• 2023/02/22 掲載

揺さぶられる日本経済=ウクライナ侵攻1年、識者に聞く

時事通信社

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ロシアによるウクライナ侵攻は、資源価格の高騰や西側諸国の対ロ制裁を通じて日本のエネルギー安定供給や企業のサプライチェーン(供給網)を大きく揺さぶった。24日で侵攻から1年となるのを前に、日本経済を取り巻く危機の現状や課題について、日本エネルギー経済研究所の小山堅首席研究員とロシアNIS経済研究所の中居孝文所長に聞いた。



◇LNG争奪戦の恐れも 小山堅・日本エネルギー経済研究所首席研究員

―国際的なエネルギー需給の現状は。

欧州では心配されていたこの冬のガス不足は起きなかった。暖冬だったほか、節電や石炭火力、原子力など何でもありで対応し、液化天然ガス(LNG)は米国からかき集めて乗り越えた。ただ、欧州が次の冬に備える天然ガスの在庫をロシアからの供給なしに積むのは難しい。来年にかけて厳しい状況が続くだろう。

―争奪戦となるか。

「ゼロコロナ」政策を解除した中国の需要が増えれば争奪戦が起きるかもしれない。欧州は今回、「高いお金を出せばLNGを手当てできる」という意識を持った。非常に危険だ。他を押しのけてでも買おうとすれば、価格が上がり危機を招く。しかも欧州はLNG供給を増やす投資には後ろ向きだ。

―日本が果たせる役割は。

消費国の連携が崩れた50年前の第1次石油危機の教訓をもう一度学ぶ必要がある。今年の先進7カ国(G7)会合では、世界市場安定のため、排他的行動を抑制し供給能力を拡大しなければならないと議長国の日本がはっきり言うべきだ。

―安定調達は可能か。

日本はLNGをスポット(随時取引)市場ではなく長期契約で調達していたので、欧州に比べて価格が上がらなかった。長期契約をいかに確保していくかが大きな課題だ。ただ、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げる2050年まで買い続けるのは難しい。

―取るべき政策は。

脱炭素を推進するGX(グリーントランスフォーメーション)の行動計画を1、2年で具体化する必要がある。最大の目玉はやはり原子力だ。昨年はウクライナ危機と電力需給逼迫(ひっぱく)が重なり、世論調査で再稼働支持が反対を上回るなど大きく潮目が変わった。国内の原発を安全性を確保して再稼働できれば、効率的に二酸化炭素を減らし、電力コストを下げて安定供給できる。

【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに応じる日本エネルギー経済研究所の小山堅首席研究員=10日、東京都中央区

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