• 2015/07/02 掲載

標的型攻撃による感染に気付いていない企業が多数存在、DNSシンクホール活用

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プライスウォーターハウスクーパースは2日、サイバー攻撃の観測・分析活動を行っている同社の専門チーム「スレットリサーチラボ」が国内における複数の企業・組織を標的としたAPTグループの活動を観測したことを発表した。
 「スレットリサーチラボ」では、PwCのグローバルネットワークと連携し、APT攻撃で利用されていた複数の指令サーバをDNSシンクホールとして観測。その結果、特に2015年5月頃から「政府・官公庁、特定団体・機構、金融、航空、自動車、エネルギー企業」などの多数の国内組織からDNSシンクホールへ継続的な通信などを観測したという。

 スレットリサーチラボは、2015年5月から6月にかけて国内でさまざまな被害が発覚したが、それら以外にも水面下でAPTグループによる攻撃が行われている可能性があると指摘。対策を取っていない組織からのDNSシンクホールへのアクセス数が6月下旬よりさらに増加する結果となっており、これは、今なおマルウェアに感染していることを把握できていない日本国内の企業・組織が多数存在していることを示唆しているという。

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日本国内の企業・組織からのDNSシンクホールへのアクセス数
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 スレットリサーチラボは、今回の分析結果を基に、直接もしくは第三者機関を通じて被害組織へ情報提供を行った、としている。

 また、「スレットリサーチラボ」では一般的なDNSシンクホールによるDNSクエリの観測のみならず、当該ドメインへのHTTPリクエスト、攻撃に利用されたツールやマルウェアなども収集・分析し、攻撃グループのプロファイリングを実施。

 今回の攻撃パターンを分析したところ、中国の2つのAPTグループからの攻撃であることを確認し、同社ではこれらのグループを“Red Apollo”、“Red Wave”と命名した。観測したアクセスの約9割は“Red Apollo”からの攻撃であることも判明したという。

 DNSシンクホールとは、APTグループなどが攻撃の際に利用していたドメインを取得し、当該ドメインへのリクエストなどを観測する手法のこと。多くの場合、APTグループは標的組織にマルウェアなどを感染させ、当該マルウェアを制御するために海外の指令サーバ(C&Cサーバ)を利用する。APTグループが利用していたC&Cサーバなどのドメインを取得しDNSシンクホールとすることで、マルウェアのC&Cサーバなどへの通信を観測することができ、APT攻撃を把握することが可能になる。

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DNSシンクホールによる観測イメージ

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 どうにも、この記事を書いたライターは映画やドラマ、漫画やアニメ由来のフィクションの知識で述べているようだ。バグバウンティ制度というものはあくまで開発ベンダやセキュリティベンダが任意で実施しているものであって、ベンダによってはバグバウンティ制度を取り入れていないところもある。危険性や重要度に応じて支払う報奨金というものは決まっている。そのため危険性や重要度の低いバグに対しては報奨金の金額は安くなる。支払われる報奨金というのは価格帯が既に定められているので交渉したからといって大きく変わるわけではない。交渉人が出てくる余地がないし、交渉人が仲介手数料なんて取ろうものならば原価割れしてしまうわけだ。そして、バグバウンティ制度を実施していない企業に交渉人が脆弱性情報の買取を持ちかけようものならば、恐喝罪で訴えられる可能性さえある。
「通常は、発見した脆弱性や攻撃手法を自分で利用する(犯罪を犯す)より、相手に高く買ってもらったほうがよいと考える。」と記事では書いてあるが、それも違う。仮に悪意を持ったハッカーが危険な脆弱性を発見した場合、自分でその脆弱性を利用した攻撃をして犯罪を犯すと警察に逮捕されるリスクがある。自分で犯罪さえ行わなければ警察に逮捕されるリスクはゼロだ。だから自分では犯罪は行わない。脆弱性情報を買い取ってくれる企業があればお金で売って利益を得る。ただそれだけなのだ。実際にサイバー犯罪に関わって犯罪収益を得ている反社会組織でも、脆弱性情報の多くは悪意を持ったハッカーではなくセキュリティ会社(=ホワイトハッカー)から買っている。サイバー攻撃自体は自身は行わずに買い取った脆弱性情報をもとに作成した攻撃ツールの販売やクラウド上に攻撃用プラットフォームを構築して時間貸ししてクラウドサービスとして収益を上げている。現代では脆弱性を発見する人、発見者から脆弱性情報を買って収集して販売する人、攻撃ツールを作る人、攻撃ツールを売る人、攻撃ツールを使って攻撃する人といったように各々関係のない人や組織が分業している。
 身代金支払いの是非に関して述べると、現行法では身代金の支払い自体を直接罰する法律はない。それならば身代金を払ってしまえばよい、とはならない。例えば、ランサムウェアならば様々な要素を考慮した上での経営判断が必要となる。以下の理由で正当化が出来るか、ということは最低限考える必要がある。
 1. 復旧コストより身代金の方が安価
 2. 大量の個人情報など機微性の高い情報漏えいのおそれ
 3. 重要インフラサービスの停止のおそれ
 4. 人の生命・身体が害されるおそれ
1.と2.に関しては紛れもなくその場しのぎでしかないのでまともな知性のある経営者であれば経営判断としての身代金払はしない。
3.に関しては微妙な問題なので、細かい分析をした上で社会への影響を考慮した上での経営判断となる。
4.に関しては仕方がない。払うしかない。
 ここで意識していただきたいことは、ランサムウェアの身代金の支払いに対する対応は経営者が判断すべき経営問題そのものである。現場のエンジニアや担当部署の責任者が判断するのではなく、その企業の経営方針として経営者が判断を下すべき経営問題ということだ。
 この記事の2ページ目でしきりに「交渉人」の必要性をしきりにアピールしているが、いい年した大人が妄想と現実を混同するのをいい加減にするべきだ。きっと、この記事を書いたライターの人は交渉人をモデルにした映画かドラマでも見た影響でも受けたのだろう。
 交渉人というのは本質的には犯人の脅迫行為を容認することだけではない。そもそも、犯人側にとって身代金事件の成功の鍵は交渉人が握っている。身代金支払いにより犯人側が犯罪収益を得るための功労者であることから共同正犯(刑法60条)が成立してしまう。つまり、刑法上は身代金を要求してきた犯人グループの一員とみなされてしまうわけだ。
 記事では「ランサムウェア交渉人を運用するためには、警察に犯人を特定、摘発できるくらいのサイバー捜査能力が必須となる。」と書いてあるが、犯人を特定、摘発できるのであれば犯人逮捕とともに暗号鍵も押収できるからから身代金を支払う必要がないではないか。この記事を書いたライターは自身の書いた言葉の意味を理解してこの記事を書いているのだろうか。犯罪を正当なビジネスにしてしまうこと自体が非現実的だし、あまりにも考えが幼稚で虚構と現実を取り違えたような記事を書いている暇があれば、もっと社会の勉強をし直した方が佳いだろう。もし、このライターがジャーナリストの肩書を今後も掲げるつもりならば、この記事のような妄言を書き連ねる前にはよく調査と考察を重ねて自身の考えを遂行する必要がある。今回は半田病院の事件を起点としているので、デジタルフォレンジック研究会の医療分科会が公開している資料の『医療機関向けランサムウェア対応検討ガイダンス』(https://digitalforensic.jp/wp-content/uploads/2021/11/medi-18-gl02_compressed.pdf)を一読して勉強して出直してくることをおすすめする。

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