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  • 2020/06/04 掲載

プロジェクトを成功させるミーティング、失敗させるミーティング、何が違うのか?

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プロジェクトを遂行するうえで、過程と結果のどちらが大事かといえば、もちろん結果だ。しかし、だからといって「結果さえ出せば、過程はどうでもいい」というわけではない。まぐれで良い結果が出ることはほとんどないからだ。勝つべくして勝つためには、過程について考えることを避けては通れない。そこで今回は、プロジェクトに携わる誰しもが通る過程「ミーティング」において、立ちはだかる“落とし穴”の回避方法を、『紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本』を上梓したプロジェクト進行支援家 後藤洋平氏に解説してもらった。

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

プロジェクト進行支援家 後藤洋平

予定通りに進まないプロジェクトを“前に”進めるための理論「プロジェクト工学」提唱者。HRビジネス向けSaaSのカスタマーサクセスに取り組むかたわら、オピニオン発信、ワークショップ、セミナー等の活動を精力的に行っている。大小あわせて100を超えるプロジェクトの経験を踏まえつつ、設計学、軍事学、認知科学、マネジメント理論などさまざまな学問領域を参照し、研鑽を積んでいる。自らに課しているミッションは「世界で一番わかりやすくて、実際に使えるプロジェクト推進フレームワーク」を構築すること。 1982年大阪府生まれ。2006年東京大学工学部システム創成学科卒。最新著書「予定通り進まないプロジェクトの進め方(宣伝会議)」が好評発売中。 プロフィール:https://peraichi.com/landing_pages/view/yoheigoto

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ミーティングという過程を軽視する者は、プロジェクトの結果に泣く
(Photo/Getty Images)


こんなキックオフミーティングには要注意!

 プロジェクトを開始するときに、関係者同士が集まって打ち合わせをすることをキックオフミーティング(以下キックオフ)とよびます。うまくいかないプロジェクトは、キックオフ自体の内容がぼんやりとしていることが多いものです。キックオフが以下に挙げるような特徴を備えていたら、そのプロジェクトは要注意です。

  1. ほとんどの時間が参加者の自己紹介に費やされる
  2. 重要な意思決定を担うキーマンが受け身の姿勢になっている
  3. 全体的に緊張感がなく、質問が出ない

 重要な意思決定の役割を担うキーマンが「きっと何か問題は発生するのだろうけれど、誰かがなんとかしてくれるのだろう」「細かいことはプロジェクトマネージャーに仕切ってもらえばよい」と思っていると、このようなキックオフになってしまいます。そんな場合は、確実に「起きてからでは解決が難しい問題」に悩まされることになります。

キックオフでおさえておくべきこと

 キックオフでおさえておくべきことは次の3点です。

  1. これからどのような手順で仕事を進める予定かを確認する
  2. それぞれの参加者が自分の役割を明確に認識する
  3. 想定外のことが発生した場合の対処法の認識を合わせておく

 プロジェクトで発生する想定外のトラブルとは、着手する前に問題意識が及んでいなくて、互いの責任範囲や具体的なアクションを明確にしていないことによって発生することが多いものです。

 のちのち悔やまれることのほとんどは「あのとき事前に話しておけばよかった」と思うことです。気づいてしまえば簡単なことなのに、気づく前には想像もつかなかった。そんな話でつまずくと、後悔と徒労感に襲われます。そうしたことを避けるためには、危険予知を心がけ、不測の事態に即応できる心の準備が必要です。

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キックオフミーティングは顔合わせではない

理想のキックオフとは

 プロジェクトのスタートを気持ちよく切るためには、キックオフの準備段階で、すでにキックオフで話されるべき内容が話されている状態を心がけるとよいでしょう。そんなことをしたらキックオフの本番で話すことがなくなるじゃないか、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。

 未知のプロジェクトにおいては、「ここまで考え抜いておけば大丈夫」はありません。他人事、よそ事だと思うと油断が生まれます。QCD(Quality(品質); Cost(コスト); Delivery(納期))に影響を与える人、中でも実行や意思決定に関わるキーマンは、キックオフに必ず参集すべきです。加えて、それらの人々の内面に、自分ごと感が十分醸成されるようにリードするのが肝要です。

こんな定例会議には要注意!

 長期的なプロジェクトの場合、週に1回や隔週に1回など、定期的に関係者が集まってそのときの状況を確認したり、方針を話し合ったりすることがあります。そのような会議を定例会議とよびます。

 定例会議で、スケジュールにもとづいて関係者それぞれの仕事の完了状況だけを確認しているところをときどき目にします。しかしそれは、非常に危険な運営方法です。あらかじめ計画されたスケジュールは、既知の課題をいかに解決していくかを前提に組み立てられています。ですが、実際に進行を阻害するのは、着手する前には見えていなかった未知の問題です。

 既存の工程表ばかり眺めていても、未知の問題を発見したり、対処方法を考えたりすることはできません。

定例会議のアジェンダは3つでいい

 当初の計画と実際に進めたあとの現実の間に、ギャップが生じるのは当然のことです。そのギャップを補正するために、「課題を整理し、明確にする」「解決策を考え、選択肢として提示する」「説明する」「検討する」といった活動が必要になります。

 しかしこれらの活動をすべて対面の会議でやっていたら、いくら時間があっても足りません。対面で話し合う時間は「意思決定し、合意し、決断する」ことにフォーカスされなければなりません。定例会議とは、参加者の現状認識を合わせたうえで、次に何を狙いとしてどのようなアクションを取るかを合意する場なのです。

 定例会議のアジェンダは次の3つとなります。

  1. 計画と現実のギャップがどこにあるのかを明確にする
  2. 課題をあぶり出し優先順位を決める
  3. 次のアクションを決める

 もちろん、具体的な個別の説明資料はいくつも必要になるかもしれませんが、その骨格はシンプルなのです。

【次ページ】会議と会議の「あいだの時間」が大切

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