• 2023/02/22 掲載

政策正常化時のリスク目配り=「氷見野副総裁」問われる手腕

時事通信社

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日銀の副総裁候補となった氷見野良三前金融庁長官の就任後の役割に注目が集まっている。国会の同意が得られれば同長官経験者が日銀執行部入りする初のケース。日銀の新体制発足で大規模金融緩和が修正された場合、長年低金利に慣れてきた金融機関にとっては融資や運用を通じて不測のリスクに直面する恐れもある。日銀の政策正常化が金融システム不安につながらないよう、金融行政を知り抜いた氷見野氏の手腕が問われる。

「現場の行員が金利が上がる時のことを知らない」。ある大手銀行の幹部は金融政策の正常化をにらみ、こう不安を漏らす。金利が上昇すれば融資の利ざやが稼げない局面から抜け出せるとはいえ、貸し出しリスクに対する現場の感覚は緩和の長期化により衰えたと指摘される。

第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「短期金利が引き上げられると、中小企業などは資金を調達しづらくなる」と指摘。異次元緩和の正常化は、「金融システムへの影響が無視できない」と警鐘を鳴らす。今後、実質無利子・無担保で融資する新型コロナ対策の「ゼロゼロ融資」の返済を迫られた中小企業などの倒産が増える場面も予想され、金融機関としては、いかに与信コストを抑制しつつ、収益拡大を図るかが課題となる。

長引く地域経済の低迷で貸出先が限られる地方銀行は、保有国債の損失リスクも懸念される。常陽銀行(水戸市)と足利銀行(宇都宮市)を傘下に持つめぶきフィナンシャルグループは、評価損が生じる恐れのある国内債券の一部を売却。2023年3月期の連結純利益予想を450億円から300億円に下方修正した。

多くの地銀は国債を償還(払い戻し)期限まで保有し続けるとみられ、損失の発生は限定的だという。ただ、全国地方銀行協会の米本努会長(千葉銀行頭取)は先月、金利上昇によるリスクについて「短期的には保有債券の評価損益の悪化が考えられる」と指摘。日銀の政策正常化による運用損益の悪化に身構えている。

氷見野氏は、金融危機を未然に防ぐための国際金融規制分野の第一人者でもある。国内外で築き上げた経験を生かし、金融機関経営に目配りする役回りを負うことになる。

【時事通信社】

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