- 2012/06/27 掲載
グローバル企業の7割が「ゲーミフィケーション」を採用する--ガートナー
ゲーミフィケーションは、チャレンジ、ルール、チャンス、報酬、レベルといったゲームの仕組みを利用して、日常の作業を遊びのある活動に変える。ゲーミフィケーションは新しいものではなく、顧客ロイヤリティやマーケティングのプログラムでは数十年にわたり、ポイントやレベルといったゲームの仕組みが用いられてきたものだが、ゲームの仕組みの応用範囲が幅広くより高度であること、そして参加を促すに当たって本質的な報酬が重視されていることであると、ガートナーでは解説している。
ガートナーのリサーチ担当バイス プレジデント、ブライアン・バーク(Brian Burke)氏は、「ゲーミフィケーションは、より深く緊密な関係を築きながらその行動に影響を与えることを狙いとしているが、十分な思慮深さをもって進めていく必要がある。現在のところゲーミフィケーションのほとんどの試みは期待した成果を挙げられていないが、ゲーミフィケーションを成功へ導き、持続させることができれば、顧客をファンに、仕事を楽しみに、学ぶことを喜びに変えることができる。ゲーミフィケーションには、非常に大きな可能性がある」と解説している。
ガートナーは、ゲーム化されたアプリケーションが本当の意味でユーザーを引き付けるためには、鍵となる3つの要素を提供し、その位置付けを正しく行わなければならないと指摘。3つの要素とは動機(Motivation)、勢い(Momentum)、意義(Meaning)。それぞれの英語の頭文字をとって集合的にゲーミフィケーションの「M」と呼ばれる。
「今日出回っている大部分のゲーム化されたアプリケーションでは、これら3つの要素のうち少なくとも1つが欠けているか正しく使われていないため、目新しさがなくなった途端に見向きもされなくなってしまう恐れがある。」(バーク氏)
動機(Motivation)については、今日のほとんどのゲーム化されたアプリケーションでは、外部的な報奨と内部的な動機付け、またはそのどちらかによって、行動の変化を促している。
外部的な動機付けはユーザー個人の外側に由来するもので、金銭やグレードなどの報奨が促進要因になる。内部的な動機付けはユーザー個人の内面に存在するもので、その個人が関心を持っていたり楽しんでいたりする行動に由来する。
「ゲーム化されたアプリケーションの設計時に考慮すべき大切なこと、それは適切な動機付けの枠組みを構築すること。競合者なのか協業者なのかといった、プレーヤーとの適切な関係に合わせて、内部的な動機付け要因と外部的な動機付け要因の最適な組み合わせを活用することが基本になる。」(バーク氏)
勢い(Momentum)は、プレーヤーのエンゲージメントによって変わるという。ゲームの分野では、勢いはプレーヤーに提供する課題の難しさとプレーヤー自身の能力レベルとのバランスによって決まる。プレーヤーにとって課題が簡単過ぎればすぐにプレイに飽きてしまい、反対に難し過ぎると不満がたまる。ゲーム化されたアプリケーションでは、プレーヤーを短時間で引き込み、課題やルール、チャンス、報奨、レベルなどゲームのメカニズムをうまく活用して、このエンゲージメントを維持する必要がある。
意義(Meaning)とは、より大きな目的に貢献することを意味する。ゲーム化されたアプリケーションが成功を収めるためには、参加者にとって意味のある報奨を提供しなければならない。どのような報奨や刺激が良いのかはユーザーごとに違うが、多くのユーザーは寄付による慈善活動、ダイエット、具体的な能力の習得、大きなタスクの達成などに価値を見出すという。
「ゲーミフィケーションはFacebookやeBay、Amazonと同じくらい重要な存在になるだろう。2012年、ゲーム化されたアプリケーションを導入するGlobal 2000企業は全体の20%に上る見込み。ITリーダーは、2013年にはゲーム化されたアプリケーションを導入するという目標を持ってゲーミフィケーションを活用し、顧客および従業員とのエンゲージメントを高める機会を探り始めなければならない。ユーザーの行動をプラスの方向へ変化させる動機付けをする上で、どのようにゲームのメカニズムを応用すればよいのかを理解することは、成功する上で不可欠な要素だ。」(パーク氏)
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