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  • 2020/06/03

「遠隔操作ロボット」をタイプ別に解説、8つの実例でわかるその可能性

少子高齢化による労働力不足、そして昨今のコロナ・ショックによる「安全」の確保と、社会活動を継続する仕組みの必要性、その解となりうるのが、遠隔操作ロボットである。本稿では遠隔操作技術が求められる背景を改めて整理した上で、遠隔操作ロボットを5タイプに分けて具体的な事例とともに紹介していく。

ABEJA 新規事業担当 羽田卓生

ABEJA 新規事業担当 羽田卓生

1998年にソフトバンク入社後、出版事業部に配属。2007年のボーダフォン買収後は、通信ビジネスに主に従事。2013年、あらゆるロボットの制御を担う汎用の基本ソフト(OS)「V-Sido」を開発・販売するアスラテックの立ち上げ時より同社に参画し、現在同社のパートナーロボットエヴァンジェリストとして活動。2019年より、株式会社ABEJAに参画。そのほか、Mira Roboticsパートナー/ストラテジスト、任意団体ロボットパイオニアフォーラムジャパン 代表幹事、特定非営利活動法人ロボットビジネス支援機構(RobiZy)アドバイザーほか、執筆活動も行う。

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少子高齢化による労働力不足の解消や、コロナ渦中におけるエッセンシャル・ワーカー代替として有力な「遠隔操作ロボット」を解説する
(Photo/Getty Images)


遠隔操作ロボットが普及する前提が整ってきた

 遠隔操作技術は、最近始まった技術でもなければ、ロボットのための技術ではない。産業にも民生品にも広く使われている技術だ。

 たとえば、ラジコンも1つの遠隔操作技術と言える。また、エレベーターには通常、遠隔監視機能が付いており、何かあった場合の復旧などにも役立つ。自動販売機などにも、遠隔操作システムが搭載されているものが多い。現地の自動販売機まで行く必要があった販売本数の確認なども遠隔から可能にするというものだ。すでに遠隔操作技術は人と機械の関係を補完しており、これまでよりもさらに高度な作業等に遠隔操作ロボットは適用されていくだろう。

 本稿では 「遠隔操作ロボット」で統一しているが、同意語として「アバターロボット」「分身ロボット」などがあり、この分野はいろいろな言い方が使われている。また、ロボットを広義に捉え、モニターやサイネージのAI対話システムもロボットとして定義する。さらに「テレプレゼンス」や「テレイグジスタンス」、「ハプティクス」などは、遠隔操作ロボットやアバターロボットの一要素・技術を指す言葉として整理する。

 現在各方面で遠隔操作技術と、その技術を生かした遠隔操作ロボットが普及する要素がそろってきた。

社会 超高齢化社会へ突入する2025年問題
あらゆる遠隔化の模索(企業、学校など)
非対面、非接触文化の定着の兆し
法制度 遠隔医療の初診解禁などの規制緩和
行政、商習慣の脱ハンコ化の動き
技術 遠隔操作ロボットに必要な機器のコスト低下
遠隔操作を支える技術の進化
5G通信などの通信インフラの整備

 ここで、遠隔操作ロボットが必要とされる背景について、もう少し社会的な側面を補足しておこう。

社会的背景1:少子高齢化

 少子高齢化は日本の重大な問題の1つだ。これによる労働力不足は喫緊の課題となっているが解決のめどは立っていない。

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(出典:総務省統計局「世界の統計2020」より作成)

 対策の1つとして進んでいるのが外国人労働者の受け入れだ。OECDの統計(2015年)によると、日本は年間約39万人の移民を受け入れる世界4位の移民国である。外国人労働者127万人にも達しており、これは日本の就業者数の2%、50人に1人が外国人労働者という計算になる。実際、飲食業やコンビニエンスストアなどで、外国人労働者の姿を目にすることが増えている。もはや、外国人労働者抜きに成立しない業種も多いのが実情だ。

 しかしコロナ・ショックを受けて、日本と他国の往来も制限がかかり自由ではなくなった。コロナ問題が長期化すれば、日本の労働力となっている外国人受け入れも止まることになる。

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(出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ 2019年10月末現在)

 少子高齢化に関しては、ICTの整備によって解決しようとする向きもある。総務省の『平成30年度版 情報通信白書』を参照すると女性の就業率は70%まで上昇、高齢者も積極的な労働参加意欲が見られ、障害者雇用も50万人近くまで増加していることが分かる。同白書では、ICTの整備が労働参加を進めたと説明している。

 人口減少時代においては、これまで労働市場に参加していなかった女性や高齢者などが就業できるような環境整備が求められている。そのためには、制約要件を取り除く必要があるが、ICTを活用することにより、時間と距離の制約を超えることが可能となる。多様な人々が働きやすい環境を整備することは、個人の生産性をより高め、一人あたりの所得を増加させることにもつながるため、人口減少社会における持続的な成長にも貢献する可能性がある。
(出典:総務省『平成30年度版 情報通信白書』)


社会的背景2:With/Afterコロナ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の問題も触れないわけには行かない。緊急事態宣言を受けて、急きょリモートワーク(テレワーク)を始めた人も多いのではないだろうか。政府からのリモートワークの実施要請もあり、厚生労働省の発表したデータによると、全国平均では26%、導入が一番進む東京都では51%まで急拡大した。

 クールビズが東日本大震災を契機に認知・普及したのと同様に、緊急事態宣言解除以降もリモートワークはある程度定着するのではないかと考える。

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 しかしすべての仕事がリモート化できるものではない。デスクワークの大部分はリモート化が可能だろうが、どうしても現場にいなければならないこと、人がどうしてもやらないといけないことや、作業を伴う業務などは多くある。With/Afterコロナ時代は、そうした業務もリモート化することを考えるきっかけになる。

 特に、医療従事者、公共交通機関職員、スーパー店員、ドラッグストア、配達員などの、「エッセンシャルワーカー(Essential Worker)」と呼ばれる社会活動を継続していく上で欠かせない業務に従事する人をどう支援するかが重要だ。緊急事態宣言下でも、彼ら・彼女らはリスクを取って業務を行っていた。こうした人たちの業務の代替手段や支援策として期待されているのが、遠隔操作技術を活用したロボットだ。

 すでにさまざまなロボット企業が、自動で消毒液を散布する機能搭載などコロナ対策の発表を行っている。一般にロボット導入は、生産性向上に寄与するかどうかという課題に直面し挫折することが多いが、コロナ問題でのロボット導入はコストうんぬんでなく生命、安全の問題に関わるものだ。

遠隔操作ロボットを「人とロボットの関係性」で5分類

 ではここからは、具体的に遠隔操作ロボットについて詳しく説明していこう。遠隔操作ロボットと一言でいっても、いろいろなタイプが存在する。ここでは「人とロボットの関係性」に着目して、以下のパターンに分類した。人とロボットの数、そしてAIの介在有無で分けている。今回は、分類をシンプルにするために「1toN」「Nto1」「NtoN」型に関しては、「+AI」のバージョンは記載していない。今後はAIは必須になるため、「1 to 1+AI型」は分類として無くなり、4分類に集約されていくであろう。

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 次ページから、それぞれの分類について事例を用いながら詳細に説明していく。

【次ページ】遠隔操作ロボット5分類を事例を挙げて解説

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