- 2023/01/21 掲載
NY市場サマリー(20日)ドル/円上昇、株価反発 利回り上昇
日銀の黒田東彦総裁は20日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論で、2%の物価目標を安定的、持続的に達成するため現在の「極めて緩和的」な金融政策を継続すると述べた。
これを受け、ドル/円は一時12月5日以来の大幅な上げを記録。終盤は0.88%高の129.56円と伸び悩んだが、なお1月4日以来の大幅な上昇率となった。
16日に付けた7カ月ぶり安値からの上昇率は1.32%で12月9日までの週以来の大きさとなった。
総務省が20日に発表した2022年12月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は104.1と、前年同月比4.0%上昇した。1981年12月以来の伸び率で日銀が目標とする2%の倍になった。
ドル指数は0.05%安の102.005。
ユーロ/ドルは0.25%高の1.0856ドル。ポンド/ドルは1.2397ドルでほぼ横ばい。
英国立統計局(ONS)が20日発表した12月の小売売上高は、数量ベースで前月比1.0%減と、市場予想に反して減少した。
暗号資産(仮想通貨)のビットコインは一時9月以来の高値を付けた。終盤は5.6%高の2万2270ドル。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 利回りが上昇した。投資家は米連邦準備理事会(FRB)がこれまでのような利上げを継続するか再考する半面、最近の利回り低下は短期的に行き過ぎたとみている。
経済指標が予想より軟化していることから、投資家の関心は米国経済に向けられている。一方、日銀が18日まで開催した金融政策決定会合で政策の現状維持を決めたことから、米国債への売り圧力は取り除かれた。
FRBは1月31日━2月1日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げに踏み切るとみられている。3月以降のFOMCについて投資家は新たなシグナルを探ることになる。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、FF金利は現在の4.33%から6月には4.90%でピークを迎えると予想されている。
タカ派として知られ、昨年は積極的な利上げを主張したウォラーFRB理事は20日、次回FOMCでの0.25%ポイント利上げに支持を表明した。
指標となる10年債利回りは3.482%。19日は3.321%と9月13日以来の低水準を付けていた。
2年債利回りは4.183%となった。19日には4.041%と10月4日以来の低水準を記録した。
イールドカーブの主要部分は大幅反転が続いている。2・10年債の利回り格差はマイナス70ベーシスポイント(bp)。3カ月・10年債利回り格差はマイナス118bpとなった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> S&P総合500種とダウ工業株30種が4日ぶりに反発した。ナスダック総合も2%超急伸した。ネットフリックスやアルファベットへの買いが優勢となった。
ネットフリックスは8.46%高。22年第4・四半期決算は新規契約者数が市場予想を上回った。リード・ヘイスティングス共同創業者が最高経営責任者(CEO)を退くという発表も材料視された。
グーグルの親会社アルファベットも5.34%高。アルファベットは20日、全従業員の6%に当たる約1万2000人を削減すると明らかにした。
S&P主要11セクターでは通信サービスの上昇が目立ち、3.69%高。1日の上昇率としては昨年11月30日以来の高さ。
週足ではダウが2.7%、S&Pが0.66%それぞれ値下がりする一方、ナスダックは0.55%上昇した。
市場では今月31日━2月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、0.25%ポイント利上げが実施されるという見方が大勢。
米連邦準備理事会(FRB)のウォラー理事は20日、金利がインフレを抑制するために「十分に制約的な」水準に「かなり近づいている」可能性あがるという認識を示したほか、次回FOMCでの0.25%ポイント利上げに支持を表明した。
しかし、米経済が減速の兆しを示し、景気後退の可能性が台頭する中、企業収益を巡る懸念は根強い。
リフィニティブのデータによると、S&P総合500採用企業の2022年第4・四半期利益に関するアナリスト予想は2.9%減と、従来見通しの1.6%減から悪化している。
ゴールドマン・サックス・グループは2.54%下落した。FRBがゴールドマン傘下のコンシューマー・バンキング部門「マーカス」を調査しているという米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道が嫌気された。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 景気減速懸念が広がる中で安全資産としての買いが入り、小幅続伸した。2月物の清算値(終値に相当)は前日比4.30ドル(0.22%)高の1オンス=1928.20ドル。2月物は週間で0.3%高。
最近の米主要経済指標の低迷などを背景に景気先行き懸念が強まり、安全資産としての金に対する買い意欲が継続した。ただ、前日に中心限月ベースで昨年4月以来約9カ月ぶりの高値を付けた反動から利益確定の売りが出やすかったため、相場の上値は限定的だった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 需給引き締まり観測の強まりを受けて続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月2月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.98ドル(1.22%)高の1バレル=81.31ドル。週間では1.82%上昇した。3月物は1.03ドル高の81.64ドル。
石油輸出国機構(OPEC)と国際エネルギー機関(IEA)は今週それぞれ公表した月報で、今年は新型コロナウイルス防疫規制の解除を進める中国の景気が回復し、エネルギー需要が増加する公算が大きいとの分析を明らかにした。
また、欧米のリセッション(景気後退)に対する強い懸念が和らいでいることも相場を支援。米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事はこの日の講演で、前日のブレイナード副議長に続き、「ソフトランディング(軟着陸)」の実現について楽観的な見解を示した。こうした中、午前の相場はドル高などを背景に一時マイナス圏に沈んだものの、その後は持ち直し、一時81ドル台後半まで上昇した。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
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