに世界の主要EMS、ブランドメーカーの生産/開発、提携関係の調査を加えた。

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エレクトロニクス製品48品目の世界生産

 同調査によれば、2011年は主要エレクトロニクス製品48品目のうち、セット製品(33品目)の合計数量は10年の36億5,370万台から37億9,610万台と前年比3.9%増となった。分野別には、家電製品が6.6%、情報通信機器が7.4%伸びたが、AV機器はCRT-TVやコンパクトDSC、DVD/BDプレーヤの減少により前年比6.4%減となった。家電はルームエアコン、情報通信機器はスマートフォンとタブレットPCが高成長を見せた。

 ユニット製品/部品(13品目)は、高成長の静電容量式タッチパネル、有機EL、リチウムイオン二次電池などのスマートフォンやタブレットPC向け需要が牽引した。

 2011年のセット製品の地域別生産ウェイトは、中国が65.4%と最大の生産地域になった。そこにアジア(中国を除く)20.7%、中南米5%、欧州4.6%と続く。輸送費が掛かる大型製品は、現地生産が多いものの、ほぼすべての製品が中国生産をメインとしているという。

 中国では沿海部の人件費の上昇と労働力不足の対策から、内陸部の重慶などへ設備投資が続いている。また、ベトナム、ブラジルなどに生産拠点を拡大する動きも見られる。ユニット製品/部品では白色LED、中小型TFT(薄膜トランジスタ)、リチウムイオン二次電池で韓国、台湾メーカーのシェアが拡大しつつある。

 2012年はスマートフォンやタブレットPCの増加で使用点数の多い白色LEDが増加し、ユニット製品/部品は二桁成長と見込む。一方、景気後退の影響を受けAV機器は前年比マイナス、家電も成長率の鈍化を見込む。

テレビは代替需要が飽和、一眼レフは好調

 TVはLCD-TVに集約した。LCD-TVは11年までは高成長を続けたが、CRT-TVの代替需要が飽和して、先進国および中国の拡大幅が小さくなっており、今後の成長率は5%前後と予測するという。

 LCD-TVの販売台数は、2011年2億1,725万台(内EMS6,910万台)、2012年見込み2億2,800万台(同7,670万台)。2011年は、日系企業を中心にEMSメーカーの採用が大幅に増加し、全体2億1,725万台の31.8%の6,910万台がEMS生産された。

 2012年は日系、欧州メーカーを中心にEMS採用比率がさらに上昇し全生産の33.6%にまで上昇する見込みだという。2011年、EMS最大手のTPV(冠捷 台湾)は複数メーカーの生産を受注し、1,380万台となった。TPVに次ぐFOXCONN(鴻海 台湾)はソニー向けを増加させ890万台、その他には、VESTEL(トルコ)、WISTRON(緯創 台湾)、COMPAL(仁宝 台湾)、AmTRAN(瑞軒 台湾)と台湾メーカーが上位を占めた。一方ディスプレイパネルを生産しているシャープ、パナソニック、LG El、Samsung Elは自社生産比率が高い。中国メーカーもほとんど自社生産である。

 2012年見込みでは、TPVは11年にPHILIPSとTV事業の合弁会社を設立し、またパナソニックなどから新規受注を増やし、1,600万台に生産を伸ばす。FOXCONNはソニーやシャープ向けの生産を伸ばし1,250万台の生産が見込まれるという。COMPAL、VESTELはパナソニック、シャープから新規受注し生産を伸ばすと見られるとしている。

 デジタル一眼レフカメラは、小型化したミラーレス一眼カメラがコンパクトDSCの買い替えが伸びて好調だという。

 販売台数は2011年1億2,400万台(内EMS7,070万台)、2012年見込みが1億1,400万台(同5,210万台)。2011年も低価格化が続いており、コストダウンを目的としてEMS採用比率が上昇している。とくに富士フイルム、ニコン、オリンパスのEMS委託が多く7割強から9割強となっているという。

 キヤノンはコンパクトも含めて全量を自社生産している。パナソニックも自社生産比率が高い。他社がEMS採用比率を高めるなか、キヤノンに次いで上位となっているソニー、SAMSUNG ELも内製率を高めている。

 デジタル一眼レフカメラは、自社生産が続く。2012年の見込みではソニーがタイの洪水による減産分を取り戻すため、大幅に増産するという。またニコンはミラーレス一眼カメラに注力し、富士フイルムも同市場に12年に参入している。

 映像や音楽は世界的にダウンロードやストリーミングが主流を占めるようになり、DVD/BDプレーおよびレコーダの需要は縮小すると予測。また、カーナビの需要が少ない北米ではディスプレイ付きカーオーディオが高成長すると予測している。

【次ページ】家電下郷の影響で中国の家電販売は成長鈍化

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