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  • 2012/07/24

【ITビジネスと孫氏の兵法(3)】現代の企業経営と孫子兵法

民主党参議院議員 藤末健三 ・フューチャー・デザイン・ラボ 後藤洋平

聖書よりも昔に著されたこの書物は、いまなお多くの人に読まれ、その価値は褪せることがない。なぜだろうか?それは「兵法」に書かれている「組織を運用し、目的を達成する」ための戦略論は、現代の経営者にとっても、必要不可欠だからだ。昔の戦争は土地を取り合う戦いだったが、現代のビジネスは、マーケットを取り合う戦いなのだ。

藤末健三、後藤洋平

藤末健三、後藤洋平

藤末健三

早稲田大学客員教授
中国清華大学顧問
民主党参議院議員


フューチャー・デザイン・ラボ
後藤洋平


1982年大阪市生まれ。東京大学工学部システム創成学科卒。在学中は堺屋太一ゼミナールにて「どうして売れる ルイヴィトン」執筆や東大ブランドショップ立ち上げに参加など活動多数。現在、株式会社フューチャー・デザイン・ラボにて数々の新規事業立ち上げに参画している。

 孫子の兵法を学ぶ日本の経営者では、ソフトバンクの孫正義氏が有名だ。孫正義氏 は、「孫子の兵法」に独自の考えを追加した25文字を「孫の二乗の兵法」と名付け会社経営に使っている(これら25文字のうち14文字は「孫子の兵法」から取り入れている)。「孫子の兵法」の現代の経営における利用例として、簡単に紹介する。(詳しくは、iPhone アプリ「孫の二乗の兵法」を参照されたい。)

○孫の以上の兵法
道 天 地 将 法 (理念)
頂 情 略 七 闘 (ビジョン)
一 流 攻 守 群 (戦略)
智 信 仁 勇 厳 (将の心得)
風 林 火 山 海 (戦術)


○ 道 天 地 将 法 (理念)

 ・・・ 企業理念。ソフトバンクは「情報革命で人々を幸せに」を掲げる
 ・・・ 経済・産業環境、タイミング、インターネットの普及、情報ビッグバンなど
 ・・・ 市場、地の利。2015年にはネット人口の50%(約26億)はアジア人といわれており、 アジアの企業に強みがある。
 ・・・ 優れた経営者。大将としての器を持った社長と、大将を支える志を共有するリーダー
 ・・・ システム、方法論の法、ルールつくり、しくみ、ビジネスモデル

○ 頂 情 略 七 闘(ビジョン)

 ・・・ ビジョン、10年後・30年後の明確な目標を思い描く
 ・・・ 情報収集
 ・・・ 無駄なものを除去して、一番太い幹になるうる部分を手がける
 ・・・ 勝率7割で勝負。勝率5割では愚か、9割では手遅れ
 ・・・ 闘うこと。自分で闘って成すことが大事

○ 一 流 攻 守 群(戦略)

 ・・・ 圧倒的な1位になる。そうしなければ利益がでない
 ・・・ 流れに逆らわない。王道を進み、ニッチは選ばない
 ・・・ 1つだけではダメ、複数の攻め手を持つ
 ・・・ 守りは、キャッシュフローを意識
 ・・・ 同士的結合、マルチブランド。シングルブランドは効率はいいが、300年は続かない

○ 智 信 仁 勇 厳 (将の心得)

 ・・・ 思考力、グローバル交渉力、プレゼン能力、エクノロジー、ファイナンス、分析力。
ビジネスを引っ張るリーダーには「智」が必要不可欠。自分を磨かない「智」がない経営者は長い目で見ると必ず失敗する
 ・・・ 信義、信用、信念、同志的結合、パートナーシップ。
孫正義社長は「お金、技術があっても裏切られる気がする、そんな会社はダメ。」と言う。起業に当たっては、トップが成功するとの信念をもち、それに対する周囲の信頼が大きなカギである。
 ・・・ 仁愛 リーダーとしての優しさ。
小さな組織であればあるほど会社の仲間に対する仁愛が求められる。ただ、仁愛に流されるのは経営者としては失格である。
 ・・・ 大きな敵と闘う勇気、撤退する勇気。
孫社長は、「退却は前進の10倍難しい。退却の決断はトップにしかできない。トップは自分一人で泥をかぶるべきで、他人のせいにするような者に部下はついてこない。」と言っている。トップの役割とは、会社の進む方向を決め、そしてすべての責任を取ることにある
 ・・・ 意志を持って組織を厳しく律する。誠の愛とも言える。
孫社長は「時として鬼になれ!鬼になりきれない者はリーダーにはなれない。愛する部下に対しても時には鬼にならなければならない。いい人では組織は持たない。」と言っている。私は、人間は「性善」、「性悪」でなく「性惰」つまり怠け者だと考えている。組織には厳が必要なのだ。

○ 風 林 火 山 海 (戦術)

 ・・・ 風のように早く。ビジネスはスピード勝負
 ・・・ 超極秘、水面下の交渉
 ・・・ 動く時は火のような勢い
 ・・・ 動かない時は山のように重い
 ・・・ 最後には戦いを完結し、平和にする

 おそらく孫正義社長ほど孫子の兵法を理解し、実践している経営者は日本には少ないだろう。

 本連載は、今まさに事業を展開している人、これから会社を起こそうと考えている人、新規事業を立ち上げようとしている人、つまり「ビジネスという、現代の戦いにおける最前線の人々」のために書いた。

 新しく事業を起こす上で前もって準備すべきこと、実際にビジネスを展開する上で理解しておくべきことなど、経営の原理原則を、孫子の説いた「戦略思考」に基づく兵法から読み解いていきたいと思う。
 


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