• 2022/12/22 掲載

大規模緩和修正の評価は=市場関係者に聞く

時事通信社

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日銀が20日、大規模金融緩和策を修正し、長期金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げることを決めた。市場では「事実上の利上げ」と受け止められ、株安や円高、金利上昇が加速するなど波乱の展開となった。日銀の政策修正の評価について、元日銀審議委員の片岡剛士PwCコンサルティングチーフエコノミストと、加藤出東短リサーチ社長に聞いた。



◇さらなる修正「催促」懸念 片岡剛士PwCコンサルティングチーフエコノミスト

長期金利の上限を0.5%に引き上げた決定について日銀は、国債市場のゆがみを取り除くためで、金融引き締めではないと説明している。しかし日銀の理屈は分かりにくく、実質的な利上げと言われても仕方ない。市場の圧力に押されたと受け止められれば、今後さらなる修正を見込んだ催促相場につながる懸念がある。

今回の決定は唐突な印象が否めず、黒田東彦総裁の記者会見を聞いても、なぜこのタイミングなのか判然としない。株価は大幅に下落し、円相場も急騰するなど、市場に大きなインパクトをもたらした。日銀の決定が本当に市場の安定に寄与するのかこれから見極めていくことになるが、いずれにしても、日銀には金融政策運営で丁寧な説明が求められる。

今後、マイナス金利政策や長期金利目標のさらなる見直しが行われる可能性はある。ただ、その大前提となるのは2%の物価目標を安定的に達成できる見通しが描けることだ。達成できていない以上、これまでの緩和策を続けるべきだった。



◇物価上昇和らぐ可能性 加藤出東短リサーチ社長

今回の日銀の政策修正は事実上の利上げと言えるが、米国やドイツといった海外主要国の長期金利の上昇幅と比べれば、微調整の範囲だ。逆に言うと、今までの長期金利が異常に低過ぎたために円安が進み、国内で物価が不必要に上がっていた。住宅ローンの固定金利は幾分上がっていくだろうが、円相場は円高方向に進んでおり、来年の物価上昇ペースが和らぐ可能性がある。生活者にとってはいい面もある。

これまで日銀は、2023年度のインフレ率は2%を下回ると説明してきたが、徐々に自信がなくなってきていたのだろう。大規模金融緩和の出口戦略の第一歩というよりは、取りあえずの修正ということだと思う。黒田東彦総裁の下では、連続的な政策修正が行われるとは考えづらい。

ただ、食品価格は来春以降も上昇していくとみられ、インフレに対する国民の不満がさらに高まる恐れがある。また、金融引き締めを行っている米国で経済が想定より減速しなければ、日米金利差が再び拡大して円安が進み、次期総裁の下で来年4~6月の間に次の政策修正が行われる可能性はある。

【時事通信社】 〔写真説明〕片岡剛士PwCコンサルティングチーフエコノミスト=9月21日、東京都千代田区

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