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- 2013/05/17 掲載
ガートナー スティーブ・プレンティス氏:今後5年間でITに影響を与える10のトレンド
SDN、ビッグデータ、クラウド、BYODはどうなる?
背景にあるのはIT自体の著しい複雑化

兼
ガートナー フェロー
スティーブ・プレンティス氏
「1つのトレンドだけでITのすべてが変わるということではない。1つが変われば次が変わり、さらにまたその次が変わる。こうしたドミノ倒しのような影響、もしくはいくつかのトレンドの組み合わせにどう対応していくかが、今後5年間でIT部門がデータセンタを管理し、運用する中で直面する大きな課題になってくる。」
- 組織の砦と破壊
- ソフトウェア・ネットワーク
- ビッグデータとストレージ
- ハイブリッド・クラウドサービス
- クライアント/サーバ・アーキテクチャ
- モノのインターネット
- IT/OT(=オペレーショナルテクノロジー)とアプライアンス全盛
- オペレーションの複雑性
- 仮想データセンタ
- ITデマンド
それではこの中の主なものについて見ていこう。
まずプレンティス氏は組織の砦と破壊について言及、2014年までにSaaSの運用管理ツールを使用する組織の30%がサービスレベルの低さを理由にオンプレミスに転換すると指摘した。市場の統合によって、ITサービスベンダの上位100社のうち20社が姿を消すという。
「これまで最先端企業が推進してきた積極的なクラウド化、もしくは外部サービスの利用が低速化、あるいは停止するということ。今まで誰かに肩代わりしてもらえば心配ないと思っていた機能やサービスを、もう一度、社内に置き直すことが重要だと再認識されている。」
この背景にあるのが、IT自体の著しい複雑化だ。またリアルタイムでのユーザーサポートも求められるようになった。さらに変化のスピードが加速し、開発期間の短縮も必須となっている。
「完璧なものでなくてもいい。ビジネス側は今欲しいものを数週間、場合によっては数日間ですぐに手中に収めたい。要件を分析し、アプリケーションを開発し、テストが終わるまで待って欲しいというようなこれまでのやり方はもう許されない。」
一方でIT予算は縮小化傾向にあり、団塊の世代が退職しつつあることで、さまざまな経験知が企業内から徐々に消えていくこともある。
「こうした背景を十分に認識した上で、企業は内外から発生する破壊的な波に備えていく必要がある。」
ネットワークの構成変更を数分間でできる運用方法も登場
次に言及したのが、ソフトウェア・ネットワーク、つまりSoftware-Defined Network(SDN)だ。従来は各種ハードウェアに依存していたネットワークの運用が、今ではソフトウェアによって一元的にネットワークをコントロールするSDNという新しい運用方法にとって変わりつつある。ネットワークレイヤを抽象化することで仮想的なネットワークを構築し、それによってハードウェアの制約を受けることなく、ソフトウェアによる一元的な管理を実現可能とするものだ。「ネットワークのもたらす価値が1つ1つのデバイスから切り離されて、一元化されたソフトウェアベースのコントロールに変わってきているということ。つまりはアーキテクチャの大きな変化だ。これまで数週間かかっていたネットワークの構成変更が、SDNでは数分間でできるようになる。」
一方でこれは取りも直さず、新しいスキルが必要であることに他ならない。
「SDNが企業に大きな便益をもたらすことは確実だが、同時に組織に大きな破壊をもたらすものでもある。SDNが現実のものとなっている今、スキルのアップデートをすぐに開始する必要がある。」
また現在多くの企業で最重要課題となっているビッグデータの活用においては、従来の構造化データに加えて非構造化データまでがその対象となることで、ペタバイトやエクサバイト、あるいはそれ以上の膨大な量のデータを保存、管理していかなければならない。ストレージはどんどん拡大していく。
「すべてのデータ入力を見直して必要なものだけを維持するとか、データをセグメント分けして優先順位を付けるなどの対策が必要だ。」
【次ページ】ビッグデータとストレージ、Internet of things
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