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  • 2018/10/29 掲載

ラグビーは企業ブランドの向上に役立つのか? アジアで増える競技人口

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2019年、アジア初となる「ラグビーワールドカップ2019」が日本で開催される。2015年のイングランド大会での日本代表の活躍もあり、注目度は次第に高まっているところだ。ラグビーは企業のコーポレートブランドを高めるとともに、今、日本を含めアジアの若い世代にラグビーが普及しつつあるという。日本ラグビーフットボール協会とアジアラグビーの理事が、ラグビーの持つブランド価値や競技の普及に向けた国内外の取り組み、地域活性化の展望などについて対談した。

執筆:フリーランスライター 吉田育代

執筆:フリーランスライター 吉田育代

企業情報システムや学生プログラミングコンテストなど、主にIT分野で活動を行っているライター。著書に「日本オラクル伝」(ソフトバンクパブリッシング)、「バックヤードの戦士たち―ソニーe調達プロジェクト激動の一一〇〇日 」(ソフトバンクパブリッシング)、「まるごと図解 最新ASPがわかる」(技術評論社)、「データベース 新たな選択肢―リレーショナルがすべてじゃない」(共著、英治出版)がある。全国高等専門学校プログラミングコンテスト審査員。趣味は語学。英語と韓国語に加えて、今はカンボジア語を学習中。

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企業にとって「ラグビーの価値」とは
(©makieni - Fotolia)

ラグビーは企業ブランド向上に貢献する

 ラグビーユニオンの国際統括団体である「ワールドラグビー(World Rugby)」は、ラグビーの持つ5つのコアバリューとして「品位(INTEGRITY)」「情熱(PASSION)」「結束(SOLIDARITY)」「規律(DISCIPLINE)」「尊重(RESPECT)」の5つを示している。

 都内で開催された「Advertising Week Asia 2018」に登壇した日本ラグビーフットボール協会 理事 前田 直毅氏は、「肉体と肉体がぶつかりながらも、品位を保ちつつプレーすることを追求するラグビーが持っているエッセンスは、企業のブランディングの向上につながる」と語る。

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日本ラグビーフットボール協会 理事 前田直毅氏

 前田氏はすでにラグビーを支援している企業として、まず大正製薬を挙げた。同社は2001年からラグビー日本代表のオフィシャルパートナーを務め、「リポビタンD」ブランドで「ラグビーワールドカップ2019」のオフィシャルパートナーも務める。

 また、世界的にラグビー支援で知られているのは世界有数の規模を誇る保険グループ米AIGグループで、ニュージーランドラグビー協会のグローバルパートナーを務めるとともに、AIGジャパンは、小学生を対象としたタグラグビー(年少者や初心者も楽しみやすいノンコンタクトのラグビーゲーム)教室の開催やレフェリー育成を支援している。

 さらに青森のリサイクル企業である青南商事は、ラグビー女子日本代表のオフィシャルスポンサーを務め、ジュニアラグビーもサポートしている。スピードや判断力、チームワークが重要であることなどが、リサイクルという事業や企業コンセプトと合致しているというのがサポートを決めた理由だ。

「ラグビーでどんなメッセージが伝えられるのか、ラグビーの価値とは何か、これは我々にとっても永遠のテーマでまだ見極められているとはいえません。しかし、ラグビーによる企業活動強化の可能性を、皆さんの支援をいただきながら追求していきたいです」(前田氏)

日本やアジアで、若年層のラグビー人口は着実に増えている

 一方、アジアラグビー 執行理事 西機 真氏は「アジアに目を転じると、これまでラグビーはアジアの一部の国や地域でしか普及してこなかった」と述べる。

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アジアラグビー 執行理事 西機 真氏

 特にサッカーやバスケットボールと比べるとその傾向は強い。しかし、現在、アジアには世界の若年層人口の80%が暮らしているといわれており、西機氏によるとこの地域でもラグビーに本格的に取り組む国が増えているという。その背景にはワールドラグビーやその地域協会であるアジアラグビーによるさまざまな支援活動がある。

 たとえば、ワールドラグビーの「GIR(Get Into Rugby)」プログラムは、ラグビーを世界中に普及させることを目標とする取り組みだ。アジアでもさまざまな取り組みが行われており、その一例として、インドの比較的恵まれない民族が居住する地域において、約2万人の生徒がラグビーに親しんでいる事例が動画で紹介された。

 また、同ワールドラグビーの「IMPACT Beyond 2019」は、「ラグビーワールドカップ2019」に焦点を当てたプログラムだ。ここでは、日本やアジアにおけるラグビー振興やアジアにおける放送網の拡大、世界におけるラグビー振興といったポイントを掲げている。そして、アジアで新しいプレーヤーを100万人以上増加させ、プレーヤー人口を200万人以上にするといった具体的な数値目標を設定して活動を展開している。

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「IMPACT Beyond 2019」における4つの主要ポイント

 こうした中で、若年層のラグビー人口増加に注力されているのが、身体接触を伴わないタグラグビーの普及だ。日本では2008年の学習指導要領に入り、小学校の体育で実施されるようになった。その結果、「ラグビーワールドカップ2019」の12の開催都市で、平均60%の小学校でラグビーがプレーされていることがわかった。

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タグラグビーの普及により青少年のラグビー人口は着実に増加している

 「全国に小学校が約2万校あり、そこに生徒が600万人いることを考えると、すでに約150万人がタグラグビーを体験していることになります」と、西機氏は語る。

 香港でも同様の取り組みが行われており、学内の先生がまず授業にタグラグビーを取り入れ、その後ラグビー協会の普及担当者が訪れ、ラグビーの価値を伝える事例が紹介された。

【次ページ】若者の育成や女性への機会提供にもラグビーが大きな役割

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