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  • 2019/03/05

ドローンを暴走させる「ソニックガン」の恐怖 今ジャイロセンサー搭載機器が危ない

東京オリパラの空はどうなる?

2017年7月、中国の研究グループは、米国ラスベガスで開催された世界最大の情報セキュリティカンファレンス「Black Hat USA」において、「ソニックガン」によるジャイロセンサーへの攻撃実験を発表した。同攻撃は、ドローンやセグウェイのように、ジャイロセンサーを使っている機器を超音波で制御を妨害したり、暴走させたりするものだ。これに対して2019年2月、三菱電機が「対ソニックガン攻撃技術」ともいえるシステムを発表した。「ソニックガン」と「対ソニックガン」技術はどのようなものなのか。詳しく見ていこう。

フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター 中尾真二

フリーランスライター、エディター。アスキーの書籍編集から、オライリー・ジャパンを経て、翻訳や執筆、取材などを紙、Webを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは言わなかったが)はUUCPのころから使っている。

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わずか数万円で作成できる「ソニックガン」で、ドローンなどジャイロセンサー搭載機器が乗っ取られる可能性がある
(©wpadington - Fotolia)

ドローンを制御不能にする「ソニックガン」とは

 まず、攻撃側に相当する「ソニックガン」から見ていこう。

 ソニックガンとは、中国アリババグループ傘下のAlibaba Securityに属するエンジニアたちが研究している攻撃技術と、それを実装した機器を指す。「ソニック」の名のとおり超音波を利用し、電子機器の動作をコントロールしたり妨害する技術である。

 ドローンやセグウェイのような自律的に姿勢制御を行う移動体、さらに仮想現実(VR)のヘッドセットやゴーグル、スマートフォンにはジャイロセンサーや加速度センサーが搭載されている。ソニックガンはこれらセンサーを攻撃するものだ。

 機械がバランスをとったり一定のバランスを維持したりするためには、重力や慣性を電気信号に変換する必要がある。その変換を担うのが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)という超小型機械の技術を応用した半導体チップである。

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MEMSの構造。スライドでは分かりにくいが全長は数ミリ単位で、その部品はマイクロメートル単位の極小マシンだ
(出典:Alibaba Security)

 MEMSは慣性で動く電極でコンデンサーを作り、その静電容量の変化で重力や加速度を検知するデバイスだ。Alibaba Securityのエンジニアは、この静電容量の変化を、超音波の共振によって攻撃するアイデアを考えて具現化したのである。

数万円で完成する「ソニックガン マシン」

 ソニックガンの原理はシンプルで、かつ高価な機器も必要ない。一般的な発振器(オシレーター、スタンダードジェネレータ)と超音波を再生できる小型スピーカーがあれば誰でも作れる。発振器は数万円程度するが、スピーカーは秋葉原のパーツ屋や家電量販店で販売されている数百円のもので十分である。

 ただし、Alibaba Securityの研究は、“その先”を見据えている。単に超音波でMEMSの動作を妨害するだけでなく、MEMSを乗っ取って任意の挙動を制御する取り組みも行っているのだ。実際、ジャイロセンサーの一部の制御には成功している。ちなみに、安価なスピーカーでは指向性の問題や発振器の出力の問題から、あまり遠隔地からの妨害ができない。これも研究課題のひとつとなっているという。

 なおBlackHatのセッションでは、実際にドローンやセグウェイを模した機器がコントロールを失い、墜落したり倒れたりする実証実験の動画が上映された。さらに会場ではVRゴーグルの動作を無効にするデモ実施された。

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Black Hatではドローンを模した機器がコントロールを失う動画が上映された
(出典:Alibaba Security)

【次ページ】三菱電機がソニックガンの対抗策を開発、その中身とは?

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