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  • 2017/06/07 掲載

ファシリテーターは「例えば?」「他には?」「だとすると…ですね」をうまく使え

経営者の意向を超える企画提案の変革(8)

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コンサルティング・プロモーションでは、ソリューション・マネジメントというプロポーザル・レビュー会議の質を高める技術を身につけている必要がある。ソリューション・マネジメントができないとどのようなロスを生むか、ソリューション・マネジメントとはどのようなものか、これを解説する。また、ソリューション・マネジメント実践を支援するファシリテーション・ノウハウについても解説する。

データ総研 シニアコンサルタントマネージャ 大上 建

データ総研 シニアコンサルタントマネージャ 大上 建

システムコンサルティング会社を経て現職。製造・建設・サービス・情報サービスの業界を対象に,ITを伴う業務革新プロジェクトのシステム化計画,プロジェクト管理支援を行っている。また,企画提案方法論の教育・導入支援を得意分野とし,情報システム部門,情報システム子会社及びITベンダ向けには,企画提案力強化やPM力強化のための支援を行っている。
情報処理技術者試験委員。
株式会社データ総研
webサイト:http://www.drinet.co.jp/

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経営者は、戦略達成のための企画提案を待っている

ソリューション・マネジメント=答えをレビューする・知恵を結集する

 コンサルティング・プロモーションにおけるプロポーザル・レビュー会議は、仮説の質を高め、どこへ行って何を調査し、どのようにして意思決定者を、望ましい落としどころに落とすかを決めるためのものだ。そのために、プロポーザル・レビュー会議は、厳しくてかつ優しくなければならない。

 厳しくというのは、意思決定者の意向を超えたか、という達成水準を守ることだ。そのためにファシリテーターや参加者は、「そんなあいまいなロジックでは通じない」、「実証するファクトの質が低く、それでは納得を得られない」などの指摘をガンガン飛ばし、達成水準を維持するための努力をする。また、ファクトとロジックに徹底して執着し、「そのメッセージをジャスティファイするファクトは何だ」、「意味解釈したロジックがおかしい」と指摘する。

 一方、優しくというのは、参加者がもっている事例の知識・多面的な視点を惜しむことなくすべて与えることだ。「そのロジックを言いたいなら、裏付けるよいファクトを知っている。…の事例だ。これをもって行けばよい」、「そのファクトは、…という意味解釈もできる」のように、できるアドバイスをすべてする。

 このように、厳しくてかつ優しいプロポーザル・レビュー会議の実現に、ファシリテーターが用いる技術がソリューション・マネジメントだ。ソリューション・マネジメントとは、常にライト・クエスチョンを参加者に投げかけ、仮説の「答え」を引き出す。ライト・クエスチョンとは、その名のとおり正しい問いかけだ。コンサルティング・プロモーションでは、基本の正しい問いかけを準備している。それは企画提案仮説の項目そのものだ。次の表に企画提案仮説の項目を示す。これらはすべて問いかけの項目だ。

画像
図1■企画提案仮説

企画提案仮説の項目

Ⓐ いつ、いくらで、だれから、何を承認獲得するか
① キー・イシュー(KI:意思決定者の悩み)と、これを打開するための提案内容は何か
② キー・イシューはどのような社内外の事実に基づくか
③ キー・イシューはどのような意思決定者の意志に基づくか
④ イノベーション・ロジック(IL:キー・イシューを解決しリターンを上げるロジック)は何か
⑤ イノベーション・ロジックの効果を実証するファクトは何か
⑥ システムビジョン(イノベーション・ロジック実現のためにシステムと業務をどのように革新するか)
⑦ ビジョン達成課題(意思決定者はどのような課題指摘(反論)をするか)
⑧ 課題解決策(意思決定者の課題指摘(反論)にどのように切り返すか)
⑨ 課題と対策の妥当性を実証するファクトは何か
⑩ プロジェクト戦略(本テーマを突破口に、更なる提案のために何を行うか)
⑪ 遂行方法(標準遂行方法の中で、上記課題をどのように解決するか)
⑫ 承認獲得課題と対策(優位なポジションをどのように獲得するか)
⑬ 意思決定者は現在どのような認識か
⑭ CC(チェンジコンセプト:意思決定者の認識をどのように変革するか)
⑮ 提案計画(以上を踏まえ、今後どのように提案を進めるか)

 プロポーザル・レビュー会議の参加者が、常に仮説内容を準備し、またその場で仮説内容を創造し、「答え」をもっている場合、プロポーザル・レビュー会議は高速で進められ、特に仮説の初期段階では、多様なオプションを議論し、共有することができる。

 しかし、プロポーザル・レビュー会議の参加者が、「答え」を準備ができていない場合、例えば「イノベーション・ロジックは何か」と問われると、「これから現場をヒアリングして、問題を調査し…」のように「答え」を得るための「方法」を話し始めることがある。あるいは現在の状況を長々と話し始めてしまう。トレーニングされていな参加者の場合、経緯や方法を省いて「答え」だけを問われることに慣れておらず、何か言わなければならないプレッシャから、方法を話すことや状況を説明することに逃げてしまうのだ。このようなとき、ファシリテーターは即座に「方法は聞いていない。あなたの今の答え(仮説)を聞いているのだ」と、方法が話されるのを止め、「答え」を求めなければならない。

 プロポーザル・レビュー会議では、このように「答え」だけを問われるので、不慣れな参加者は、責めを受けているように感じることもあるが、そういうものだと慣れてもらうしかない。方法に流れることを許した途端、仮説の質の向上は非常に遠のいてしまう。

 プロポーザル・レビュー会議では、とことん仮説の質を高める議論をした後に、提案に必要なファクトを得るために、どこへ行って何を調査するか決める。これは企画提案仮説の項目⑮の提案計画だ。

ソリューション・マネジメントを支援するファシリテーション・ノウハウ

 ファシリテーション・ノウハウは、ファシリテーション実践のためのノウハウ群だ。一部のファシリテーション・ノウハウを、以下に示す。

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