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- 2019/03/01 掲載
“空飛ぶクルマ”を経済省と国交省が真剣に議論するワケ
政府が推進する空の移動革命
経済産業省と国土交通省は2018年12月、日本における“空飛ぶクルマ”の実現に向けて官民の関係者が一堂に会する「空の移動革命に向けた官民協議会」を開催。「“空飛ぶクルマ”の実現に向けたロードマップの取りまとめ」を公表した。この協議会では“空飛ぶクルマ”について、「電動」「自動」「垂直離着陸」が1つとなったイメージで、航空機とドローンの間に位置する「電動垂直離着陸型無操縦者航空機(eVTOL)」と整理している。
“空飛ぶクルマ”の実現可能性の大きなカギの一つとなるのが、電動化による低コスト化だ。電動化すると燃料系統がなくなるため機体の構造が簡素化し、そのコストは量産化により「高級自動車並み」になる可能性がある。
また運航コストも、将来的にはタクシーと同程度の運航コストになる可能性があるとしている。具体的には、電動化により燃料費・整備費が削減され、パイロットレスなどにより自動化が進んだ場合だ。
これにより、“空の移動が大衆化”し、「速い・安い・便利」なヒトやモノの移動が可能になる高度なモビリティ社会が実現すれば、国内外のさまざまな社会課題が解決できるかもしれない。
空飛ぶクルマで実現する未来社会
本協議会のロードマップでは、それぞれの活用シーン別に、“空飛ぶクルマ”がもたらす未来の社会や生活を描いている。「都市での人の移動」では、“空飛ぶクルマ”を使った渋滞問題の解決が期待される。莫大な交通へのインフラ投資をすることなく、迅速かつ快適な移動が可能となり、都市の渋滞を避けた通勤や通学などでの活用も見込まれる。
「災害時の活用」では地震などにより、道路が陥没するなどの寸断された場合を想定。“空飛ぶクルマ”による救急搬送や迅速な物資輸送などへの活用が期待されている。
「地方や山間部での人の移動」では、“空飛ぶクルマ”を過疎地などでの有用な交通手段として想定している。これまで足が運ぶことが難しかった“秘境”への移動など、新たな観光需要の創出にもつながるだろう。
【次ページ】世界で加速する“空飛ぶクルマ”競争への対応
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