- 2022/12/14 掲載
米CPI、11月は前年比+7.1%に鈍化 21年12月以降で最小
[ワシントン 13日 ロイター] - 米労働省が13日発表した11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が7.1%と10月の7.7%から鈍化し、2021年12月以降で最小となった。伸びは2カ月連続で市場予想も下回り、米連邦準備理事会(FRB)が13─14日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を縮小する根拠となる可能性がある。
11月の物価の伸び鈍化は、ガソリンや医療費、中古車・トラックの価格下落を反映した。一方、食品と家賃は引き続き上昇した。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は7.3%上昇。前年比の直近のピークは6月の9.1%上昇で1981年11月以来の大幅な伸びを記録していた。
FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「インフレ動向は、多くのモノやサービスの価格の伸びが鈍化もしくはほぼ変わらないという転換点に達したように見えてきた」とし、「今回初めて、FRBがインフレとの戦いに勝利していると言うことができる」と述べた。
FHNフィナンシャルのシニアエコノミスト、ウィル・コンパーノール氏は「物価上昇圧力は緩和し、来春にはさほど引き締めの必要がなくなるという期待が高まっている」と指摘。「しかし、パウエルFRB議長が間もなく利上げを停止できると確信するために必要な『説得力のある』インフレ面での改善とはまだ言えない」と述べた。
市場ではFRBが今週のFOMCで0.50%利上げを実施し、4会合連続で実施してきた0.75%利上げから利上げ幅を縮小すると予想されている。
BMOキャピタル・マーケッツのシニア・エコノミスト、サル・グアティエリ氏は「インフレが今後さらに鈍化すると仮定すると、FRBは新年に軽くブレーキを踏むだけで、この引き締めサイクルを終了できるという見方を支える内容となった」と指摘。「そうなれば、ソフトランディングの可能性が高まる。しかし依然として、軽度の景気低迷は想定している」と述べた。
CPIは前月比では0.1%上昇。10月は0.4%上昇だった。エコノミスト予想は0.3%上昇だった。
ガソリンは前月比2%下落し、10月の4%上昇からマイナスに転じた。食品は前月の0.6%上昇に続き、0.5%上昇した。
変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前月比で0.2%、前年比で6.0%それぞれ上昇した。前月比での伸びは21年8月以降で最小。10月は前月比0.3%上昇、前年比6.3%上昇だった。
コアCPIの伸びは、中古車・トラックの価格が2.9%下落と、5カ月連続で下落したことによって抑制された。
新車や家具は前月から変わらず。
モノのコア指数は0.5%下落と、20年4月以来の大幅な下げとなり、モノのディスインフレの広がりを示唆。サービスのコア指数は0.3%の上昇にとどまった。
医療費は0.5%下落、航空運賃は3%下落した。
一方、住居費は高止まりしている。持ち家の帰属家賃は前月比0.7%上昇と、10月の0.6%上昇から伸びが加速した。
FRBが注目する住居費を除くサービスは前月から横ばい。ウェルズ・ファーゴのシニアエコノミスト、サラ・ハウス氏は、家賃を除くサービスがコアCPIの30%を占めることを踏まえ、「人件費の強い伸びが継続する中、インフレが急速に解消される公算が小さいことを強調している」と述べた。
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