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  • 2014/10/14

弁護士ドットコム 元榮 太一郎氏が語る次の一手:法律事務所の業務プラットフォームへ

弁護士ドットコム社長 元榮 太一郎(もとえ たいちろう)氏インタビュー(後編)

「一見さんお断り」が当たり前だった弁護士業界に革命を起こしたWebサービスといえば、『弁護士ドットコム』だ。最近は、9月9日にリニューアルオープンした『弁護士ドットコムニュース』もメディアとしての存在感を高めており、その成長は止まるところを知らない。弁護士ドットコムの代表取締役社長 兼 CEOであり、弁護士法人法律事務所オーセンスの代表弁護士でもある元榮 太一郎(もとえ たいちろう)氏は、弁護士ドットコムをどのように発展させ、今後どのように展開していくのか、お話を伺った。

弁護士 河瀬 季

弁護士 河瀬 季

東京大学 法学政治学研究科 法曹養成専攻 卒業。
2002年からIT関連フリーランスとして、SBクリエイティブ社の雑誌への寄稿、書籍の全編執筆などの執筆活動や、各種ウェブサービスの開発等を行う。司法試験合格後は弁護士として、ITとビジネスに強いコスモポリタン法律事務所(東京・音羽)に所属。自らも、複数のIT企業の顧問弁護士などとして、新興企業支援や知的財産権管理、資金調達などを含む、各種の企業法務に携わっている。
個人サイト:http://tokikawase.info/
Twitter:http://twitter.com/tokikawase

本記事は「弁護士業界の革命児・元榮 太一郎氏はなぜ弁護士ドットコムを発想できたのか?」の続きです。

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弁護士ドットコム 代表取締役社長 兼 CEO
弁護士法人法律事務所オーセンス 代表弁護士
元榮 太一郎氏

弁護士ドットコムオープン当初は弁護士集めが大変だった

──元榮さんは、2004年10月に弁護士ドットコムのコンセプトを考えた後、2005年8月にサイトをオープンされ、翌年には姉妹サイト税理士ドットコム、2009年には弁護士ドットコムモバイルをオープンされるなど、精力的に事業を展開されていますね。外部から見ている分には非常に順調に成長されているような印象なのですが、大変だったことなどはあるのですか?

 元榮太一郎氏(以下、元榮氏)■苦労の連続でしたよ。オープン当初は、登録いただく弁護士を集めること自体、非常に大変でしたし。最初は、加入していた弁護士会のサッカー部の部員の弁護士の皆さんに義理人情で登録していただくとか、そういうドブ板営業でしたね。

 あとは、新聞やビジネス誌など、光栄にもさまざまなメディアでご紹介いただいたことがありがたかったです。マスメディアを経由して弁護士ドットコムの良さを伝えていくと、自分で何かを言うときより訴求力が高まるのです。

──最初はサッカー仲間などから始まった弁護士ドットコムも、今や登録弁護士数は7000人を超えました。増えるきっかけになった出来事などはあるのでしょうか?

 元榮氏■弁護士業界の競争が促進されたことでしょうね。

 明確なターニングポイントとしては、弁護士の数が3万人を超えた2011年頃です。弁護士の数の増加に伴い、従来型のやり方では依頼の開拓が難しくなりはじめたのです。この頃から、登録弁護士の数の増加スピードが速くなってきました。

 弁護士業界の競争が促進され、弁護士業界にも、インターネットを通じたマーケティングの意識が浸透してきたという時代変化だと思います。

弁護士を取り巻く時代変化を「読んで仕掛けて待つ」

──そうした時代変化が来ることを、2004年時点から予想されていたのですか?

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 元榮氏■確信していました。いわゆる司法制度改革のとき、弁護士人口の増加予測グラフなどを見たのですが、10年で2倍くらいの伸びでしたから。弁護士が依頼者を選んでいた時代から、依頼者が弁護士を選ぶ時代になるな、と。

 インターネットも飛躍的に便利になっていくし、インターネットで依頼者と弁護士がつながる場所を作ることができれば、社会に大いに役立つし、ビジネスとしても魅力的だと感じました。

 ……しかし、そうして登録弁護士数が増えても、経営的には8期連続で実質赤字。なかなか厳しい状態でした。何でこんなに儲からないのにやっているのだろう、珍しい人だな、と思われていたのではないかと思います(笑)。

──資本政策として、その時点までベンチャーキャピタルなどは入っていなかったのですか?

 元榮氏■はい。2012年、オープンから7年目にデジタルガレージさんに出資をいただいたのが、初めての資金調達でした。「読んで仕掛けて待つ」期間が長かったですからね。投資家サイドに結果を求められることなく、自己資金だけで「待つ」ことができたのは、結果的に良いことでした。

──その後、弁護士プロフィール内に得意案件の特設ページを設置する「登録弁護士向け有料サービス」を導入することで黒字化を達成した、という流れでしょうか?

 元榮氏■そうですね。元々有料化は考えていたのですが、そのタイミングについては、これでもかと粘ってからの方が良いと思っていました。弁護士さんから広告料をいただくというアイディアは、業界としては本格的に初だと思っていて。慎重にやったほうが良い、「奥ゆかしい」くらいの方が良いだろうと。

 足元では、月を追うごとに弁護士さんの意識が変わってきていました。従来、弁護士が仕事を得る主な手段は、既存の依頼者や知人友人の紹介と、弁護士会が運営している法律相談センターの2つしかありませんでした。この2つのチャネルだけでは足りないという声は聞こえていました。

 しかし、焦っては駄目だ、有料化をするのは、その責任あるオペレーションができるメンバーが揃ったときだと。だからカカクコムさんから出資を受けて、村上 敦浩さんという『食べログ』を立ち上げた方が顧問に入って、2013年の4月くらいから企画を始めまして、販売開始が5月、売上になりはじめたのが8月ですね。

 弁護士ドットコムは、弁護士から見れば「依頼者とつながるための場」です。しかし、その意味で「受益者」である弁護士の方からは、「有料化」までは1円も受け取っていなかったのです。ある程度シェアを取り社会的存在意義や有益性を感じてもらえるまで、金銭的なハードルを限りなく下げて、とにかく利用して貰って有用だと認知してもらってから「有料化」を行おう、と。『Yahoo!オークション』など、先人のやり方を真似させていただきました。

【次ページ】 元榮氏が考える次の一手とは?

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