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  • 2015/07/08 掲載

将棋のプロ棋士が対局後に感想を言い合う意味は? 先を読み、判断する力の身につけ方(2/3)

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愚直で具体的に「読み」、メタで抽象的に「判断する」

 次の一手を決定するためには、ありうる候補手から「読み」を通じた評価と、それぞれの評価を比較して実行する「判断」という、2つのプロセスが必須となる。

 ひとつ目の「読む」という行為は、実に愚直で具体的である。思考の効率性に個人差はあるものの、とにかく地を這うように、読んで読んで読み続けることで、原理的にはだれでも最終的に同じ回答が得られる。

 一方でその先の「判断する」という行為は、メタ思考の抽象的な世界である。戦いを激しくするか、穏やかにするか、という点だけを考えても、「相手が激しい戦いを選ばなかった理由を考えることで、相手が現在の局面をどうとらえているかを推測する」といったような曲芸的な思考が可能であったりもする。

 「判断」というプロセスにおいて、一流のプロ棋士は「激しい戦いにするかどうか、持久戦を目指すか」といったような「シナリオの比較」を行っている。将棋が駒の交換と再利用が可能なゲームであるということは有名な話だが、最初から飛車だとか角だといった強力な駒を交換すると、ちょっとしたミスが致命傷になるような激しい戦いとなる。逆に、駒を取ったり取られたりということを慎重に避けて、ジリジリと間合いを詰めるような戦いにすると、いきなり形勢に差がつくようなリスクは避けやすい。

 これは、個別の手を読むとか読まないという以前の話であり、むしろ、そもそも相手がどちらの展開を好むか、どちらの展開に強いか、ということが重要となってくる。

 予想外の手を繰り出された瞬間、それが「相手が形勢を悲観していて意表をつこうとした手」なのか、「事前に周到に準備してきた必殺の一手」なのか。前者であれば冷静に対処していけばよいが、万が一後者であれば、尋常の選択をしていては一巻の終わりである。読んで読んで読み抜いてこれを判断するということは、限られた時間のなかでは非現実的な行為となってしまう。

 逆に言えば、適切な判断をする力があれば、不要な「読み」の労力を軽減することも可能になるのである。

【次ページ】「先を読み、判断する力」はいかにして伸ばすことができるのか?

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