- 2023/03/03 掲載
ECBの大幅利上げ観測広がる、当局者が粘り強い物価上昇警戒
欧州連合(EU)統計局が2日発表したユーロ圏の2月の消費者物価指数(HICP)速報値は、前年比8.5%上昇と、前月の8.6%上昇から鈍化した。
ただ、この大半はエネルギー価格の下落によるもので、食品、サービス、耐久財などの価格は再び上昇し、一部の政策当局者の懸念が確認された。
食品、エネルギー、アルコール、たばこを除いたを除いた基調インフレ率は5.6%で、前月の5.3%から上昇している。
ECBはすでに3月16日に開催される理事会での0.50%ポイントの利上げを示唆。ラガルド総裁は2日にそれを確認し、今後得られるデータによっては3月以降も利上げを実施する可能性があるとの認識を示した。
ラガルド総裁はスペインのテレビで「現段階で(3月以降も)この道筋を進み続ける可能性がある。データ次第になるというのが現実の正直な回答だ」と述べた。
市場では5月4日の理事会での0.50%ポイントの追加利上げも織り込まれている。2日に発表された2月2日の理事会の議事要旨を受けても、このような市場の見解が変化することはなかった。
議事要旨では「コアインフレやその他の基調的なインフレ指標は粘り強いものになる可能性が高く、現時点で安定するという証拠は極めて限定されている」とし、「ECBの政策金利が制約的な領域に入るには追加利上げが必要」との見解が示された。
政策当局者にとって主要な懸念の一つは労働市場が極めてタイトで、賃金の伸びが物価上昇圧力に拍車をかけることだ。今年の賃金上昇率は5─6%とみられている。
JPモルガンのエコノミスト、グレッグ・フゼシ氏は、過去最低水準にある失業率やサービス業を中心とする人手不足、賃金への上昇圧力などを受け、ECBの金融政策に対する予想を1週間で2回修正したとし、「特に当社の5月の利上げ幅予想を0.25%ポイントから0.50%ポイントに、6月のターミナルレート(政策金利の最終到達点)予想を3.75%に引き上げる」とした。
一方、シュナーベル専務理事は2日、今後数カ月以内に一段の量的引き締め(QT)が実施される可能性を示唆。
講演で「われわれの現在の推定では、銀行部門が現在預け入れている中央銀行の準備金額は、フロア・システム下で短期市場金利を主要政策金利に近づけるために必要な水準を大幅に超えている」とし、「このことは、現在のバランスシートの規模が金融政策スタンスを効果的に実施するのに必要な水準以上に拡大していることを示唆している」と述べた。
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